紙の本
夢とは自己願望のあらわれである
2001/03/02 20:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7777777 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フロイトの夢についての見解をまとめたもの。フロイトは夢とは自己願望のあらわれだという。精巧で独自な論理で筆者の見解が展開されている。この、夢の概念はシュルレアリストたちにも影響した。
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汎性愛主義者pansexualistの異名で知られるフロイト。しかしフロイトの重要性は、なにも、すべての人間行動の根源には無意識へと抑圧された歪んだ性的欲求がある、と主張したことにあるのでは、ない。まあそういうふうに茶化して戯画化するのはまだいいとして(やりたくなるのは分かるよ)、小説なんかであたかもちょっと勉強したようなふりをして、それをフロイトの主たる主張のようにしたり顔で使うのはやめてほしいもんだ。フロイト面白いですよ、と言うとだいたい「あー、そういう趣味なの」って反応をされるが、不本意です。不本意。
たしかにこの著作『夢分析』で展開されたのも、性愛欲求とダイレクトにかかわる論である。それは否めない。夢の具体的な内容の裏には潜在内容なるものがあって、その内容はつまるところ夢を見た人間の願望充足にかかわる問題で、やはりセクシュアルだったり自分の厭ぁな側面を暴露するもので・・・。しかし重要なのは、潜在内容が何か、ではない。そうではなくて、「夢は歪曲される」---- 欲求の表象なるものはつねに歪曲を経るのだという主張であり、その欲求と表象と象徴との興味深く折れ曲がった関係性の指摘なのではないか。そこに着目したときに敷衍しうるのが、表象は欲望の対象を描こうとして描こうとして、追いかけて追いかけてなおいく度となくそれに失敗する----そのつど何かを取りこぼす、という考え方であるわけで。これを直接フロイトから導き出すのは困難だとしても、そうした欲望と表象の関係性を考える土台を、やはりこの奇人は提供していると思う。
そう、ある芸術家にある芸術作品を作らしめたその根本的性愛欲求を指摘することは、5分程度のスキャンダラスな娯楽を提供するかもしれないが、それ以上の何ものにもなりえない。多くの場合熟考に値するのは、その欲求が作品において、どのような手段をつうじて、創造的に、かつ鮮やかに、さししめされたのかということであろう。加えて言えば、「ある欲求がすべての根源として存在する」という信念は、すでに潰えさってしまったのだ。結局のところ、我々は歪曲された顕在内容そのものから出発するしかないのである。だからもう一度、読み直しましょうよ、フロイト----と自分へ呼びかける夜だったのです。
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フーコーはバディウによるインタビューの中で、精神分析は、すでにそれを読むための鍵を手にしているようなテキストを読み解く<判読>ではなく、そのような鍵そのものをテクストから探さねばならない<解読>に属するのだと言っている。我々はたしかにこのような方法的指針を夢解釈に見て取ることができる。本書を読んだ読者は、さまざまなものが性器の象徴として挙げられることに違和感を感じるだろう。しかし一方で、フロイトは類型夢の扱いに絶えず留保を付けており、夢解釈の原理が自由連想に−即ち患者の側に−あることを強調しているのだ。本書に載せられている事例はフロイトによる<解読>の結果なのであって、我々がそれを一般化し単純化することはフロイトの意に必ずしも適うことではない。同時に我々もまたフロイトの書物を<解読>せねばならない。
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思い出しレビュー。
上下巻。大学入学直後に読んだ本。サルバトール・ダリがこの本に触発されて「アンダルシアの犬」を作ったことは有名な話。フロイトの精神分析を知りたければ、これよりもあとに書かれた「精神分析入門」を読むべきだとは思うが・・・。
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精神医学者としてヒステリーの治療に携わり、精神分析の方法を確立、精神の深層の無意識界に光をあて、人間心理の源をさぐったフロイトの学説は、ひろく人文科学の諸領域、特に二十世紀文学に多大な影響を及ぼした。本書は、日常生活において無意識に抑圧されている欲求と“夢”との関係を分析、実例を詳査してその解釈により、人間心理を解きあかそうとする名著である。
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上下
日常生活において無意識に抑圧されている欲求と“夢”との関係を分析。解釈の偏りがなきにしもあらず。
