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- カテゴリ:一般
- 発売日:2007/03/01
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/388p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-208807-9
紙の本
ヤモリの指 生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
生物の離れ業を学んでそれを乗り越えようとする科学「バイオ・インスピレーション」。その最先端を切り開く人々に直接取材、カッティングエッジなどさまざまな研究成果を紹介する、刺...
ヤモリの指 生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
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商品説明
生物の離れ業を学んでそれを乗り越えようとする科学「バイオ・インスピレーション」。その最先端を切り開く人々に直接取材、カッティングエッジなどさまざまな研究成果を紹介する、刺激的なポピュラー・サイエンス。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ピーター・フォーブズ
- 略歴
- 〈ピーター・フォーブズ〉英国のサイエンス・ライター。『ニュー・サイエンティスト』誌や『ワールド・メディシン』誌に寄稿。
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紙の本
生物が得た技術には驚かされるばかり。ミクロで見るとその驚きは更に増す。センス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる最高の一冊。
2012/05/02 01:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
昆虫は飛べない。ご存知だろうか。いや、飛ぶじゃん!蚊も蠅も、ゴキブリだって飛ぶじゃん!と思われるかもしれない。しかし、昆虫が飛べないのは事実。少なくとも、航空力学では、昆虫はどうやっても飛べないはずなのだ。それなのに、ご存知のとおりに虫は空を飛ぶ飛行機を飛ばすのには成功を収めている理論も、昆虫には適用できないのである。
これは自然界には人間がまだ理解していないメカニズムが、まだまだ沢山あることを示している。どうやら、数十億年に渡る進化の妙は、人間にとっての知の世界より遙かに広いのだろう。
タイトルのヤモリの指にしてもそうだ。
ちょっとした郊外なら、窓の外にヤモリが張り付いているところも珍しくはないだろう。その姿を気持ち悪いと思う人も少なくはないと思う。しかし、そこに凄さを見出すことも、また容易なことである。まるで重力の桎梏から解き放たれたかのように、垂直なガラス面をよじ登る。もし彼らが室内に居たのであれば、そのまま天井を這いまわるところも観察できるだろう。
どうしてそんなことができるのだろうか?
秘密はその足にあった。顕微鏡でも分からない、ナノメートル(1億分の1メートル)の世界に。電子顕微鏡でその足を見ると、ヒゲのような微小な突起があり、この突起が表面張力でヤモリの体重を支えているのである。
ナノの世界で見られる不思議にはようやく探求が始まったばかり。そして、その世界を覗き見ることができるようになったからこそ、ハスの葉が泥水の中から現れても美しいことや、クモの糸がしなやかでかつ強靭であること、ヤモリが壁にくっつける理由等が明らかになってきた。
本書は、生物が生み出してきた素晴らしい機能と、その機能が発揮されるメカニズムを追いかけ、更には人類が如何に自然の秘められたデザインを利用しているかという知のフロンティアを説いている。
ヤモリの指やオナモミがくっつく原理はマジックテープを生んだ。クモの糸の研究はまだ実用化に至っていないが、素晴らしい世界が広がっていそうな予感を感じさせる。昆虫の飛び方を利用した機械に至っては、夢のテクノロジーだろうが、被災者のに代表されるように期待が大きい。
自然をつぶさに見ることで、かくも不思議で面白い世界が広がっているというのは、なんとも嬉しくなる話ではないか。まだまだ想像もつかないような、凄い事実を自然は隠しているに違いない。そして、いつか我々がその事実に気づいた時、創造もつかないような世界がやってくるのかもしれない。自然の奥深さと面白さを感じさせてくれる、素晴らしい本。