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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.7 36件
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  • カテゴリ:小学生
  • 発売日:2005/10/14
  • 出版社: 福音館書店
  • サイズ:21cm/269p
  • 利用対象:小学生
  • ISBN:4-8340-2148-3

紙の本

かはたれ 散在ガ池の河童猫 (福音館創作童話シリーズ)

著者 朽木 祥 (作),山内 ふじ江 (画)

【産経児童出版文化賞(第53回)】【児童文学ファンタジー大賞(第9回)】【日本児童文学者協会新人賞(第39回(2006年))】【児童文芸新人賞(第35回)】河童のこどもが...

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かはたれ 散在ガ池の河童猫 (福音館創作童話シリーズ)

税込 1,650 15pt

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商品説明

【産経児童出版文化賞(第53回)】【児童文学ファンタジー大賞(第9回)】【日本児童文学者協会新人賞(第39回(2006年))】【児童文芸新人賞(第35回)】河童のこどもがやってきた。小さな猫に姿を変えて…。かはたれ、それは魔法の解ける時間。今まで見えなかったものが見えてくる。心の問題を抱える少女・麻と、河童のこども・八寸との、ユーモアと感動に満ちたファンタジー。【「TRC MARC」の商品解説】

河童族の生き残りの中で、8歳になったばかりの「八寸」と呼ばれる河童が、修行を積んで人の目から姿を隠す術を学ぶため、猫に姿を変えて人間の世界に送り込まれることになった。八寸は麻という女の子の家で暮らすことになり、母親を亡くしたばかりの麻は、猫の八寸に大いに慰められるが、ある日猫を洗ってやると、八寸は河童の姿に戻ってしまったのだった…。心の問題を抱える少女とかわいらしい子どもの河童とのユーモアと感動に満ちたファンタジー。【商品解説】

著者紹介

朽木 祥

略歴
〈朽木祥〉1957年広島市生まれ。上智大学大学院博士前期課程修了。被爆2世。

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評価内訳

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紙の本

児童文学作品として一家を成しながら、続編『たそかれ』と併せて大きなファンタジーに化ける。人間の世界に入り込み、孤独な少女と心通わせる子河童の物語。

2007/08/29 17:04

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『かはたれ』は、「子河童の冒険物語」と「人間の少女の成長物語」が合わさった上質の児童文学であり、これはこれで見事にきちんと完結した作品なのだ。しかし、続編『たそかれ』を読むと、『かはたれ』での出来事も発展・収斂させてまったく新たな地平が広がり、ファンタジーとしての界層がぐっと上がる。その上がり方にひどく驚かされてしまう。この驚きについては『たそかれ』の方に書くとして、ひとまず、児童文学の大きな収穫としてこの物語を読む楽しみと、『かはたれ・たそかれ』を併せて一篇の立派なファンタジーとしたときの第一部「かはたれ」を読む楽しみが二元的に味わえることに、何かとても「お得感」があると強調しておきたい。
 河童は幻獣であり、「生まれ」「死んだ」ものであり、その意味で、意思や行動の足跡だけ残し、自らが体現してその存在を示すことのない妖怪や幽霊とは根本的に区別されるべきだ――と川崎市民ミュージアムの湯本豪一氏は言う。同館の企画による展覧会「日本の幻獣」には、頭の皿や甲羅は欠くが、大阪の寺が所蔵している河童のミイラが出品されていた。それは確かに、いかにもどうにも河童としか言いようのない姿形で「やはり幻などではなく、いたんじゃないか」と私には思えた。
 渇くと死んでしまう、ウルトラマンの胸のボタンのような頭の皿と、すらり伸びた手足を収めきれないであろう無用の甲羅をトレードマークとする河童は、その姿形のユニークさから、子どもの本の世界ではずっと、ユーモラスでいたずらものの愛らしいキャラクターとして扱われるのが一般的だった。
『かはたれ』の子河童・八寸は違う。表紙絵の表情を見て、愉快な河童の話ではなさそうだと見当がつくが、最初に紹介されていくこの河童の身の上を知れば、幼くして大変な目に遭った実に切ない子であることが分かる。よくありがちな面白いキャラクターではなく、きめ細やかな感情を持つ河童として丁寧な内面描写がされ、「河童物語」としてイメージされるものからはっきり区別される。
「人間による自然開発が進み、やがて人間の姿をちらほら目にするようになるだろうから」という理由で、子河童の八寸は長老から人間界に修行に出ることを命じられる。
 八寸たちの住む池も、修行に出る里も、舞台は現代の鎌倉あたりである。長老の術を以って八寸は小動物に変えられて人間界に入り込むことになるのだが、いつのまにか八寸の物語がゆっくりねじれるようにして麻という名の少女の物語にすり替わっていく。読んでいるときは夢中だが、あとで考えてみると、この物語の運び方のわざにも感心させられてしまう。そして、鎌倉に残された自然の描写が素晴らしい。いかにも住んでいそうな文化人や市民ボランティアが登場するのにも鎌倉らしさがある。何よりも、河童を現代に登場させてドタバタにするのではなく、少女との交流を違和感なくしっとり書けてしまっていることが素晴らしい。
 麻は母を亡くしている。同じようにさびしさを抱える切ない八寸と麻が共鳴し合う。しかし、八寸は化けていて正体を隠しているわけだし、両者はお互いにどういう身の上なのかを知るよしもないわけだから、八寸と麻がなぜ引き寄せられ合うのかは読者が勝手に読み取ることなのである。
 八寸がどのようにして小動物に化けたままでいられるのか、どういう失態を演じてしまうと正体がばれそうになってしまうのか、麻と同様に親しく付き合うことになる犬とのエピソード、自分の世界にこもりがちな麻の支えとなっているもの、麻と父親とのコミュニケーション、それから八寸の帰還……。書いてしまうわけにはいかないので控えるが、物語の約束ごとがきちんきちんと果たされている。行き過ぎず舌足らずにならず、抑制の利いた淡々としたストーリーテリングのなかに情感が湧きあがってくる。物語に収まらず日常の方へこぼれ出してくる豊かさがある。

