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魔の山 改版 上巻 (新潮文庫)
魔の山(上)(新潮文庫)
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紙の本
療養の生活の中で
2023/01/15 09:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結核の療養施設で過ごす青年の日々。直ぐに良くなって元の生活に帰るつもりでいたが、一年が経ってしまう。その過程で、時間の流れを見詰め直す。人文主義の役割とは何かを問う。
紙の本
魔の山 上
2022/01/21 20:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平凡な小市民ハンス・カストルプ青年が従兄への見舞いがてらスイスの高山に療養に行き、療養所で体調を崩して他の患者たちと交流する。山の上の文化は「低地」とは異なり、他の患者や医師たちと議論を交わし、思索を深める事で時間や愛、生体としての人間などについて認識を新たにしていく。
教養小説ということで主人公は成長しているのだろうし、いつだったかこの小説を「世俗としての低地を下に見て芸術的・哲学的高みへとのぼっていく小説」という評価を見たことがあった気がするが、なんとなく療養所もハンス・カストルプの思索もうさんくさく感じる。これは私が世俗にまみれたからなのだろうか。
紙の本
私はこの療養所に入院するのは嫌だな
2019/01/26 21:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この療養所での主人公・カストロプの生活を描いたこの作品のタイトルが、なぜ「魔の山」なのか。読んでみてわかった。出ようとしても出られない、出ようと思うと主人公のいとこヨーアヒムのように送還されてきて死を待つしかない体になるか、主人このように出兵するしかない。もちろん、無事に退院できた人もいることにはいるのだが、ほとんどの人には死神しか退院を待っている人がいない。会えばいつも論戦するセテムプリーニとナフタ、人間ができているペーペルコルンもこの療養所で体を悪化させている。WW1前の話だから死ぬと決まっているものは必ず死ぬものかもしれないが、何かこの山の療養所は不気味だ
紙の本
読みとおすことで見えてくるもの
2015/09/26 10:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:naritaya - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が最初に断っているように、「単純」で、さほど魅力的でもない青年、ハンス カストルプの平凡な人生が、延々と描かれる。決して何も起こらないわけではない。彼は、さまざまな興味深い人と出会い、さまざまな出来事にも遭遇する。それらに彼なりに真剣に向き合っていく。中には心打たれるエピソードもあるのだが、なぜか、彼がその経験から学び、成長していったとは感じられない。どこか中途半端で場当たり的であり、どこまでも「単純」かつ凡庸なままなのである。彼の進歩のなさのせいか、一つのエピソードが終わる度ごとに、私はこの本を投げ出しそうになった。しかし、一度読み始めた方には、少々つらくても是非最後まで読み通すようお勧めしたい。読み終わってこの本を閉じた時、なぜ、この青年の取るに足らない人生に長々とつきあわされたのか?その意味が理解できるにちがいない。