電子書籍
参りました!
2017/06/21 22:14
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投稿者:まも - この投稿者のレビュー一覧を見る
流石です!それ以外の言葉が見つかりません。
紙の本
藤原伊織の妙薬。
2007/02/11 19:54
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤原伊織は、決して多作な作家ではない。今までに発表した作品は、両手の指で足りてしまうくらいではなかろうか。しかしてその代表作は、と言うと・・・言葉に詰まる。どれを取っても、傑作揃いなのだ。「テロリストのパラソル」が乱歩賞と直木賞を同時に受賞するという離れ業をやってのけたが、他の作品もテロリストのパラソルに勝るとも劣らない、魅力的な作品ばかりなのである。
藤原作品をカテゴライズするならば、当然ハードボイルドになるだろう。だがそこんじょそこらのハードボイルドとは、どこか違う。確かに物語りは重厚でコクも深く、主人公は渋い。が、どこかうっすらと、ユーモアがあったりするのだ。それは本当にエッセンス、隠し味程度に感じさせる。それが妙薬のように読み手に伝わり、いつの間にやらその作品の虜にされてしまうのではなかろうか。
本作品は、広告業界を舞台に物語が展開する。大手代理店の副部長辰村は、弱電大手の大東電機が来年度からスタートさせる、ネット証券業務の広告コンペに参加する事になる。総額18億という巨額のコンペにチーム一丸となって立ち向かっていくその様を、広告業界を緻密に調べ上げ書き上げている。のだが、もちろんそれだけではない。辰村には中学生の頃、友人と共に殺人を決意した事があった。それが25年経った今、強請事件となって蘇ってくる。そしてそれはあまりに意外な事に、今回の巨大コンペにも深く関わっていた・・・。いくつかの物語が複雑に絡み合い、一つの方向に動いていく。その時人々は一体何を考え、一体何が起きるのか・・・。
非常に良く広告業界を調べ上げ、あらゆる角度から切り込んで書き上げた感。ミステリからヒューマニズム的要素も踏まえ、極上のエンタテイメントに仕上がっていた。そういえば「テロリストのパラソル」に登場した、浅井が再登場しているのもファンに取っては鳥肌物。こんな所にも妙薬が効いているようなぁと、感心させられたのであった。
紙の本
シリウスの道 下
2022/11/11 05:32
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
広告コンペの裏側、25年間の青春時代をベースに、ハードボイルド調に進行していき、誠に読みやすい小説でした。伊織さんの作品はこんな調子なのでしょう。次はいよいよテロリストのパラレルです。バー浅井の出番に注目してます。
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現実に自分のしていることとは逆に理想主義に走る偽善者者VS美化できない生活をただがむしゃらに営む者。サラリーマンのがんばりがわかります。
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大人になっても子供の時の記憶って結構鮮明に残っていたりするよなって思わせられた 大人ってやっぱり大変だよ
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現代小説文庫で上下巻を俺が買うのは珍しい。
上下巻って中途半端な気がしていたんだが、初めて買ったセットがこの2冊!
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面白かったです。堪能できました。なるほどね。勝哉はこう絡んできましたか・・・まあ、妥当なところかな。なんか、みんなかっこよすぎるんだよね。まあ、小説なんだからそれでいいんだけど。
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ハードボイルド (hardboiled) とは、元来は「堅ゆで卵」(白身、黄身の両方ともしっかり凝固するまで茹でた鶏卵)のこと。転じて、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情な、(精神的・肉体的に)強靭な、妥協しない、などの人間の性格を表す言葉となる。
とウィキペディアが言っている通り、藤原小説の何が一番ハードボイルドかと言った時に、キラキラと光る自分の宝物を敷き詰めた箱庭を眺める為に削りに削り、削ぎに削ぎ、絞りに絞った文章を構築する作業をする藤原伊織自身の姿こそがハードボイルドの他にならないと思ったのであった。
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上巻後半までは広告業界用語が多様されていて読みにくかったですが、下巻にはそれがなく、スイスイ読めました。こんなビジネスマンになりたい!!と思わせる作品に仕上がっています。そしてああいう女上司、うちの会社にもいます。名前はあえて書きませんけどww
藤原伊織先生のほかの作品では「ダナエ」と「テロリストのパラソル」がお勧めですよ。けど、登場人物はだいたいこの作品と同じキャラです。それが藤原先生の特徴ですね。とにかくお亡くなりになったのが悔しいです(金子)