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紙の本

今年度、一番読み応えのあった児童文学作品。

2009/12/28 22:11

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:marekuro - この投稿者のレビュー一覧を見る

手に取るまでは知りませんでしたが
本書は「第35回児童文芸新人賞」や
「第39回児童文学者協会新人賞」
その他、多くの章を受賞されているそうです。

読後の結論のみを先に出してしまうとしたら
「今年一番読み応えのあった児童書だった」
となります。

そして評者がこの作品から受けとったメッセージは

『見えない・聞こえないものの中にある
メッセージを受け取ろうとすることの大切さ』
でした。

タイトルにある「かはたれ」とは

     かはたれ
     夜明けがたの薄明。     
     おぼろげな光のなかで、
     かれはだれか見分け難いとき、の意
     「彼は誰」。かわたれどき。
     古くは、夕暮れどきもこう呼ばれた。
     (表紙より)

の事を指しています。

本書の物語のアウトラインを簡単に示すと
以下のようになるかと思います。

********************************************
とある池に住んでいた河童の家族が人間に
見つかりそうになったことから、村八分状態になり
追い出され、一人残された河童の子どもが修行と
称して人間の住む場所に猫の姿で送り込まれる。
そこで出会った少女と河童。
姿かたちは違うが、似たような境遇で、似たような
心理的な状態である両者は心をかよわせ‥‥‥
*********************************************

というものです。
実は先にも書いたとおり、評者が今年度読んだ
児童書の中では一番の読み応えでした。
今年度読了した児童書の中ではダントツの1番
だったと言い換えても過言ではありません。

この書評を読んでくださっている方に
詳細に本書のアウトラインを示し、部分部分を
切り取って(引用して)示すことも可能です。

ですが、あえてそれはしません。
なぜなら、まずはこの美しい物語を
丸ごと全体として堪能してほしいからです。
それ故に、アウトラインもかなり簡略して
示しました。


あえて抽象的に本書の特徴を述べるなら
ストーリーが秀逸であるのは先に述べたとおりですが
作品から垣間見える背景の豊かさが挙げられるでしょう。

それは、詳細な動植物の記述だったり
あるいは、さまざまな文学(児童文学も含む)作品
へのオマージュ的な記述だったりします。

ひとつとして、無駄な要素がなく
多くの賞を受賞されたのも納得の一作でした。

なお、本作品には続編として
たそかれ
があります。

「かはたれ」だけを読んでも充分に満足できるのですが
「たそかれ」を読むことで、作品の時間軸が現在・過去
・未来へと広がっていき、線が円になるような感覚を
味わいました。

