紙の本
あきらめたときにしあわせになれる。
2008/11/28 22:38
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
風の旅 星野富弘 立風書房
詩画集をつくられた星野さんは、群馬県で中学校の体育教師をしていたときに、体育館で運動中に体操で失敗して全身が動かなくなったそうです。絶望から光を求めて、口で詩画を描く。明るい色彩、淡々とした語り口で、人や自然との関わりが綴られています。
作者は自分が車椅子の身体障害者になったことをたとえ話にしています。川で泳いでいて流された。川の流れにさからって元の場所に戻ろうとしたら溺れそうになった。あきらめて川の流れに身をまかせたら体が楽になって、知らない岸にたどりついた。もう元の岸には戻れない。たどりついた岸で生きることにした。その言葉に頭が下がります。
紙の本
心にやさしさの花が咲く
2005/02/05 03:04
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投稿者:菊の花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生まれて初めて手に取った詩画集。
当時、社会人になったばかりの私は仕事がうまくできないことに焦りをつのらせていた。
心に余裕がなく窮屈で息ができなかった。
この本を貸してくれたのは同じ職場の年配の女性。
詩画集になんて興味がなかったけど、借りた以上読まなければならないと思った。
家に帰り本を開いた。
そこには私の知らない感じたことのない、けれど、欲していた世界が広がっていた。
あふれ出る泉の水のように、オアシスのように、元気の源が広がっていた。
著者の手足の不自由さを感じさせない素晴らしい花の絵。
花を自然を見つめる素敵さ。
絵も詩もただただ優しい。
その優しさに涙が出る。
窮屈だった心が一気に開放され、どっと、いろんなものが流れ出て行き、かわりに清涼で温かいものが流れ込んできた。
そして心をいっぱいにした。溺れそうなほどに。
でももう息はできる。私は大丈夫。
心の不自由な私に多くを与え、そして多くを教えてくれた。
ありがとうございます。
紙の本
絡んだ糸がほどけた
2012/06/09 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちまこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
れんぎょうのわずか3行のあまりに美しい詩、これだけで人の心をこんなにもつかめるのもに初めて出会い、涙がとまらなかった。もがき苦しんでいた時に主人の助言が素直に心に入ってきたことを思い出した。日々の生活の中でまた糸が絡み始めた時に雑誌で目にとまったれんぎょう。自然に糸がほどけていった。何冊か集めたけれど、壁にぶつかった時にはいつもこの3行の言葉に頼ってしまう。悩んでいる友人に贈ったらとても喜んでくれた。言葉の羅列は難しいけれど、短い言葉に優しさや強さ、慈愛に満ちた作者の人柄があふれている詩画集でお気に入りの一冊。
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口に筆を咥えて描いた絵とは到底思えません。星野さんの描く花の絵は本当に美しくて、花に対する愛情がすごく伝わってくるし、それに添えられた飾り気のないシンプルな詩が、だけど心に響きます。
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この人が描くからこそ、より感動
できるのかな。花に対する愛情が
感じられます。こんな風な見方も
あるんだと感心しました。心が軽くなる。
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主に花の絵を描かれている星野富弘氏の作品のほかに病床メモやエッセイなどが綴られているのですが、何度でも読み返すたびに「はっ」とさせられることがあります。
買って、何度でも読んで、その度に気づき、「この本を買ってよかった」と思う本です。
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小学生の時に出会った本だったと思うが、その時の本が実家の本棚にあって、改めて手にとった。
星野さんの人間らしいところに、ぐっと胸をつかまれるような詩と文章だった。読んだら処分しようと思っていたが、ずっと持っておくことにした。
当たり前だが小学校で出会った時よりじっくり味わされた。
・「何もあそこに戻らなくてもいいんじゃないか‥」
「よろこびは束の間のこと
悲しみもまた明るさの中でみればちっぽけなかたまり」
「よろこびが集まったよりも
悲しみが集まった方が
しあわせに近いような気がする
強いものが集まったよりも
弱いものが集まった方が
真実に近いような気がする
しあわせが集まったより
ふしあわせが集まった方が愛に近いような気がする」
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ひとつひとつの絵が、ひとつひとつの言葉が心に響く。
いつか、群馬の富弘美術館行きたいな。
富弘さんがこの花々を描いているその場所へ。
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星野富弘さんによる詩画集です。絵も詩も口で書いたとはとても思えません。見ていて「はっ」とさせられる内容もあり、とても見応えがあります。
エッセイも収録されており、それがまた面白いです。一見辛そうなことも微笑ましいできごとに思えるような、そういった柔軟な考え方ができる方なのかなと感じました。
たまに開きたくなる一冊です。
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この本を購入して28年が経過した。
彼の感性は彼だけのもの、同じような想いを抱く人はいるだろうが、心底からの優しさがなければ、このようには書けない!
そして今日、一番心に残ったのは次の言葉だ。
「いつだったか きみたちが空を飛んでいくのを見たよ
風に吹かれて ただ一つのものを持って 旅する姿が
うれしくてならなかったよ
人間だってどうしても必要なものは ただひとつ
私も余分なものを捨てれば
空が飛べるような気がしたよ」
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星野富弘氏は元中学の体育教師で指導中の墜落事故で頸髄を損傷し首から下の自由が全て奪われた。そのことにより筆を口に咥えて絵と詩を描くようになった。
初めて星野氏の絵を見た時、これが口で描かれた絵かと信じがたかった。
別の本になるが筆者は三浦綾子氏との対談で「卑屈な思いになっている時、高慢な思いになっている時は心がまっ白になるまで描かない。だから心がまっ白になるまで画用紙もいつまでもまっ白なままです」というようなことを話されていた。
道ばたに咲く 小さな つゆ草 、雑草とよばれるぺんぺん草、臭いときらわれるどくだみでさえ、その花は白い十字架に似ていると詩う。
口でかかれた絵と詩は 写真よりその花が伝わり、整った文字より心が伝わってくる。心洗われる詩画集です。
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星野富弘さんの訃報を受け,ずっと本棚に並んでいたこの本を40年ぶりに開いた。今描いている目の前の花への愛情が溢れ出して形になったような詩集だと思った。
詩がつけられた花の絵が「1 折れた菜の花」「2 花に寄せて」「3 風の跡」の3つのパートに分けられて並び,その間に短い随筆というのが本書の構成。手足を使えない星野さんが筆を口にくわえて描いた絵と詩が並ぶ。自分で動かせるのは頭だけという星野さんの観察眼は,花々の小さな変化を見過ごさず,その背後にある生命の美しさや悲哀,花にも人間にも共通する自然の営みを優しく捉え,文字になっているようだ。
星野さんのご冥福をお祈りいたします。