まず最初に、この作品は決して短編集ではない。確かに、短編が5つ収められているが、そのすべてが陣内という男の周りで起こった物語。多少時間の前後はするけれど、すべて、続いている。それは、人が人生を歩むのと同じ。ひとりの人にフォーカスすれば、その人は物語の主人公になるのだから。そしてこの作品は陣内という男の人生における5つの物語。物語の中心にいる男、陣内は常にマイペース。一見わがままで自己中に見えるけれど、その実、自分なりの一本筋の通った考えを持って、その軸を中心に動いているだけ。だから彼はどんなときもブレない。大学生時代に銀行強盗に遭遇した時も、脅迫事件の現金受け渡し現場に遭遇した時も、クマの着ぐ…
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