紙の本
事例によって解釈が異なる肖像権や著作権の基本をおさえることができる
2011/04/24 18:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
だれでもスナップ写真が撮れてしまう時代の著作権と肖像権を、Q&Aで分かりやすく解説している。現代は、だれでもホームページやブログに写真をあげられるようになったので、写真の公表という点で、かつてないほど問題を生じやすくなっている。その意味でも、有用な本と言えそうだ。
スナップ写真は、写真を撮ることをあらかじめ告げてから撮るポートレートや集合写真とは違い、シャッターチャンスを逃さす撮るものだ。たいていの人は、祭のひとこまや運動会の1シーンを撮ったことがあるに違いない。
こうしたとき、撮られる人の了解を得ていないために、ときとして問題が起きる。ただ一律に、こうしたケースなら許されるとか、許されないとかいう線引きはできないので、本書のような専門家の示す例がひとつの参考になる。
本書に出てくるQ&Aに多いのは、写真を撮ったあとに雑誌に投稿したり、写真コンテストに応募したりするケースだ。公道上でのことなら基本的に撮影に問題はない、といった見解が示されるが、それでも、公表する際にはかなり慎重になるべきことが分かる。
一通り読んでみて、どうして、そうも公表したくなるのかと思えたが、それが写真家心理というものだろう。被写体の機嫌を損ねるような形で撮らない限り、スナップ写真といっても私的に保有する限り、大きな問題にはならない。
写真が世に登場する前には、絵画くらいしか目の前の光景を写し取る方法はなかった。絵画の場合、よほどの細密画か、有名人を描いたものでなければ、それを公表しても、だれを描いたものかわかりはしなかった。風景の中に人物が溶け込んでいるような絵ならなおさらだ。
肖像権の問題を一般の人も意識しなくてはならなくなったのは、写真という技術の誕生のためだ。だれでもシャッターボタンを押しさえすれば、人物を特定できるような写真が撮れてしまう。絵の場合、よほど高度なテクニックを持たなければ人物を特定できるようなものは描けない。写真の場合は、ケータイ電話のカメラ機能を含めて、それがだれでもできてしまう。
今は、ブログというわずかな知識でできてしまうIT技術がひろまったので、輪をかけて無自覚に肖像権や著作権に抵触してしまうことになった。
原発事故とは次元がまるで異なるが、あらたなテクノロジーが引き起こす問題への対処という点で、連想が働いた。テクノロジーがもたらす利便性の裏で、どういう問題が引き起こされるのか、きちんと立ち止まって考える習慣を身に付ける必要性がありそうだ。21世紀とは、そういう時代なのかも知れない。
写真をたくさん撮って、ネットにも公開するという人は、ざっとでも目を通しておくとよさそうに思えた。
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肖像権やプライバシーなどの言葉が独り歩きしてしまって、スナップ写真を自由に撮れない社会になってきている。そのような現状でどうすればいいのか、ルールとマナーについて専門家によるQ&Aがあげられている。
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AMAZONレビューのほうに言いたいこと、疑問に思っていること、ほぼ網羅されていますが改めて。問題を提議してはいますが、具体的な解決方法は書かれていません。敢えて言えば、責任は自分ですべてひっかぶる覚悟ができていなければ写真を公表するのはやめましょう、という結論が導かれてきており、もっと具体的な、このような手順で法的に許可を申請しましょう、という肝心要なことがなにも書かれていなかったことにイラっとさせられました。上手に“逃げ”を打たれてしまった印象です。
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[ 内容 ]
ケータイにデジタルカメラ…だれもが写真を撮る時代。
だからこそ、知っておきたい肖像権、著作権の常識。
「撮ってはいけない」というのではなく、さまざまなシチュエーションを想定し、守るべきルールとマナーを、一線のプロ写真家がアドバイス。
写真を楽しむための66のQ&A。
[ 目次 ]
1 こんな場所で撮っていいの?
