紙の本
食材の「アミルスタン羊」とは……?
2007/05/10 11:36
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アリョール - この投稿者のレビュー一覧を見る
猛烈に怖いが見事に面白い短篇を10篇収めた短篇集である。
短篇の名手である著者ならではの精妙な描写が各編に共通、雰囲気に酔いしれる。田中融二訳に感謝だ。
表題作は驚異的に美味な特別料理で知られるレストラン「スピローズ」の物語。
ラフラーは部下のコステインを「スピローズ」での夕食に誘う。
メニューは日替わりの一品と定められ、その内容は料理が出てくるまでわからない。しかも、店主スピローは常連客に「秘密」の厳守を義務づけている。飲み物は「冷たい水」だけ。ま、いわゆる知る人ぞ知る店の極端な例といえるかも知れない。
コステインは最初のスープで我を忘れてしまう。以降、ラフラーともども最後まで無言のうちに食べ終わるのだが、この「沈黙」こそが絶妙な味を彷彿させている。
ある晩、とうとう給仕が「今夜はスペシャルでございます」とささやく機会に恵まれた。特別料理はアフガニスタンとロシアの境にいる「アミルスタン羊」を素材とし……。ここから先が本当に怖い。
ほかに、スケジュールのずれが身も凍る恐怖を呼ぶ『アプルビー氏の乱れなき世界』を推す。
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特別料理は結末がわかっていて、やっぱり……というのなのに、詳細に描かれていく雰囲気に引き込まれます。
その他、結末が凄い話、話の枠組みそのものが好きなものあります。
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そのレストランで供される料理は、何物もおよばない美味だった。だがその
美味の秘密とは…。表題作ほか、あなたの身辺に思わぬ形で潜む、恐怖の
影を描き出す全10編を収めた短篇集。
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スタンリイ・エリンのミステリ短編集。
ミステリといっても、犯罪が起きて、犯人を追跡して解決といった
お定まりの手法は用いられない。
ミステリにとって「殺人」は大きな出来事のはずであるが、
エリンにとっては、それ以上にそこに至る過程や心理こそがメインである。
ドラマチックに殺しの様子を描くどころか、
一,二行の中にその行為がさらりと添えられているに過ぎない。
EQMMでも大絶賛されたという表題作「特別料理」は
まさにスペシャルな味わいだった。
一冊に十篇のも作品が詰め込まれており、
あっという間に読み終わってしまうが、
十篇が十通りの魅力を放っている点にも注目したいし、
さすが「異色作家短編集」に納められているだけはある。
九篇を味わったあと、添えられたラストのデザートは
「決断の時」という短編で、このデザートの余韻はずっと尾を引くだろう。
上質な短編ミステリのフルコース、召し上がれ。
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米澤穂信の100冊その39:表題作はあまりに有名であるし、「決断のとき」も凄いけれど、「クリスマス・イブの凶事」が最高。とのこと。
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米澤穂信さんの「アミルスタン羊」の元ネタを読みたくて。
エリンという作家は知らないと思ってましたが、いろいろ調べているうちに、ダールとか阿刀田高を好きだったころ何かの短編集で読んだことがあると気付いた。
どうしてちゃんと読んでおかなかったのか、ちょっと後悔。今みたいなひねくれた読者でなかった頃なら、もっと面白く読めたんじゃないかな。
一番面白かったのはやはり「特別料理」。
わかっていても、来るぞ来るぞと眼を手のひらで隠してその隙間から覗いているような緊張感があって、ぞくぞくした。
正直言って、「特別料理」以外の話は「ふーん、それで」みたいな感じ。最後の一文を期待し過ぎました。殺人の動機も方法も目新しいものが無く(まあ、古い話なので仕方ないか・・・それにしても、当時にしても斬新ではないと思う)、結末に至るくだりも何かもどかしい。
前書きのEQの絶賛に、はまってしまったのかも。
が、この訳はすごく好きです。
古めかしくて読みづらいことこの上ないけど、下手に改訳しないでほしいと思う。エリンが醸し出す雰囲気を、とても良くなぞっていると思う。
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2010.10.24読了
米澤穂信さんの作品に出てきたので、図書館で借りて読んだ。短編集で、この中の何篇かは、以前に読んだ事があるようだ。
もう、古典と言っていい作品集で、私ごときの評を待たないが、どれも真剣に読むと、ドキドキするような緊迫感というか、恐怖感というか、そのようなものが胸の内に生じて来るのがわかる。
どれも、秀逸ではあるが、“特別料理”を除くと“決断の時”が好きかな。
他の方も書かれていたが、翻訳がかなり読み辛いが、雰囲気が合っていて良いと思う。こういう作品は、翻訳がとても大事だ。
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エラリイ・クイーンが前書きを書いていたのに驚き胸熱。田中融二の後書きを読むと歯ぎしりが聞こえてきそう。
確かに、ミステリー集というより、短編集と呼ぶ方が合う気がします。
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1 特別料理★★★★
2 お先棒かつぎ
3 クリスマス・イヴの凶事
4 アプルビー氏の乱れなき世界
5 好敵手
6 君にそっくり
7 壁をへだてた目撃者
8 パーティーの夜
9 専用列車
10 決断の時
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米澤穂信さんの「儚い羊たちの祝宴」から。
ミステリとも怪奇小説とも言えない不思議な短編集。
まさに“異色”。
表題作は1956年だからかなり古いけれど、すごく面白かった。
アミルスタン羊、食べてみたい(笑)
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異色作家短編集 2冊目。
緊密な構成が素晴らしい。まったくと言っていいほど文章に無駄がないので、読むには集中を要するがそれだけの価値はある。何気なく読んでいるとこの作家の面白さには気付けないと思われるので、ある程度読者を選ぶといえるが、短編小説になれている人なら読みこなせると思う。
ジャンルは違うが構成の緊密さという点ではフランク・オコナーの短編に近いものを感じた。
また好きな作家が増えた。
図書館にて。
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なじ■
短編集。
『儚い羊たちの祝宴』から興味を持って読んだんですが
いやーむちゃくちゃ面白かったです読んで良かった!!
他の作品も読んでみたいなー
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期待と予想は裏切られない
面白さを期待して読んだら、期待は裏切られない
予測しながら話を読んだら、予測は裏切られない
特別料理に関しては、店に通う人々は薄々予感していても食べてしまうし、厨房にも行ってしまうんだろうし、それと同じように、話を読む人々は話が途中で見えても読んでしまう
話は割りと怖め
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短編集だったのね!1話目、「特別料理」を読み終えて、短くてびっくり。短編とは知らなかった。米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」を読んで、「アミルスタン羊」の元ネタを読みたくてこれを読んだけど、アミルスタン羊が人って知ってて読んだからわかったけど、知らずに読んだら、あたし、ちゃんと羊が人ってわかったかな? 自信ない。半信半疑止まり?
なんで人をアミルスタン羊っていうのか、の答えが書いてあると期待して読んだんだけど。全然書いてないしワケわかんない。
「お先棒かつぎ」読み終えて・・・あれーーー??? 意味がひとつもわかんない・・・(´・_・`)
「クリスマス・イブの凶事」
20年前の家内の不幸で、外でお酒はタブー?っていうオチ??
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表題作であるエラリークイーンも絶賛したスタンリイ・エリンのデビュー作を含むスタンリイ・エリンの短編集。「特別料理」の中で何か事件が起きるわけでもなく、人が死ぬわけでもなく、結末も大体想像がついているにも関わらず読ませる文章力は、第一行目だけで40回以上も書き直すこともあるという著者ならではか。