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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.2
- 出版社: 東京創元社
- レーベル: ミステリ・フロンティア
- サイズ:20cm/291p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-488-01731-6
紙の本
ハルさん (ミステリ・フロンティア)
著者 藤野 恵美 (著)
(瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…)ふうちゃんの結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩...
ハルさん (ミステリ・フロンティア)
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商品説明
(瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…)ふうちゃんの結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。幼稚園児のふうちゃんが遭遇した卵焼き消失事件、小学生のふうちゃんが起こした意外な騒動…。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった。児童文学の新鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作。【「BOOK」データベースの商品解説】
「天国の瑠璃子さん。僕たちの娘は今日、お嫁に行ってしまいます」 娘の結婚式の日、お父さんのハルさんが思い出す5つの謎。頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿をやさしく綴った、ほのぼのミステリ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
藤野 恵美
- 略歴
- 〈藤野恵美〉1978年大阪府生まれ。「ねこまた妖怪伝」で第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞してデビュー。代表作「怪盗ファントム&ダークネス」シリーズはアメリカでも翻訳出版されている。
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紙の本
ふうちゃん、あなたがいちばんの「なぞ」だったのですね。
2008/06/26 00:21
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙のイラストを見て読むことを決めました。お父さんと手をつないでいる小さな女の子。その黄色地のチェックの服は、なんとシャーロックホームズ仕様ではないですか! しかもその手には虫眼鏡も握られています。「お、これは幼稚園児探偵という新しいジャンルかもしれない」と早とちり。しかし、時にはこんな早とちりもいいのでしょう。そんな思いにさせられるやさしい物語です。
瑠璃子さんが亡くなって、お父さんのハルさんとふうちゃんは父娘二人きり。物語は、そんなふうちゃんが結婚式に至るまでの成長とともに、5つの謎をめぐるエピソードで構成されています。幼稚園での「玉子焼き消失事件」、小学4年生のときの「夏休みの失踪」、中学生の時のふうちゃんがふと見せた「涙の理由」、高校生3年生の冬休み、思わぬ入院をしてしまったときの「サンタが指輪をもってくる」、大学生になって初めて帰省してきた時に起きた人形すり替え(?)事件の「人形の家」。
人形作家というハルさんはたよりなげで、読んでいる方がはらはらします。「もっとしっかり、ふうちゃんのことを見てないと」とつい思ってしまいます。幼稚園のふうちゃんはちょっと「いい子」すぎる気もするのですが、それぞれの年代で、元気がよかったり、ちょっと反発気味だったり、それぞれの成長中の顔を見せてくれます。また、よく読めばふうちゃんがどういう興味・関心を育てていったのかもちゃんとわかります。
そして、これらの5つの謎を解くのは、ふうちゃんでも、ハルさんでもなく、天国の瑠璃子さんです。じっさいにふうちゃんが直接にかかわっている「事件」は、最初の三つまでです。しかし、それぞれのエピソードに盛り込まれているハルさんとふうちゃんのやりとりが、なんらかの伏線になっているわけです。
ところで、「5つ」といいましたが、実はもうひとつ「謎」があります。新婦の父たるハルさんが本書の冒頭につい漏らしてしまう「どうして、ふうちゃんは、結婚を(するんだろう)」ということばに象徴されるように、「ふうちゃん」自身です。本編はすべて「ハルさん」目線で書かれているため、ふうちゃんの内面は書かれていません。まだ小さい時にお母さんをなくして、頼りない(?)お父さんと二人で、心細かったり泣きたいことも多かったかもしれません。読む方ももどかしいです。でも、それが謎解きなのですね。いや、この謎は「解く」ものではないのでしょう。ぜひじっくり味わってみてください。
紙の本
いつまでも手をつないでいて。
2007/07/13 22:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙に描かれた父娘の後ろ姿がほほえましい。
物語は父・ハルさんが娘・ふうちゃんの結婚式の日に数々の思い出の日々を回想する場面から始まる。
男手ひとつで育てた一人娘の結婚式。感慨もひとしおだろう。
人形作家のハルさんは若かったし、頼りなかった。でもふうちゃんのことを一生懸命に考えて育ててきた。
あまり表立って来ない「父の愛情」というものに触れられた作品だと思う。
1話完結の物語は、ふうちゃんの成長とともに続いていく。
父と娘の関係も徐々に変化していき、目に見えるように大人になったふうちゃんの姿。
ラストは私がハルさんみたいな心境になった。
父と娘の、そして見守っていたもう一人の、やさしい時間を描いた1冊だった。