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とにかく読み終わるまでが大変だった。
ただ、これを読めた。
っていう達成感は凄いものがあった。
ツール本のはずだけど、これは現代じゃ
ぜんぜん通用しないんだろうな。
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ほんとはたっかいハードカバーの方を買ったんよ・・・
わけあって読み直すことになったんだが
えろいね。
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去年の夏は『精神分析入門(正・続)』を読破できたので、今年はこの本にあたることにした。
この2書は独文学者高橋義孝訳で新潮文庫に収録されている。ということは専門書ではなく一般教養ということだ。少なくとも30年前くらいはそうだったはずである。
講義録である前掲書に比べると本書の方がかなり手ごわい。ユングに比べればフロイトの文章はずっと論理的で読みやすくはあるのだが。
「夢」の扱いが容易ではないのだ。神秘と科学。自然と人間。自己・自我・意識・無意識・・・
あわてないで下巻に進もう。
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難しくて読むのに時間がかかる。特に1章が苦痛。2章以降は、実際の夢分析の事例が多く出てきて、面白かった。主張があり、それを説明するために夢分析の事例を出すような流れ。
フロイトは「夢は無意味なものではなく、はっきりとした意味を持った心の所産だ」と主張している。そして、夢の意味を解き明かす方法もあるのだと。夢には意味があるということは、自分には感覚的にその通りと普通に受け入れられる。でも、この本が書かれた頃はそういった考えは普通ではなかったのかもしれない。神のお告げとか。
実際の夢分析の事例が細かく書かれているのが面白い。また、「夢の材料には、前日の体験が用いられやすい」、「夢の検閲・歪曲」、「夢は願望充足」といった考え方。そういったものを考えていると、夢をよく見るようになるから不思議だ。
下巻も読めば、より自分の夢を考えることができるようになるか?
そこからより自分を理解できるようになるのかもしれない。少し危ない方向に進んでいるのかもと思いつつ、下巻を読もうと思う。
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授業の課題として読んだ。辛かった。
フロイトってなんか偏りまくった心理学の祖ってイメージだったけど、こんな緻密に、膨大なデータをもとに主張してたんだって驚きました。けどやっぱ量的にも内容的にもキツかったです。勉強になりました。
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リンデンさんを読んでフロイトさんを読むと、フロイトさんの天才さが骨身にしみる。
脳をスキャンする計器なんてなかった時代にここまで脳の機能すなわち心に肉薄してるんだから。
少なくとも、あと一回は読もう!
Mahalo
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フロイトは雑にコンプレックスおじさんという理解をしていたが、ここまで詳細に過去の夢に関する研究をしていたとは驚き。
上巻は様々な夢の事例からフロイトの理論の骨子を導き出す感じか。
無意識の夢の思想から顕在する夢の内容。
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大学の職員として高校でガイダンスをすることが多くある。心理学の学科があるので心理学について話すこともある。最近はプチ心理学ブームで書店に行くと心理学の本、特にアドラー心理学の本をよく見かける。そんなプチ心理学ブームにのって、ガイダンスではアドラーとフロイトを比較して説明したりしているけれど、本当はアドラーやフロイトに詳しいわけではない。家の本棚を見ると大学生の頃に読んだフロイトの「夢判断(上)」があった。新潮文庫の文庫本で値段はなんと400円と安く、時代を感じる。読み始めたのは良いけれど、読みやすい文章ではないし、何しろ文字が小さくて、老眼の自分には読むことが苦痛で、読み終わるのに1ヶ月以上かかってしまった。
当たり前だが、夢判断は夢占いではない。その夢を見た意味や夢の源泉がどこにあったのかと考える。
私は割と夢を覚えている方で、今でも思い出せる夢のシーンがいくつもある。不定期に絵日記にして記録もしている。
前日の出来事や言葉からの連想から夢を見ることにつながるのは理解できるが、今その夢を見たということの意図がどこにあるのだろうと思う。
自分の夢日記を見返して分析してみたい。
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勝手に身構えていたけどめちゃくちゃ読みやすいので驚いた、でも(仕方ないとはいえ)夢の話に飽きてくる、それでところどころにハッとするような記述がある、下巻へ。