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商品説明
女好きの悪友が念者のふりをしろと言いだした!?嫁入り前の娘にできた子供の父親は一体誰なのか。玄関で揉めごとの裁定をする町名主の息子として生まれた麻之助。これが、たいそうなお気楽もので、周囲は気がもめるのだが。ふうわり胸が温まる畠中恵ワールド新シリーズ。【「BOOK」データベースの商品解説】
江戸は神田。玄関で揉めごとの裁定をする町名主の家に生まれた麻之助は、たいそうなお気楽もの。支配町から上がってくる奇問に幼馴染の色男・清十郎、同心見習の吉五郎と取り組むが…。ふうわり胸が温まる畠中恵ワールド。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
まんまこと | 7-58 | |
---|---|---|
柿の実を半分 | 59-108 | |
万年、青いやつ | 109-157 |
著者紹介
畠中 恵
- 略歴
- 〈畠中恵〉1959年高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒業後、漫画家アシスタント、書店員を経て、漫画家デビュー。「しゃばけ」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、作家活動を開始する。
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紙の本
こけ未練とは哀しいね
2008/09/19 15:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菊理媛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
代表作『しゃばけ』の若だんなとは、ちょっと違ったタイプ、だけどこちらもご大家の若だんなが繰り広げる、洒脱で粋なお話です。
全編を通して春風のように漂う桜のイメージを持つ女の影が漂います。成就することが適わなかった恋心の傷を隠すためなのか、ある日突然き真面目で勤勉なところをどこかで落としてきたかのように、突如お気楽男に変身してしまった古名主の若だんなを主人公に、女タラシと堅物の親友がつるんだ男三人、互いの友情に助けられつつ、支配町で起こった雑多な困りごとに裁きをつけてゆくお話です。
裁きモノというと、「遠山の金さん」や「大岡越前」のようなお武家様モノが通常なのですが、奉行所に持ち込むほどのことでない日常のイザコザは差配や名主が解決する仕組みがあったという(浅学な私には)初耳の情報にとても興味をひかれました。確かに、この手の日常の揉め事をすべて町奉行所に訴えていたのでは、北と南では納まりきらないであろうことや、それでも誰かが裁いてあげないと治まりがつかないだろうということも納得できるので、物語自体の信憑性も増した気がします。
裁く本人がお気楽なせいか、勧善懲悪のお裁きモノとはちょっと違って、ちょっと小ズルイ顛末が待っていたりもする采配もあったりするのですが、人の心のひだを心得た裁きというか、血も涙もたっぷりあるお裁きが、なかなか心に染みるお話になっています。
人間、あまりに悲しくて、それをどうしようもなかった自分を歯がゆく思うとき、泣いたり怒ったりを突き抜けてしまうものかもしれません。
16歳までは評判のよい若者だった麻太郎が、突如人が変わったようにいい加減になってしまった事情も読み進むうちに徐々に明かされ、初恋のすっぱさと失恋のほろ苦さが、物語全体にトッピングされることで、お気楽若だんなのお話に薄いベールを被せたような効果をあげています。
「今まで何を真面目に生きてきたんだろう。イザというときに何もできないくらいなら、いっそ浮雲のように生きていた方がいい。他の何にも、誰にも心を執着させず、いい加減に、のほほんと楽しく過ごしていた方がいいに決まってる」とでも思ってしまったかのような体でありながら、消し去れない正義感とくすぶり続ける恋心に引き立てられて、態度とはうらはらに真面目に真摯に支配町でおこる揉め事を裁いてゆく姿も心地よいものがあります。
どんなに真剣に思っていても、適わない恋もあるものだと、妙に「こけ未練」という言葉に惹きつけられた作品でした。
もともと真面目で頭のいい若だんな。あちらの若だんなとは違い、こちらは腕っ節には自信があるし、女たらしと堅物の頼りになる友もいる。まだまだ楽しいエピソードが期待できそうなので、こちらもシリーズ化してくれたらいいなと思います。
紙の本
喧嘩っ早い、お気楽息子の名采配
2008/07/23 15:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
神田の古名主の跡取り息子の高橋麻之助は
やや頼りないお気楽な気性。
その親友、隣町の名主の息子の八木清十郎と
同心見習いの相馬吉五郎とともに
町の困りごとを解決していく6つの連作短編。
名主とは奉行所に訴えるまでもない、
小さなもめ事や、恋の絡み合い、金の貸し借りといった
町の争いごとを調停するのが仕事。
家には玄関をしつらえ、もめ事の本人たちを呼び出し
決着をつけます。
本書でも、嫁入り前の娘のおなかの子供は誰の子?
十数年経って現れた娘が本当に質屋の一人娘なのか、
万年青の持ち主は誰か?
といった、些細な、けれど真剣な謎を
麻之助が見事、解決します。
この場面は、スッと胸がすく。
それに、「まんまこと」=「本当のこと」を明らかにするばかりが
幸せとは限らない、といった生きる知恵のようなものも。
話を重ねるごとに、麻之助がお気楽青年になった訳も語られ
人の行く末はままならないが、それほど悪くもないと感じられます。
「しゃばけ」シリーズは魅力的な男性が多数登場しますが、
本書は、清十郎の二度目のおっかさんのお由有(ゆう)、
麻之助の許嫁のお寿ずといった女性が魅力的。
紙の本
第1弾
2018/05/29 17:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
「まんまこと」シリーズ第1弾です。
名主の跡取りながら、お気楽者の麻之助。
ある日、女好きの悪友・清十郎が不思議な頼みごとをしてきます。
その理由と謎は?
紙の本
面白かったです!
2007/07/21 00:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸は神田の古名主高橋宗右衛門は八つの町を束ねている。大層古い家柄でそれなりに人々の尊敬を集めている。その一人息子が麻之助。生真面目で勤勉な跡取りとして周囲と親の期待の星。それが何故か16の時お気楽な息子に大変身。真面目と勤勉はどこかに落としてしまったらしい。いぶかしがる周囲の騒ぎもどこ吹く風これが己の元々の姿と一向に改まる様子もない。
22の今では楽しい若者だが将来の名主としては頼りないと囁かれ親に嘆かれる日々である。何が麻之助を変えたのか。好いた相手と別れたせいだという噂もあったが定かではない。
さて名主の仕事の一つに町内の揉め事を調停するというものがある。奉行所に訴えでるほどではないか当事者同士にとっては真剣な揉め事を双方の言い分を聞きながら納得のいくように収めるという難しい役どころ。ひょんなことから名主代理として調停役になった麻之助。幼馴染みで同じく名主の息子である女好きの清十郎、武家の出ながら何故か馬が合う同心見習い堅物の吉五郎と共に人々のまんまこと(本当のこと)を見極めていく・・・
6つの短編集である。それぞれお腹の子の父親探しとか突然名乗り出た娘植木の持ち主探し等々本当にささやかな事件とも言えない出来事である。だがそのささやかな出来事が市井の人々の暮らしを鮮やかに浮かび上がらせている。また麻之助の飄々としているキャラクターもいい。お気楽者だが一本ビシッと筋が通っている。また清十郎、吉五郎と硬軟トリオもいい感じ。まさに夜8時の家族で楽しめる時代劇の雰囲気満載である。まんまことを探すうちにみんな自分のまんまことに気づいていく。とくに最後の短編「静心にて」のラストは余韻に溢れていて素晴らしい。
この話シリーズ化して欲しいようなこのまま終わって欲しいような・・・
相反する二つの思いに悩まされるのである。