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商品説明
子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで。砂糖菓子の弾丸で世界と戦おうとした少女たち…。稀世の物語作家・桜庭一樹の原点となる青春暗黒小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
「好きって絶望だよね」 子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで。砂糖菓子の弾丸で世界と戦おうとした少女たち…。そんな１３歳の、小さな小さな物語。著者の原点となる青春暗黒小説。〔富士見ミステリー文庫 平成１６年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
どこにも行く場所がなく、そしてどこかに逃げたいと思っていた。そんな１３歳の二人の少女が出会った。リアリストの山田なぎさと不思議系転校生の海野藻屑。すべては生きるために、生き残っていくために――。【商品解説】
著者紹介
桜庭 一樹
- 略歴
- 〈桜庭一樹〉富士見ミステリー文庫「ＧＯＳＩＣＫ」シリーズで多くの読者を獲得。その他の著書に「ブルースカイ」「少女には向かない職業」「少女七竈と七人の可愛そうな大人」などがある。
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紙の本
現実を甘い弾丸で撃ちぬけ！
2007/03/24 10:30
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっとした物珍しさが噂の種になる片田舎。狭くてちっぽけなくだらないコミュニティ。そんな日常で異人＝外部からの侵入者、来訪者・・・マレビト（客人）が吊り上げられていく。
転入早々、自分は「人魚だ」とクラス中に言い放った奇妙な少女、その名も海野藻屑。彼女は（人魚だからと）足を引き摺り、自分勝手で都合よく振る舞い人の言葉に耳を貸さず、体は「汚染された痕だ」といいはる痛々しいアザだらけ。そのくせ行動にふさわしくないほどの美少女・・・まさしく異質な存在だ。
彼女はそれゆえ、現実を打ち抜く「実弾」を持っていない。代わりに甘い「砂糖菓子の弾丸」でひたすら現実を空打ちする。甘い嘘のどこかファンタジックな甘い嘘の弾丸でムリヤリつじつま合わせて生きている。
彼女とは逆に、切実な現実問題にさらされて実弾ばかりを込め続けたのは山田なぎさだ。
ネックは引きこもりの、隔絶された一部屋の中でだけ生きている貴族王子…兄。大人になりたい、でもなく 大人になれる、でもなく 大人にならなくちゃならないという切羽詰った強迫観念にも似た負い目を、自分自身に植え付けて追い立てている。少年少女という時代に、「私がしっかりしなきゃ」と、意味も分からず囚われてしまうことがある。なぜって、その大人と社会という世界とがあまりに大きく危険なものとして子供達の目の前に突然広がってくる、そんなことがある世の中だから。
そんな時間に実弾と大人とを全身で拒否し続けて果ててしまった海野だが、彼女の甘い弾丸は山田なぎさに強烈な一発を打ち抜き、その痕は温かく甘く残り続けるに違いない。
紙の本
こんな人生、ほんとじゃないんだ
2022/07/31 14:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「こんな人生、ほんとじゃないんだ」そんな台詞を吐く藻屑が悲しい。担任教師が意外にもまともな大人で、ちゃんと子どもの味方になってくれる大人がいたのにこんな結末になってしまったのが悲しい。子どもはみんな、小さな世界でどうしようもない現実と戦う兵士なのだ。
