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- カテゴリ:一般
- 発売日:2006/11/17
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/382p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-06-280706-8
紙の本
興亡の世界史 What is Human History? 06 イスラーム帝国のジハード
文明の空白地帯、7世紀のアラビア半島で誕生したイスラーム。世界帝国を創出した共存と融和の原理とは。最後のイスラーム帝国が20世紀初頭に滅んだのはなぜか。現代にいたる「力に...
興亡の世界史 What is Human History? 06 イスラーム帝国のジハード
紙の本 |
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- 税込価格:53,130円(483pt)
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商品説明
文明の空白地帯、7世紀のアラビア半島で誕生したイスラーム。世界帝国を創出した共存と融和の原理とは。最後のイスラーム帝国が20世紀初頭に滅んだのはなぜか。現代にいたる「力による布教」のイメージを問い直す。【「TRC MARC」の商品解説】
講談社創業100周年記念出版 刊行開始!
この「大征服」は、誰にも予想できなかった
文明の空白地帯、7世紀のアラビア半島で誕生したイスラーム。世界帝国を創出した共存と融和の原理とは。20世紀初めに、最後のイスラーム帝国が滅んだとき何が起こったのか。現代にいたる「力による布教」のイメージを問い直す。
■イスラームの誕生から、ビン・ラーディンまで、歴史と現代を1冊でとらえる!
現在も日々報道されるイスラーム世界の紛争や混迷――。これらは、イスラーム社会の歴史のなかで生じた根深い問題だといえるでしょう。しかし、従来こうしたイスラーム世界の諸問題は、20世紀初頭のオスマン帝国崩壊までを扱う前近代史か、逆に、20世紀の「現代中東政治」の文脈で解説されることが多く、私たち日本人にとっては全体像がみえにくいジャンルでした。本書の著者・小杉泰氏は、イスラームの誕生から、帝国の発展、衰退、そしてまさに今現在のイスラーム復興運動までを大きくひとつの流れとしてとらえる数少ない研究者です。
■イスラームがめざしたものは、国家でも帝国でもなく、「社会」だった
イスラームは何より宗教に基づく社会の建設をめざしました。イスラームの教えに立脚した社会生活を営むために必要な規律や仕組みが、ムハンマドを慕うごく少数の信徒の集まりから、共同体、国家へと発展していく過程で形成されていったのです。歴史上のイスラーム帝国は解体し栄光とともに消え去っても、イスラームがその強さを失わないのは、そのあたりに理由があるのでしょう。
■ジハードは「聖戦」か? 「右手に剣、左手にコーラン」は西欧の偏見だった
近年では、9.11同時多発テロ事件をきっかけとして、イスラームの「ジハード」に強い社会的関心が集まり、ジハードをテロと結びつける短絡的な議論さえ生まれています。小杉氏は「ジハードはしばしば聖戦と訳されるが、それはごく一面に過ぎない」「イスラーム世界と国際社会が有意義な対話と問題解決に臨むためには、ジハードを本来の意味で理解することが必要である」と述べています。
【商品解説】
目次
- 第1章 帝国の空白地帯
- 第2章 信徒の共同体
- 第3章 ジハード元年
- 第4章 社会原理としてのウンマ
- 第5章 帝都ダマスカスへ
- 第6章 イスラーム帝国の確立
- 第7章 ジハードと融和の帝国
- 第8章 帝国の終焉とパクス・イスラミカ
- 第9章 帝国なきあとのジハード
- 第10章 イスラーム復興と現代
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書店員レビュー
イスラーム世界を知るための入門書に最適
ジュンク堂書店ロフト名古屋店さん
西をビザンツ帝国、東をササン朝ペルシアという場所ながら、アラビア半島は政治的空白地域であった。ここに預言者ムハンマドが現れ、彼によって導かれたイスラームは瞬く間に勢力を拡大し、先の二大王朝を凌ぐ大帝国を築き上げた。本書は預言者ムハンマドから帝国の誕生・拡大の歴史を概観し、宗教にとどまらないイスラームが歩み、築いてきた世界を簡潔に見せてくれる。現代に通ずるイスラーム世界を考察する土台を提供してくれる一書である。
数あるキーワードの中でもタイトルにもなっている「ジハード」という言葉。この言葉を聞くとテロが想起され、イスラームのネガティブなイメージの象徴ともなってしまっている。メディアなどで「聖戦」と訳され、イスラームが外敵とみなした相手に対する武力行使を正当化するお題目のようなイメージが人口に膾炙してしまっている。
しかし、本来はムスリム(イスラーム教徒)達が、ウンマ(イスラームの共同体)を確立・維持・防衛するために行うありとあらゆる奮闘努力を意味する。この中に武力行使も含まれていることは事実である。しかし、自らの内面の悪と闘うジハードが「大ジハード」とされるのに対し、武力をもって外敵と戦うジハードは「小ジハード」とされている。小ジハードとされる限定的な一部分を表すであろう「聖戦」という訳は、ジハードの訳語としては問題が多いことが多い。ジハード=テロという単純化は歴史的な事実に反するし、現代イスラームを正確に理解ためにも障害となる。
イスラーム通史(メインは6~10世紀であるが)ともいえる本書ではあるが、タイトルの通りジハードに関して多くのページを使って論じている。ジハードという言葉に対する認識が変わることは間違いない。
初版(2006年)から時間が経過しており、めまぐるしく情勢が変化する現代史という分野では物足りなくなってしまっている部分もある。しかし、イスラーム世界を理解するため基礎を提供してくれる入門の書、初学の書としてオススメしたい一書である。