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商品説明
お母さんが家出した-。残された高校2年生のみずきは、新しい家族とともに淡々と日常生活を送る。しかし、捨てられた猫をみつけたことにより、その日常が変わろうとしていた。捨てられた子どもたちと捨てられた猫たちの物語。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
橋本 紡
- 略歴
- 〈橋本紡〉三重県出身。第4回電撃小説大賞金賞を受賞し、作家デビュー。著書に「毛布おばけと金曜日の階段」「半分の月がのぼる空」など。
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紙の本
あなたも一緒に感じましょう
2005/08/17 09:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぬほがち - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋本紡の曜日シリーズ、第二作目。
同系列の「毛布おばけと金曜日の階段」と比べると、はっきり言ってこの作品はこの系列の中では最高傑作だと思います。
両親が居なくなってしまった今、家族と呼べるのは自分と弟の「コウちゃん」と友達の「健一君」だけだった。主人公の「みずき」は、毎週木曜日にその三人で一緒に夕飯を食べることにした。少し歪ではあるが、失いかけた日常が戻ってきていた、そんなある日。道端で一匹の猫を見つける—
登場人物それぞれが、それぞれの悩みと言うか、負い目のようなものを持っています。母親が居なくなって少しおかしくなった5歳のコウちゃん。足が不自由でサッカーを辞めた健一。この辺りも物語を語る上で重要な要素です。
この系統にありがちですが、「○○がいい!」とか「○○が面白い!」とか、そういう「何がいいのか」という疑問に対しては、なかなか答えづらいものがあります。作品全体の雰囲気を楽しむと言うか、感じると言うか。それがこの系統の楽しみ方であると思うし。
これは捨てられた子供達と、捨てられた子猫たちの物語—
紙の本
猫とマルセイユ式ルーレットとキッチン
2006/04/13 00:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
母親が家出した。高校2年生のみずきは5歳になる弟のコウちゃんと取り残されたが、母親がいなくても続く日常。木曜日には健一と一緒に食卓を囲み、家事を切り盛りし、猫の死体を庭に埋めて、それなりに幸せな生活を送っていた。母親がいなくても不便はないし、コウちゃんと健一君がいるからさびしくもない。少しいびつだとはわかっているけれど、こんな家族の形があってもいいと思うみずき。足の怪我が原因でサッカーをやめてしまった健一、お母さんがいなくなってからちょとだけ変なそぶりを見せるコウちゃん、猫と猫の死体。子供達の精一杯の物語。
本体ならば持っているはずの当たり前のものがなくなってしまったら、生きていくのはそれだけで難しくなるのだろうか。いつもの日常がちょっとだけ姿を変えて、歪んだフレームのように、ガラスを隔てた向こう側のようになんとなくわかるようなわからないような日常。爽やかな青春小説かのように悩み、生きていくみずき達だが、なんとなく物悲しい読後感はどこから来るのか。つながっている日々の中で、母親が姿を消した数週間、庭に埋められていった子猫たち、たぶんいびつなのは世界のほうなのだろう。当たり前の生活を、平易な日本語で描くがゆえにみずきたちの純粋さが際立つ。
願わくば、木曜日の幸せなキッチンが続いておりますように。