「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
サンクト・ペテルブルグ よみがえった幻想都市 (中公新書)
著者 小町 文雄 (著)
独自の文化を花開かせながら、社会主義時代にはレニングラードと改称されるなど、歴史に翻弄されながらも、往時のすがたを取り戻したサンクト・ペテルブルグ。陰翳の濃い町並みのなか...
サンクト・ペテルブルグ よみがえった幻想都市 (中公新書)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
独自の文化を花開かせながら、社会主義時代にはレニングラードと改称されるなど、歴史に翻弄されながらも、往時のすがたを取り戻したサンクト・ペテルブルグ。陰翳の濃い町並みのなかに、栄光と悲劇の物語を訪ねる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小町 文雄
- 略歴
- 〈小町文雄〉1941年鎌倉生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。同大学外国語学部教授。ペテルブルグ文化大学名誉博士。著書に「おれんちでメシ食わないか」「ロシアおいしい味めぐり」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
現代のロシアを読み解くための源泉都市
2009/03/23 23:48
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて大帝ピョートルによりヨーロッパの美意識をふんだんに取りいれて建造された都市ペテルブルグ。社会主義時代には一転して受難の憂き目に遭い、名もレニングラードとされて華やかさや歴史的意義をすべて否定された。
近年ようやく往時の姿を取りもどしつつある都市を、歴史や街並み、現在の暮らしなどの面から紹介するのが本書だ。
暮らしの土台があるわけでもない、北国の河口の三角州という悪条件の場所に、農民らを連行して強制的に作られたペテルブルグ。この都市の建造で、一説には十万単位の人々が犠牲になったとの話もあるようだ。
首都の役割を果たしていた二百年のあいだですら毎年のように洪水に見舞われ、けして暮らしやすくはなかった都市。そして上流階級の華やかさの裏に増大しつづけた貧困層と人々の不満。この地で爆発した人々の思いを乗せ、時代はまさに社会主義へと突き進んでいくことになる。
ヨーロッパを模倣したさまざまな建築様式の街並みと、エカテリーナ2世が集めた美術品が納められたエルミタージュ美術館など、現代の目で見れば名所の数々である美しい都市も、レニングラードと呼ばれた時代には豪奢な時代の名残として徹底的に無視をされ、由来も知らされず物置として使われた建物もあったようだ。おそらくはその時代に記録や本体が失われたものも多いのだろう。
わたしは幼少時はロシアの民話、高校くらいまでは文学を通じてロシアに親しんでいたが、その後の時代にいだくことになった社会主義国家への悪印象、そしてふたたび食文化の本などを通じて近づいてきた豊かな歴史ある国ロシアへの思いが、なかなかひとつにならない。
もっと知りたい、自分の中でこのもやもやとしたロシア像をまとめたいと、何冊か本を読んできているが、ペテルブルグはそれらの時代の結び目を果たす、大事なキーワードではないかと思う。帝政ロシア末期から社会主義にかけての流れを勉強してみたい。
高校のころに読んだ記憶だけはある文芸作品の数々がいま手元にあったら、もう少し頭がすっきり整理できたかもしれない。つくづく残念に思うが、必要に応じてまた読んでいこう。
最後に、大まかな目次は
++++++++++
○ 序章 ペテルブルグ覚え書き
○ 第1章 ペテルブルグ事始め
○ 第2章 街並みとロシア美術
○ 第3章 中心名所と生活
○ 終章 矛盾と幻想の街の生命力
++++++++++
となっている。
巻末の参考文献が、数ページながらも、よくまとまっていてありがたい。