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紙の本
ランシエール 新〈音楽の哲学〉 (哲学の現代を読む)
著者 市田 良彦 (著)
「概説」を超え、「著作そのものへのストレートな接近」をめざす思想書のシリーズ。美学と政治学を架橋させながら様々な事象を考察する哲学者、ジャック・ランシエールの思想を、「音...
ランシエール 新〈音楽の哲学〉 (哲学の現代を読む)
ランシエール : 新<音楽の哲学>
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商品説明
「概説」を超え、「著作そのものへのストレートな接近」をめざす思想書のシリーズ。美学と政治学を架橋させながら様々な事象を考察する哲学者、ジャック・ランシエールの思想を、「音楽=言葉」という切り口から語りつくす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
市田 良彦
- 略歴
- 〈市田良彦〉1957年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。共著に「闘争の思考」など。
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爽やかなポストモダンの芸術論
2009/02/04 21:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
市田良彦ひさしぶりの新刊。
第一章がとても面白かった。大雑把にまとめると、ドゥルーズ=ガタリ/ネグリ的な不可能なもの、不可視なもの、語らないものとしての「大衆/人民」と、それを批判するスピヴァクの「表象=代行」批判との共犯関係を指摘し、労働者であり遊びもし語ることさえする「大衆/人民」の像を提示する。その際重視されるのが美学で、政治を演劇のモデルで考え、ドゥルーズ的なフローベール/バートルビー/プルースト/カフカ論の「粒子」性を、アドルノが室内楽に見た芸術の自律性(自立)と関連づけて「民主主義」を教える「教育装置としての芸術作品」につなげ、その「演劇(表象=代行)性」にこそ、感覚的なものの分割としての「政治」を見出す。参照されるのは他にカント、シラー、ショーペンハウアーである。ポストモダンの思想を芸術に展開するならばこうでなくてはいけない、というような楽しくて果断な論調、文体で、非常に面白かった。とくにドゥルーズによるフローベル解釈をアドルノの音楽と関連づけているところは「それだよ!」と膝を打ったし、知識人と大衆という二項対立の欺瞞の指摘も納得できる。いまや大衆でない存在など何処にいるのか。
二章以降は一章で提示した理論の具体的な作品についての展開、といった趣で、こちらがロックに関してあまり知識/経験がないためか正直よくわからなかった。また、どうも神秘的な「合一」的ビジョンがちらついてしまって落ち着いて読めなかった。
しかし、それはそれとして非常に良いものを読んだという第一章を読んだ後の爽やかな気分は忘れ難い。