児童文学であり、大人はあまり手にしない
作品かもしれませんが、多くの読書家に
おすすめしたい作品です。

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紙の本

目に見えないもの、耳に聞こえないものの中にある本質

2009/12/27 21:10

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

「かはたれ」と「たそかれ」。

「かはたれ」が、夜明けがたの薄明、
「たそかれ」が夕暮れどきを指している。

両者は似た言葉であるが、
「夜明け前」と「夕暮れ」という言葉が象徴するものと
それぞれの物語の世界観が重なっているように思う。

本書は、「河童猫」の物語。

といっても、本書に登場する「八寸」にとっては、
「猫」は世を忍ぶ仮の姿であり、「河童」が本質だ。

表紙はなんとも切ない雰囲気が漂っている。

冒頭のこの言葉をまさに描写しているのだ。

  小さな沼のほとりに、
  こどもの河童がひとりぼっちですわっていた。

  河童は、腕いっぱいに花束のように蒲と葦を抱え、
  背中にも葦の束をくくりつけて、
  頭には姫蒲で仕立てた冠をのせていた。

  風が吹くと、姫蒲の穂先が花かんざしみたいにゆれた。

  河童は、まるでお地蔵さんのように
  少しも動かないですわっていた。

  この河童の名前を八寸といった。

  浅沼の河童の最後の生き残りである。

八寸という名前は、「ほぼ年齢順にふられた背番号のようなもの」だという。

一寸が父、二寸が母で、あとは兄弟が順に三寸、四寸・・・ときて、
八寸は6番目の末っ子だったのだ。

浅沼の一族は、八河童しかいなかったが、ある夏に騒動が起こり、
八河童のうち七河童までが姿を消した。

「八寸はわずか61歳で、天涯孤独の身の上になったのである」
というのを人間の年齢で読むとあれっと思うが、人間では6歳にあたる年齢だ。

河童は浅沼の一族以外に、深沼の一族や大池の一族がいたが、
彼らは八寸の家族が姿を消した騒動をきっかけとして、
八寸とは交渉をほとんど持たなくなっていた。

  年長の河童が鬼胡桃を三粒ばかり握らせて、
  「たまにはようすを見に行くから、
  おまえは月待ちの桜よりこっちにはもう出かけてくるな」
  と言ったのである。

八寸はいわば村八分の状態にあったのだ。

なぜ八寸がこんな目にあわなければならないのか、
八寸の家族はどうなったのか理由は明かされず、
表紙の八寸と同じような心細い気持ちになっていく。

大騒動から20年が過ぎた夏の宵、81歳になっていた八寸は、
長老に呼び出され、修行に出るように言い渡される。

長老が「河童猫の術」をかけるので、
人間の世界に猫として出かけていって、人間をよく観察し、
人間について、できるだけたくさん学んでくるということが修行の趣旨だった。

