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商品説明
子爵の屋敷の地下室に秘蔵されていた巨匠ボッティチェッリ作『秋』!?世紀の大発見か、それとも罪深き贋作なのか。オール讀物推理小説新人賞受賞作家堂々のデビュー作。【「BOOK」データベースの商品解説】
子爵の屋敷の地下室に秘蔵されていた巨匠ボッティチェッリ作「秋」。これは世紀の大発見か、罪深き贋作なのか? 鑑定眼ならぬ「鑑定舌」で真贋を見きわめる天才美術探偵、神永美有が活躍する美術ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
天才たちの値段 | 5-61 | |
---|---|---|
紙の上の島 | 63-117 | |
早朝ねはん | 119-175 |
著者紹介
門井 慶喜
- 略歴
- 〈門井慶喜〉1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞受賞。
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紙の本
美術好きにはたまらないミステリー
2006/11/10 19:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
2003年に「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞してデビューした作家なのですが、化けたねえ。「キッドナッパーズ」からは想像もできないくらい、うまくなっています。
ルネッサンス期専門の美術史学者・佐々木昭友と、神永美有という天才が解く美術ミステリー。ボッティチェッリやフェルメールの新しく発見された作品や、大航海時代の地図、涅槃図、ガラス工芸と題材も豊富で、それぞれの背景などもよく調べていますし、それをストーリーとミステリーにうまくからめています。
神永美有は真贋を見分ける天才で、真作を目の前にすると舌に甘味を感じ、贋作では苦味を感じるという特異体質。より深くつきあううちに、佐々木が学生時代に出入りしていた、変わり者の美術専門古書店店主の息子だということがわかるのですが、そのエピソードも、本好きならそんな関係を古書店と結びたいと思わせます。
ミステリーは「真贋」が主になりますので、ストーリーティリング力が必要ですが、それぞれによく練られています。惜しむらくは「遊び」が足りない。マジメに書かれていますが、美術好きではないと読むのがツライですね。
私は著者の小さないたずら心にクスクス笑わせてもらいましたが。ボッティチェッリの「秋」なんて、見てみたいものです。フェルメールの隠れた絵画が見つかったら、もちろん見に行きます♪
また、神永はこの頃流行りの安楽椅子探偵ではなく、自分の足や頭を使うのですが、それを佐々木側から描くので、単なる天才でしかなくなります。殿上人のようなよくあるキャラクターに終始してしまいました。もっと彼の喜怒哀楽があるとおもしろかったのに。
佐々木の教え子のイヴォンヌや、政治家の息子崇はいいキャラクターですけれどね。この二人にはもっと登場してもらいたかったです。
「天才たちの値段」
ボッティチェッリの隠された名画「秋」が見つかった。その真贋に佐々木は駆りだされる。そこで知り合ったのが神永美有という天才。結局、贋作だったのだが、神永は遺産の8000万で買い取ると言い出す。
「紙の上の島」
イヴォンヌの双子の姉は結婚が決まり、代々伝わる蔵を壊し新居を建てる。が、破談。蔵から唯一、大航海時代の地図といわれる羊皮紙が残された。
「早朝ねはん」
自衛隊上がりの古物商・宇津木が持つ涅槃図を巡り、二つの寺が自分のものだと名乗り出る。しかし佐々木にはその涅槃図の釈迦はエアロビクスをしているようにしか見えない。
「論点はフェルメール」
佐々木は長原崇という政治家の息子からディベートの手伝いを頼まれる。父親が不肖の息子の力を後援会のメンバーの前で試したいと言い出したからだ。論題はフェルメールの贋作。
「遺言の色」
佐々木は祖母が亡くなり、また人生の末期を病院で迎えようとしている母親に代わり、遺言の開示に立ち会う。遺言は、あるガラス工芸を巡る問題が出され、娘ふたりのうち、それに答えられたほうに全財産を譲るという。そして佐々木の伯母とは長年の確執があった。