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商品説明
無限は存在する。それが現実世界にか、それとも頭の中にだけかはわからないにせよ…。超真面目な木村先生と美人でちょっと意地悪な岬先生に、編集者が手取り足取り教えてもらうという設定で、「無限」についてやさしく解説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
木村 俊一
- 略歴
- 〈木村俊一〉1963年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。シカゴ大学にてPh.D取得。MIT、ユタ大学等の講師を経て、広島大学准教授。専門は代数幾何。著書に「数術師伝説」など。
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紙の本
すごくこなれている。ゲーデルってそんなことをしたんですか。
2007/10/07 19:47
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る
-センセイ!質問してもいいですか。
うん。いいけど。ちょっと本をわきにやるから待ってね。
-なに、読んでるんですかぁ。見せてください。ふーん、横書きの本なんですね。数学の本にしては、会話が多いんですね。あっ、このゲーデルって聞いたことがあります。センセイの薦めた野崎昭弘『逆説論理学』に名前が出てきました。論理パズルはおもしろかったけど、このゲーデルさんやヒルベルトさんが出てくるところは、正直言ってついて行けませんでした。
いや、あの部分は確かに難しくて文章の巧みな野崎さんにしても十分にこなれてない感じだね。きっと著者としても満足に思わなかった記述で、だから10年後に新しい本『不完全性定理』(ちくま文庫)を書いたのだと思うよ。
ゲーデルは、20世紀を代表する数学者の一人で彼の名が冠された「不完全性定理」は、その名前自身謎めいた魅力を持っている。神の存在定理を証明し、晩年は毒殺を恐れて妻の料理しか食べられなくなり、ついには餓死したなどというエキセントリックなエピソードすら超一流の数学者の証しのように見えてしまう人だ。
ゲーデルに興味をもったならこの本をオススメだよ。何よりよいのは、会話体の文章がとても読みやすい。こういうタイプの無限論の解説書は、歴史をくだってきて「ラッセルパラッドクス」のあたりにくると、だんだん喩え話が内容に追いつかなくなることが多い。その点、この本はすごく上手なサンプルをつくることと読者代表の理想的な聞き手を配することで、すっきり読めて、数学的な内容も伝わってくるという理想的な記述がなされている。数学としてきちんと記述したい部分は、主となる会話体に対して囲み記事や付録に追い出しているところが心憎いね。おかげで、コーシー列の理解が一段深くなったような気がする。いや著者のキムラが、こんなに文章家だったなんて知らなかったよ。
-木村さんって、センセイのお知り合いなのですか。
いや、同じ年生まれなだけで全然面識はないよ。君はまだそんなことをしないだろうけど、本を手にとるとまず著者の年齢を見るんだ。同い年生まれだと、それだけでシンパシーを持ってしまったりしてね。この本だと、細かい味付けの部分でニヤリとさせられたりした。巻末のパラパラマンガとか、66ページの白戸三平『サスケ』からの引用なんて嬉しいね。鏑じゃなくて、四貫目のカブト割というのが正しいはずだけど…
-センセイ!そんなこと言われてもわかりません。
いや、ごめん。でもそういう遊びの部分も含めて、この本は本当によくできているね。大学の学部ではセミナーといって、学生が説明役を務めて教授や助手がその聞き役にまわってビシビシ発表者の学生をしごくという形式の輪読を行なうのだけれど、その理想化された形を見せてくれているという味わいもある。岬教授のような女性は残念ながら、そう簡単にはいないけどね。
さて、それより質問だったね。ああ327か。これは立体の概形を掴むところが難しい問題で……。