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商品説明
無条件降伏から60年。日本はもはや戦後ではなく戦前である。太平洋戦争の過ちが凝縮されているノモンハン事件を識ることで視えてくる、日本の危さと真実。根源を辿り、未来の標となる渾身の歴史長編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
津本 陽
- 略歴
- 〈津本陽〉1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。「深重の海」で直木賞、「夢のまた夢」で吉川英治文学賞を受賞。現在、直木賞選考委員。他の著書に「下天は夢か」「前田利家」など。
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紙の本
司馬さんが、書こうと思っても書けなかった、ノモンハン
2006/02/27 18:44
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノモンハン事件(事変)については、
半藤一利さんの「ノモンハンの夏」や、安彦良和さんの
「虹色のトロツキー」で、ある程度既に知っていたのですが、
「乾坤の夢」や、最近では、「覇王の夢」で知られる、
歴史小説作家の津本陽さんが、ノモンハンを書いたと、いうことで、
読んでみました。
ノモンハンは、簡単にいってしまうと、
日露戦争後、さしたる身に迫る脅威もなく又、戦争を経ず、
軍部内の派閥争いに終始して
近代化と組織の合理化を全く行わなかった、日本陸軍が
行った、大変まずい戦争です。
独自の歴史観を持ち、歴史英雄の素晴らしさを謳いあげる
司馬さんが、資料まで集めていながら、そのひどい内容と
一つ、間違えば、自身が戦場に行っていたかもしれないと、
思いから、筆を進めることが出来なかった、テーマでもあります。
この、失敗から、学んで、色々改革を行えば、
ひょっとしたら、太平洋戦争の悲劇は、ある程度回避できたかもしれませんが、そんな風には、なりませんでした。
又、本書では、ノモンハンを独断専行で指導した、
辻政信という参謀にも、かなりページを割いて書かれています。
又、辻政信の自著からの、引用もあるのですが、
ここまで、美化できるものか、と返って、あきれ返ってしまいます。
でも、逆に、今回読んで思ったのは、辻政信も、士官学校時代や、
尉官クラスのころは、清廉潔白で、よい将校だったと、いうこと。
この辺も、日露戦争までは、現実感が、あり組織的に合理性
のあった、日本陸軍と、辻政信自身が、象徴的にかさなりました。
私が、はじめて、辻政信を知ったのは、上記した、
「虹色のトロツキー」という漫画内の、辻政信で、
現在連載中の、かわぐちかいじの、「ジパング」の眼のきらきらした
辻政信には、違和感を覚えてしょうがありません。
「虹色のトロツキー」では、最後に、辻政信が、日本軍の累々たる死体
の上を行進するように大またを開いて、
欧州大陸に進出するには、こんな被害小さい小さいと、
鬼のような形相で、踏み出していこうと、する姿が、描かれています。
ここに、この時期の辻政信のすべてが、凝縮されていると、
いっても過言では、ない気がします。
全体的に、経済の伸び悩み等で、高度成長時代の過去の成功体験
ばかり、追いかけるものが、たくさん最近目に付きますが、
失敗も、並行して取り上げることにも意味があると思います。