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紙の本
セント・メリーのリボン 傑作小説集 (光文社文庫)
著者 稲見 一良 (著)
失踪した猟犬捜しを生業とするアウトロー探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方をつきとめる仕事が舞いこんだ。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不...
セント・メリーのリボン 傑作小説集 (光文社文庫)
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商品説明
失踪した猟犬捜しを生業とするアウトロー探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方をつきとめる仕事が舞いこんだ。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが、やがて…(表題作)。限りなく優しい誇り高い男たちの人間模様を、無駄のない文体とハードボイルド・タッチで描いた、感動を呼ぶ珠玉の作品集。【「BOOK」データベースの商品解説】
【日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞(第12回)】【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
焚火 | 9-30 | |
---|---|---|
花見川の要塞 | 31-92 | |
麦畑のミッション | 93-127 |
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書店員レビュー
猟犬探偵?? 何それ...
ジュンク堂書店岡山店さん
猟犬探偵?? 何それ……?ファンタジー?が最初の感想だったこの作品。
ドラマ化した「孤独のグルメ」で有名な谷口ジロー氏が画業40周年として昨年3月から漫画連載、そして文庫本の帯も現在同氏が手掛けています。純粋な興味から手をとったものの、一冊の中にこんなにしっかりと手にとれる、味わい深い作品がつまっていたなんて!
宮沢賢治風な夢的作品から突然銃撃戦だったり、突然追われてたり。なのにその作品の中に必ず、ぐっと胸を掴まれるところがあるんです。
なんだなんだこの読後感は……様々な世界のミックスそしてひっそりとした感動。残るなあ。。久しぶりに全部の編が力を持っている短編集に出会えました。猟犬探偵とかそんな言葉じゃこの作品は説明できません。作者の方が、この作品は『男の贈り物』をテーマに書いた、とあって、まさにそう!なるほど!
心に贈ってくれた素敵な贈り物、是非大事に味わってみてください。
文庫担当 中原
紙の本
名作が起こす、色褪せない感動という名の奇跡。すべての読書家に贈られた、この上ない贈り物。
2010/12/19 12:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はりゅうみぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大好きな作品は?」と問われたら、すぐさま答えられない。
たくさんありすぎて即答が出来かねるからだ。
では「大好きな作家は?」と問われたら。不思議なことにこちらは迷わない。「稲見一良さん」と澱みなく即答できる。
この方の描く世界が、今も昔も、多分これからもずっと、もうどうしようもなく好きである。
私が惹かれてやまない氏の作品の特徴は、ずばり「動物」である。
ご本人の趣味が「(射撃)狩猟」だっただけに動物の生態描写は息を飲むリアルさ、この方の右に置ける邦人動物作家(?)は、かの椋鳩十氏ぐらいしか思い浮かばない。←寡聞なだけか
狩りという名の下で生物の命をやりとりする人だからこそ、一層真摯に見つめ(観察し)てきた動物(野性・ペットを問わず)への愛情と賞賛と、たぶん懺悔の心。
そこを根底とした人と動物とのドラマ。
奇跡は間違いなく待っているだろうと、ページを開く前からワクワクする。
そして、今作の「セント・メリーのリボン」は、
<ハードボイルドの厳しさと感傷を底流にした、闘争の話をかこう>
とおっしゃっていた稲見氏の志がもっとも力強く貫かれている傑作と思う。
狩りの途中でいなくなった猟犬を探す「猟犬探偵」の竜門 卓。←名前からしてハードボイルド(笑)
※そんなピンポイントな探しモノ稼業で食べていけるのだろうかという素朴な疑問がまず浮かぶが、浮かんだ時点でもうこの作品の虜だったりする。続編「猟犬探偵」もこの後、読もう。
「ハードボイルド」な「探偵」で連想できる、ちょっとワイルドでクールないい男という人間像はイメージ通りの竜門だが、その生き方は、「猟」「厳しさ」「闘争」といった怖い字面の単語から想像される暴力と殺戮にまみれた「ハードボイルド」とは全く違う。
寡黙にすっと立ち上がり、相棒(犬)にソファー譲っちゃいます、みたいなハートウォームなご仁なのである。
今作「セント・メリーのリボン」では、探すのは「猟犬」ではなく「盲導犬」だ。専門外のことながら「例外」として引受けている。(実はこの依頼以外も例外だらけで、本当はタイトル「動物探偵」が正解だったかもしれない。そんなとこも大好きだ♪好きってそういうことだ。)
山野を彷徨う猟犬を探すぐらいだから、彼が持つ「犬」の生態とサバイバルに関しての知識は半端なく、「相棒」(決して「愛犬」とは呼ばない)ジョーと共にほんの僅かな痕跡からターゲットに切迫していく様は、幾度読んでも新鮮にワクワクする。
そして、捜査が進むにつれ明らかになる切ない事情。悪人など誰もいなくても、事件は起こってしまうのだった。
イブの朝、神戸のトアロードに舞い降りたのは、白い雪と赤いリボンに彩られた奇跡の贈り物。
奇跡もまた、起きるのではなく、起こすものだと胸に染み入る。
この本のサブテーマは、「男の贈り物」だという。
余命半年と宣告されてから、小説を書き始めた稲見氏。
遺された数冊の尊い贈り物、出会えた奇跡。
ご冥福と惜情と感謝の祈りを捧げながら、今年のクリスマスもこの本を読む。
読まずに終われない。
紙の本
ホロリとくるお話
2014/06/09 19:29
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議な話あり、ハードボイルドあり、メルヘンありの短編集です。ただ、ハードボイルドとしては全体に甘すぎます。男も優しさを見せびらかしすぎ、ヤクザの女も優しい女過ぎ、いい話になりすぎです。それでも、心にしみる読後感は稲見さん独特の良さでしょうけれど。