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過去の人間関係が複雑に絡み合い進展していくのだけど、個人的には途中入社で使えない、とされていた戸塚が、どんどん化けていく過程がプレゼンのシーンとともに、一番面白かったな〜。
「テロリストのパラソル」との交差もあって、どっちを先に読むか…いや、とにかく両方読むのがさらにワクワク感が増すよね。
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広告代理店事情は面白く興味深く読むことが出来てそれは良かったけど
しりつぼみ感が否めないのはどうしようもない
肝心の軸がどこにいってしまったのか、分からないような感じがする。
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広告代理店を舞台にした、ハードボイルド。
主人公は、アルコール依存症っぽい38歳、広告代理店の副部長。
うーん、若い。
結構、やってることはオジさんなのだけど…。もうちょっと年齢上げたほうが、違和感なかったように思います。藤原伊織の中の38歳って、こんな感じなのかもしれないけど、大多数はもっと子供だと思うんですけど。特に主人公のように、独身で根無し草のような性格だとね。
にしても、やっぱ、上手いよ、藤原伊織。
主人公の子供の頃の話が、微妙にからんできてて「永遠の仔」か「白夜行」と思わせながら、そのあたりをばさっと斬ってるのが藤原伊織らしい潔さといえると思います。
で、出てくるキャラが、皆いいんだよ。
政治家のコネで入社した若造が、泣けるぐらいいい。
派遣会社からくる女の子が、またいい。そして、主人公の上司がこりゃまた、いい女なのだ。
も、このキャラだけで、各三本ぐらい小説かけるよ、ってぐらいの濃密さ。
キャラを堪能するだけでも、贅沢です。はい。
でも、話はあんまりハードボイルドじゃありません。キャラはハードボイルドですが。
「テロリストのパラソル」的なものを期待すると、ちょっとがっくりかも。
が、面白いのはテロリスト以上です。最高のエンターテイメントになってます。
結末がね、もっとなんとか、ってジレンマがあるんだけど、これはこれで藤原伊織のテクニックで納得させられるのでありました。
…なんか、癌宣告されてるそうです、藤原伊織。
(読んだ週刊誌の記事は、「余命を宣告されて、国民年金の支払いをやめたら、差し押さえるといってきた。もうもらえるあてがないのになんで納付しなきゃいけない」って怒ってた。ホント、これで納付を納得させるのは無理だろ。私だって同じになったら、絶対払わないな)
落ち着いて、少しでも多くのいいものを書いて欲しいです。
できたら「ダックスフントのワープ」っぽいのを。ええ、私は「ダックスフントのワープ」のファンでしたから。
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ああ、そうくるのか!
というラスト。
現実はいつでも厳しい。厳しいけれどやさしい。それでもつらい。
仰ぎ見る星の光がまぶしければまぶしいほどに。
きれいごとだけでは終わらない、この作品が好きです。
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ハードボイルド・ファンタジーを自称する藤原伊織さんの魅力が、ぎゅっと濃密に詰まった長編。
ほかの作品とも共通する、ハードボイルドの濃厚な香りが漂いつつも、作者さん自身の職歴がものをいうのか、大手広告代理店の熾烈な世界が、活き活きと描かれていて、働く男の背中が好きな方や、サラリーマンの方には、特につよく進めたい一冊。
小説の楽しさや味わいって、それぞれに色んな方向性がありますが、たとえば、普段とは違う上等のお酒を味わいながら呑むように、美味しいコーヒーを楽しむように、一冊の本にうっとりと酔う、藤原さんの小説には、そういう上質の娯楽のような、なんともいえない陶酔感があります。端々で重厚なリアリティがあり、それでいてお硬く気取っているのではなく、手に汗を握る展開が待っていて、隅々までエンターテイメントしている。
藤原さんの小説のヒロインには、ときどき、女性から見るとあまり共感できないようなタイプ(口の悪い言い方をすると男に都合のいい女性像)が描かれるときもあるのですが、今回のヒロイン、ばりばりのキャリアウーマンで、すごくかっこよかったです。
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登場人物がみな粋でかっこいい!そんな中、トップとしてイースト証券の富田が他の社長に比べ器が落ちる。辰村が立花部長を誘うシーンの
「今週末にでもまたふたりで飲みにいきませんか」
「また私の膝枕でねむりたいわけ?」
「そう。あれはすごく寝心地がよかった」
「でも、よだれでスカートに染みができちゃうのはどうだろう」
「最初からスカートを脱がせていれば、その心配はないでしょう」
そしてその受け答えは、
「うん、それは悪くない考えかもしれない」うまいなぁ。藤原伊織の作品に
出てくる男たちは過去に生きている。「いま」はどうでもよく、感情に蓋をして生きている、ところが過去に向き合った途端に生の感情が噴出する。まさに、ビジネスハードボイルドである。
の2回目の飲む場面はもっと詳しく書いてほしい。