2 撮った写真を公表したい
3 パブリシティーがらみの写真
4 写真を撮ってトラブルに
5 そのほかのケース
鼎談 スナップ写真はこう撮ろう(松本徳彦 毛利壽夫 山口勝廣)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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色々な事例をもって、撮影していいのか悪いのかということが書いてある。本格的に写真をやろうという方は一度読んでおくといいかもしれない。
写真を撮るという行為も、感謝するという気持ちが一番大事なんだという事が書いてあり、これからどういう心構えでやっていけばいいのか分かりました。
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肖像権や著作人格権について、
携帯を含め、カメラを持つすべての人が
認識しておかなければならない。
成熟した社会には必要な事柄だ。
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最近、撮影マナーについて特に気になってたので読んだ。
確かに写真が身近になり、マナーやモラルの問題がある。
本書にある「撮らせてもらってる」と言う謙虚な気持ちを持とう、とあらためて思った。
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スナップ写真を撮影するときによくあるシチュエーションを1つ1つ取り上げ、ケーススタディーを1冊に纏めたような本。一読しておけばスナップ撮影の一助になると思います。特に著作権、肖像権、パブリシティー、など、取られる側の気持ちになって撮影する心構えが書かれています。
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一概に、全ての場合に肖像権が発生する訳ではない事がわかったのは収穫だが、また、神社仏閣での三脚禁止の意味が、よくわかったが、ここまで詳しいレクチャーは、今のところ必要ない。
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携帯電話などでの撮影機会の増大と、ネットという公表の場所の誕生で、それまでも存在してた肖像権や著作権の問題が一気に浮上してきた。撮影時のシチュエーション別にQ&Aで紹介される構成は読みやすい。本書はスナップ写真が時代を記録する重要な文化という立場をとっている。プライバシー尊重の「撮られたくない気持ち」の偏重に対してアマチュアカメラマンの側に立っていて、撮ってはいけない、と言うのではなく、どうやったら撮れるのかを考察しているので、写真を撮る人は一読するといいと思う。
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『写真を撮るというより「撮らせてもらってありがとう」といった優しい気持ちが大切です。』
『万一、何か問題が起こったとしても、あなたの考えや意図を、相手に誠意を持って話せば、きっと理解してもらえるはずです。』
『どんな場合にもいえることは、「写真を撮らせてもらっているんだ」という謙虚さが必要であることを自覚していれば、問題は起きません。』
などなど。なんだこれ。
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写真が趣味の人には必読。スナップにはルールとマナーが必要。時々、無神経にスナップを撮っている人を見ると注意したくなる。が、出来ない。そんな人に是非読んでほしい。
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前半はとても参考になりました。
全体通して読んでおくと、いつか役に立つことと思います。
発行年からか、フィルムの時代を前提としてるのが懐かしかったですね。
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日本ならこの手の指南書があるのでは?と思っていたら、ほんとに出版されていて、思わず笑ってしまった(笑)
日本写真家協会編なので、諸問題を意識し、問題意識を持ちつつも、写真を撮っていきましょうというスタンスで書かれているので、”撮る側”としては読んで安心できる一冊。
様々なシチュエーションでの例をQ&Aで解説していくので読みやすいが、悪く言えば当たり前のこと、マナーにしても当人の意識次第。ケースbyケースで判断せよ、というのが結論ともとれる内容は、やや深堀が足りない気がする。相手の嫌がる写真は撮らない、最後は自分で責任を取る覚悟で臨むこと。本当、当たり前の心がけの再確認の1冊。
ただ、「肖像権」について「財産権」と「人格権」に分けて考えることができること、ネットでの掲載が危険(やはり)という指摘は注意したいと思った。
新書サイズなので街撮りに出かけるカメラバッグに常備しておいて、何か問題が起こったときに参照するにはいいかもしれない。
「時代を記録する」「社会的な風景」を残す、資料的意義ある活動でもあることを大切に意識していきたい。
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相手が不快に感じるときは当然撮ってはいけない。隠し撮りはいけない。相手と親しくなれと。
ただ、自然な表情を撮りたいときにどういう方法があるのかもう少し例があると良かった。もちろんいろいろ話してお友達になってからというのが基本ではあるけど、ある一瞬の状態を見て、あ、いいなと思うのが普通だと思う。