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紙の本
小説家志望に読んで欲しい本
2006/10/27 22:26
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:芦原直也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説は素晴らしい。茂木健一郎も手放しで褒めていたが、私も今まで読んだ中で最高点を与えたい。もしこの小説を模倣したとして、その作品は決して文芸趣味に浸った小説にはなるまい。何故なら、この小説には文芸趣味的なネガティブで無意味な観念が全く無いからだ。書評家の豊崎氏はソルジェニーツィンの『収容所群島』を「ルサンチマンが無い」と評していた。たしかに、ソルジェニーツィンの文章からは、我が身を正当化しようとして相手を貶めようとする思想が全く感じられない。地獄のようなラーゲル(刑務所)の日々を楽天的に描いているのである。特に食事時の描写は秀逸である。自分の食い扶持を増やそうと、皿を1つ余計にとって数をごまかしたり、スープの具を少しでも取ろうとナベの中を穴が開くほど見つめたりする様子からは、必死さと滑稽さが同時に伝わってくる。生きることの素晴らしさを、食事の様子を読んで感じてしまうのは今まで一度も無かった。
もし、同じ題材を文芸趣味に浸った人間が書けば、スープをいかに多く取るか、作業現場でブロックをいかに効率的に組むかなんて描写は書かず、自分がラーゲルに入ったことの不条理について延々と書くだろう。そんな作品は必ず駄作となる。もちろん、不条理を書くのは文学上重要なテーマだ。カミュ『ペスト』は不条理ばかりを書いている。ただし、それを意識して書くのは非常に危ない橋を渡ることなのだ。不条理というステロタイプにはまってしまう。そうなれば、その作品からは作者の持つオリジナルな感情や思想をまったく含まなくなる。オリジナリティの無い小説の何が良いだろうか?
小説は、地に足をつけて書くべきである。ソルジェニーツィンは、その見本となる小説を書いている。必読である。
紙の本
朝起きてから寝るまでの文学
2005/02/16 09:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tabby - この投稿者のレビュー一覧を見る
無実なのに、八年の懲役刑を科されたイワン・デニーソヴィチ・シューホフの、朝起きてから寝るまでの収容所での暮らしについて。
と、さっくりとあらすじが書けてしまう小説だからこそ、その中に込められた「細部」には作者ソルジェニーツィンの並々ならぬ情熱が伝わってきます。
たとえば以下のごとく。
氷の張るような冬の寒い朝、起きるのが面倒でいつまでも布団にくるまっていたいなあと思ったことはありませんか?
仲間と食事に行ったとき、自分の食べたいものを先に食べられてしまったという経験は?
職場、学校などにおいても、
単調な作業を延々と続けてほとほと嫌になったことは?
仕事をさぼる仲間を見て「コノヤロー」と思ったことは?
先生・上司からのお叱りを受けるのが面倒くさくて、いい子・良い社員の「ふり」をしたことはないですか?
これらに似たことが、小説の「細部」として、執拗に描かれています。
現在・過去・未来と、良い小説に必要な要素も、その当時のロシアの現状を題材に、
すべて描き出されています。
あと、ぎりぎりの生活環境で生きていくための「心構え」も。
これが文学でなくて何が文学でありましょう。
ソ連共産党体制という、「反抗するべきもの」がなくなった現代こそ、
この小説が放つ光はなおいっそうまばゆくなってゆくと思います。
紙の本
名訳です。
2016/02/13 22:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まこちゃこすー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジュンク堂の新潮文庫海外文学の棚で、すぐに読みきれそうな薄ーい本を探していて、それだけの理由で選んだのがこの作品でした。が、苛酷なラーゲルでの一日が、辛いはずなのに生き生きと描かれていて、最後の「一日が、すこしも憂うつなところのない、ほとんど幸せとさえいえる一日が過ぎさったのだ。」という一文を読んだときには、この小説が私のかけがえのない一冊になっていました。
これからお読みになる方は、絶対この木村浩訳で読んで下さい。名訳です。
紙の本
ソ連の過酷な収容所生活の中で守られるもの
2022/10/04 10:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソ連の収容所で生活するある百姓の一日。極寒の土地で、人間の精神がやさぐれているが、同じ環境の中で生活する者同士の連帯、生き残るための智恵、守り抜く信仰も垣間見える。
紙の本
小説の書き方の一つの頂点
2022/02/15 11:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
収容所における朝から夜までの一日の出来事のみを記した作品である。独裁主義の暗部の典型である強制収容所を舞台としているのに、反独裁主義 反共産主義といった主義主張の記述が一切なく、読者に事実の記述からだけで「反独裁主義 反共産主義」を強烈に印象づける稀有な作品である。この作品と比べたら、作品中に登場人物に演説をさせるレ・ミゼラブルなど冗長の一言である。
紙の本
ロシア革命って、なんだったんだろう
2019/01/27 19:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
スターリンが死去したのが1954年で、この小説が発表されたんが1962年。すでに最高指導者はフルチショフに代わってしまっていた。スターリン時代の圧政批判ということもあって出版することができたという側面はあるのであろうが、かなり収容所での生活についてオブラートに包んで描写しているということも要因なのだろう。今日はいつもよりたくさんパンがもらえた(ラッキー)他の班よりも楽な仕事に回してもらった(超ラッキー)なんて素敵な一日なんだと皮肉全開でその日の出来事を描いていく。トルストイやプーシキンの小説に登場する、我が世の春を謳歌していた貴族たちにはこの革命によってどんな運命が待ち受けていたのだろう
紙の本
一日
2001/03/02 15:53
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7777777 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソルジェニーツィン(ロシア、1918−)の強制収容所生活の体験をもとにした作品である。
題名からもわかるようにイワンデニーソヴィチの一日を詳細にかいた作品である。一日といってもそこに書かれているのは過酷で恐ろしいほど管理された現実である。