そして、いろいろと注意を聞かされる。

水を浴びると河童の姿に戻ってしまうこと。

夜にはたっぷり月の光を浴びる必要があること。

猫は河童の八十倍の速度で生き急いでいるから、
夏が終わったら帰ってきて河童に戻らないと
河童の自然を破ってどんどん老いてしまうこと。

河童の姿に戻るようなことがあったら三度までは
預けられた緑色の珠が助けてくれること。

四度目は絶体絶命のとき。

珠を地面に投げつければ、願いが一つは叶う。

気を思い切りこめることができれば二つくらいは。

こうして八寸は人間の世界にやってきた。

八寸は、たいていの人には猫にしか見えないのだが、
彼の本質の姿を見てしまう人間もいた。

タイムトラベラーの姿を見ることができる人がいるのと同じことなのだ。

ひとりは、窯を開いている滝先生。

  しばらくその姿に見とれているうちに、
  先生は不思議な感覚にとらわれはじめた。

  今見ているものが、目に映っている姿とは違うような、
  まだ現れていない姿をあらかじめ見ているような、
  奇妙な感じである。

  一心不乱に粘土をこねたり、石の塊を削ったりしているとき、
  ふいに胸を打ちはじめる感覚によく似ていた。

  土の中に忘れられないひとの面影を探りあてたり、
  石の内に羽根をたたんでうずくまっている
  天使の姿を見い出したりしたときの、
  あの心躍る感覚だった。

彼には、「猫の姿のむこうに、小さな緑の姿を透けて見えた」のだ。

そして、もうひとり、八寸の本質を見てしまう存在。

それが、麻である。

麻は、縁があって八寸を引き取ることになるのだが、
お母さんを亡くしており、それが彼女の心の持ち方に大きく影を落としている。

  お母さんがいなくなって、麻は自分が見ていることや
  聞いていることに自信が持てなくなった。

  とりわけ、自分の感じていることや考えていること、
  教えられたりどこかで読んだりしたこととの境目が
  わからなくなってしまったのだ。

  自分がしゃべっていても自分ではないような気がしたり、
  どんな気持ちも自分のものではなくて借り物のような気がする。

八寸をお風呂で洗ったら、
河童の姿が一瞬見えてしまった事件をきっかけに、
麻は、八寸は本当は猫なのか河童なのかと考えるようになる。

麻の母親は、麻が幼かった頃、仕事で忙しいお父さんが後で読めるように、
麻が見たきれいなものを全部書いてみたらとすみれ色のノートを渡していた。

そこにはどんな気持ちだったのかも書くこと、そして、
「耳に聞こえる音楽は美しい、でも耳に聞こえない音楽はもっと美しい」ということも教えていた。

この耳に聞こえる音楽は・・・に限らず、
著者は、行間にたくさんの教養を織り込んでいる。

本書は、他の本からの引用が多く、
その本も読んでみたいなぁと思わせるのである。

麻は、一緒に見たり聞いたり感じたりしてくれた存在を亡くしたのである。

母が教えてくれなかったことを、
この先自分はどう感じるのだろうと麻は立ち止まってしまったのだ。

八寸と麻は、たまたま縁があったのだともいえるが、
八寸の寂しさと麻の寂しさは共鳴していたのかもしれない。

そして、寂しさだけではなく、麻には感性があった。

麻は、八寸と話ができるような気がしていたし、
そんなときは、猫の向こうに緑の姿が透けて見えていた。

猫でも河童でも八寸には変わりないと思うようになる。

学校から麻の様子について手紙をもらっていた父は、麻に手紙を書く。

麻の父は、麻と真摯に向かい合いながら、
自分自身の妻を亡くしたという喪失とも向き合い、
その間に起こったことを率直に手紙に書いていくのだ。

本書は、目に見えないもの、耳に聞こえないものの中にある
本質を見つめることの大切さを伝えてくる。

さらに、大切な人を失った後、
人は、静かに確かに再生していくのだということも教えてくれる。

そして、思い切り気を込めた本当の願いはきっと通じるということも。

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紙の本

八寸と麻の心が触れ合うとき、やさしさと希望が見えてくる。

2007/05/04 01:13

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まい - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公のかっぱの八寸の抱えるさびしさ、せつなさ。それでも、優しさを失わない八寸の心の温かさがしみじみと心に沁みる、とてもいい物語です。
 ある事件が起こったため、家族みんなが行方不明になり、ひとりぼっちになったかっぱの子ども、八寸。あるとき、長老から「人間の世界に出かけていって、人間を観察して来い」と言われ、猫に変身させられ、人間の町に出かけます。出あったのは、丘の上にある家に住む女の子の麻。麻は、お母さんを病気で亡くし、お父さんとふたりで暮らしていました。
 麻と、その家の犬チェスタトンと、猫として家に入り込んだ八寸の生活が始まります。さびしい気持ち、ひとりぼっちのせつなさを知る者どうし、言葉には表さなくても、心がふれあっていくあたたかさ。そのうち、麻は、八寸の正体にも気づいてしまいます。
 一方、麻は、お母さんが亡くなったあと本当のことを語れる相手がいなくて、自分の感じ方や、見方、自分の目で見たこと、自分の気持ちに、自信が持てなくなって深く悩んでいました…。
 「かはたれ」とは、おぼろげな夜明け前の朝刻のこと。「いろんな魔法がいちばん美しくなって解ける、はかない時間。今まで見えなかったものが見えてくる時間」のこと。
 麻の気持ちにやっと気づいたお父さんが、娘に宛てて書いた長い手紙には、ほろっとさせられるし、脇役のチェスタトンもとても
重要な役回りで、その活躍にニッコリさせられます。
 かわいい八寸と麻の気持ちが、心をゆさぶり、あたたかくする物語。章立てもうまく、八寸と麻の、成長と再生の希望が見える結末もとてもいいです。心配なのは、表紙が地味(私は大好きですが…)なので、子どもが手にとってくれるかな、ということ。子どもに届けて欲しい、おすすめの1冊です。

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2007/07/01 18:04

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2007/07/11 14:20

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2008/03/01 22:12

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