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- カテゴリ:一般
- 発売日:2007/08/06
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/361p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-326360-1
紙の本
楽園 下
著者 宮部 みゆき (著)
土井崎夫妻がなぜ、長女・茜を殺さねばならなかったのかを調べていた滋子は、夫妻が娘を殺害後、何者かによって脅迫されていたのではないか?と推理する。さらには茜と当時付き合って...
楽園 下
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商品説明
土井崎夫妻がなぜ、長女・茜を殺さねばならなかったのかを調べていた滋子は、夫妻が娘を殺害後、何者かによって脅迫されていたのではないか?と推理する。さらには茜と当時付き合っていた男の存在が浮かび上がる。新たなる拉致事件も勃発し、様々な事実がやがて一つの大きな奔流となって、物語は驚愕の結末を迎える。【「BOOK」データベースの商品解説】
少年の目には何が見えていたのか。少女の死は何を残したのか−。少女殺害事件の関係者たちに話を聞いていくうちに、滋子は少女の背後にいた人物の存在に気づく。子を想う親の愛の形を問いかける物語はいよいよ佳境へ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮部 みゆき
- 略歴
- 〈宮部みゆき〉1960年東京都生まれ。「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞、「理由」で直木賞、「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
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紙の本
宮部みゆきの引き出しには一体どれだけのものが詰まっているのだろうか?
2007/09/18 22:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
16年前に起こった家族内での殺人事件。娘の遺体が埋められているその上で時効が過ぎるまで生活していた家族。両親が自首するまで誰も知らなかったはずの秘密が12歳の少年の絵に描かれていた。しかも彼は交通事故ですでに帰らぬ人となっていた。何故?どうして?少年の母親から依頼をうけた前畑滋子はこの謎に迫っていく・・・
親が子を殺す。たとえどんな事情があろうとも許されることではない。しかしなにがその一線を越えさせたのか。自分が産んだ子である。長く苦しい陣痛を乗り越え無事に生まれたその瞬間を泣き声をしわくちゃな赤ら顔を心底愛おしいと思ったその子をどうして手にかけることになってしまったのか・・・
親は子供のためならどんなことでも出来る。しかしもし自分がこの立場におかれたらどういう選択をしただろう。ごく普通に育ててきたはずなのにどこがどう間違ってしまったかわからない。明らかに道を踏み外してしまった我が子を切り捨ててしまうのか。それとも最後まで支えてやるのか。
人はみな幸せを求めている。己の夢見る楽園を求めている。誰かを排除しなければ得ることが出来ない幸福だとしたらどうするのか?作者の鋭い問いかけがあると思う。
人間の暗部をえぐり出しているので重苦しい主題だがサブストーリーでもある敏子と等親子の描き方がとてもいい。対照的にほのぼのとした優しさで描かれていると思う。特にラストは思わず涙してしまった。善なる人間を描く事によってこの世界に楽園を築く救いをみせていると思う。
一体宮部みゆきは私達にどれだけの世界をみせてくれるのか。その底なしともいえる力量にただただ感服!
紙の本
前畑滋子が「記号化」される先触れのような気も
2008/11/25 05:49
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画はイマイチだったが,ミステリ小説「模倣犯」は確かに傑作だった。だから,「模倣犯」から9年,前畑滋子,再び事件の渦中に!てな文字がオビに踊ってたらそれはもう買ってしまうのである。その間に宮部みゆきが書いた数本の小説には興味が湧かず,映画にもなった子供向けファンタジーに失望させられたりしていても,前畑滋子というキャラクターには,作者の名前「宮部みゆき」よりも大きな何かがくっついているのだ。言い替えれば「模倣犯」は彼女にそういうのものをくっつけてしまう小説だったのだ。
で,「楽園」である。「模倣犯」の事件のあとしばらくフリーライター稼業から離れていた滋子だったが,ここ数年はようやく傷も癒え友人の編集プロダクションを手伝うようになった。そんな彼女のもとを,知り合いの雑誌記者の紹介で萩谷敏子という女性が尋ねてくる。この春,12歳で死んだ彼女の息子に関する不思議な話……。この少年は,自分の死後に発覚するある殺人事件の現場を絵に描いていた。そして9年前の事件の現場,そこに居合わせた者しか知らぬはずのものをはっきりと……。
発覚した「事件」は,素行不良の15歳の娘を両親が殺し,床下に埋めて16年間その上で暮していたというものだった。近所が火元の火事でこの家が類焼し,現場検証が始まるというときに両親が「自首」したのだった。既に公訴時効の15年は過ぎており,彼らが罪に問われることはなかったが,世間的にはそれでは済まない。殺された娘の6歳違いの妹・誠子は嫁ぎ先から離婚を強いられ,一家は姿を消した。つてを頼って調査を進めた滋子は,死んだ少年の「異能力」を確信するようになる。彼は他人の記憶に「触れる」ことができた。では,誰も知らなかった床下の死体の「記憶」を彼に見せたのはいったい誰なのか?
「模倣犯」に比べれば軽い。まぁあっちは上下2段組で1400ページ余りある大冊で,こっちは1段組で800ページだから,短いというのもあるんだが,それよりなんつうか物語が「軽い」のだ。それはけしてつまんないという意味ではないし,いわゆる「ライトノベル」という範疇の作品だというのとも違うのだが……こういう言い方が適当かどうか分らないが,「模倣犯」は「こりゃ映像にはできねぇだろうな」という小説だった(で,現に映画はちと酷いシロモノだった)。下手にフィルムに乗せようとするとフィルムが歪んでしまうような「重力」を持つ小説。対してこれは,映画どころかなんとかサスペンス劇場といった2時間ドラマの原作に使われても違和感がない。そういう種類の「軽さ」がある。
誤解してほしくないが,宮部みゆきをくさそうとしてるわけではない(だいたいそんなことが出来るほど彼女の作品を読んでない)。彼女のこれまでの作品のなかで「模倣犯」だけが特に「重い」のか,逆にこの「楽園」だけが特に「軽い」のかもオレには分らない。それに重い軽いとは関係なく,文句なく面白い小説であることは保障する。ただオレにはこの小説,なんか前畑滋子が「サスペンスドラマ ルポライター・前畑滋子シリーズ」みたいなのに使えるあたりまで「記号化」される先触れのような気もしたんだよね。