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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2005/06/15
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社文庫
  • サイズ:15cm/405p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-275096-1

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ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)

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ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)

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目次

  • 序章   勝利の果実
  • 第一章  国務省が与えたヒント
  • 第二章  PRプロフェッショナル
  • 第三章  失敗
  • 第四章  情報の拡大再生産
  • 第五章  シライジッチ外相改造計画
  • 第六章  民族浄化
  • 第七章  国務省の策謀
  • 第八章  大統領と大統領候補
  • 第九章  逆襲

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みんなのレビュー161件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

ドキュメント・ボスニア紛争の情報戦、その明暗を分けたもの

2007/04/09 10:09

15人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本が情報戦を仕掛けられている。米議会における慰安婦謝罪決議問題だ。決議案はこれまでにも何度か提出の動きがあったのだが、今回は議会決議される可能性大だという。安倍総理発言について米メディアの不可思議な歪曲報道が拍車をかけている。
 これだけでも大変な問題なのだが、カナダ議会にも飛び火しているということだ。
 さらには、南京大虐殺をテーマとする映画が各地で十本以上も制作上映される。
 こうした日本を標的とする同時多発的な事件が偶然とは思えない。米メディアの歪曲報道も単にメディア側の認識不足によるものではないのだろう。早急に反転攻勢をかけなければ日本の国際的イメージは低下するばかりであり、深刻な事態にもなりかねない。
 このような状況だからこそ、国際舞台での情報戦の凄まじさについて再確認しておきたい。
 本書はボスニア紛争が舞台である。ボスニアのモスレム人とセルビア人との内戦であり、どちらが善玉でどちらが悪玉というものではなかった。
 それが、米国PR専門会社の支援を受けたモスレム人側のPR戦術により、情報戦でセルビア人側を圧倒、国際世論を味方に付ける大勝利を収めるのである。情報戦で敗れたセルビア側は、のちのコソボ紛争においても、悪玉という先入観により、NATOの空爆を受けるという惨禍をも招くのだ。実にショッキングである。
 モスレム人側についたPR専門会社の情報操作、PR戦術の巧みさはさすがに見事なものだ。日本の情報担当者も大いに学ぶべきところがあるのではないか。なにしろ、ありもしない「強制収容所」までデッチ上げることに成功しているのだから。
 一方のセルビア側は情報戦にあまりに鈍感だったことが、そもそも敗北の原因だったと言えよう。
 先述の「慰安婦」「南京大虐殺」にしても、仕掛けは米国の中国系団体などが噂されている。しかし、その背後にどのような組織が暗躍しているのか明らかでない。
 かつての大東亜戦争も、情報戦で敗れ国際世論を敵に回したことが、日本の悲劇の一因になった。そうした過去と重ね合わせてみるにつけても、本書は極めてショッキングであり貴重な書であると言えるだろう。

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紙の本

情報の持つパワーを思い知らされる

2005/07/28 05:22

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

“国際化”“高齢化”などと並び,“情報化”という言葉は,近未来を語る際のお決まりのキーワードとなっている。
しかし,本書によりあらためて知らされる。「情報」という言葉の持つ幅の広さと,それを有効に活用した場合の底知れぬパワーを。驚愕のドキュメントである。
ヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン半島を発信し,世界中に波紋を起した,旧ユーゴスラビア内戦であるが,その勝敗の帰趨(そのすべてとは言わないが)を握っていたのが,「情報」にあったとは。そして,その情報の多くは,アメリカの一民間PR企業によりつくられたイメージであったとは。
当時,誰もが信じた「セルビア人は悪」のレッテル。旧ユーゴスラビア分裂に際し,セルビア人が一方的にクロアチア,ボスニア・ヘルツェゴビナ,コソボに武力侵攻する構図。「民族浄化(エスニック・クレンジング (ethnic cleansing))」という台所のクレンザーを連想させるようなそのさらりとした言い回しにより,セルビア人による他民族殺戮の様を一層不気味に映し出していた。
しかし,その言葉さえ,ボスニア・ヘルツェゴビナが雇ったPR会社により考えられ,国際世論が持たされた戦争イメージの多くが,PR会社のイメージ戦略にのせられた作り上げられたものであったとは。
(もちろん,戦争そのものが嘘であったというわけではない。客観的に見れば,各民族それぞれに責任がある内戦であったのだ。)
情報戦略が国際世論まで操作し,戦争の行方を左右する。情報戦略により多くの人が戦争で死んでいく。恐ろしい話である。
しかし,筆者はあとがきで言う。
「紛争に介入するPR企業は「情報の死の商人」ということもできるだろう。銃弾が飛び交う戦場からはるかに離れたワシントンで,ファックスや電話(現在ならインターネットや電子メール)を使って国際世論を誘導するそのやり方には,倫理上の疑問が残る。・・・しかし,このような情報戦争という事態を完全に規制しようとすれば,結局のところ政府などの権力が情報を統制支配する社会にするしかない。それを私たちが望んでいないのは自明のことである。」
近未来社会は情報を受け取る側の能力がこれまで以上に問われる社会となるようである。

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紙の本

現代情報戦の最前線

2010/01/05 11:42

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1991年10月、ムスリム主体のボスニア・ヘルツェゴビナ政府は主権国家宣言を行い、1992年2月29日から3月1日にかけて独立の賛否を問う住民投票を行なった。住民投票は、セルビア人の多くが投票をボイコットしたため、90%以上が独立賛成という結果に終わる。これに基づいて、3月、ボスニア・ヘルツェゴビナはユーゴスラビア連邦からの独立を宣言した。これに反発したセルビア人住民は4月には「ボスニア・ヘルツェゴビナ・セルビア人共和国(スルプスカ共和国)」を樹立、ボスニア・ヘルツェゴビナからの分離を宣言した。このセルビア人勢力が隣のセルビア共和国の支援を受けて軍事行動を開始したため、ボスニア・ヘルツェゴビナは窮地に追い込まれた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナにとって唯一の活路は、西側先進諸国を主体とした国際社会をこの紛争に巻き込み、更には味方につけることしかない。だが鉱物資源に乏しく地政学的にも特に重要でないバルカンの小国の紛争に、欧米諸国が介入する可能性は低い。そもそも、できたばかりのボスニア・ヘルツェゴビナ政府は外交のイロハも知らない素人集団にすぎず、国際社会における人脈も皆無であった。
 そこでボスニア・ヘルツェゴビナ政府外相ハリス・シライジッチは、5月にアメリカの大手広告代理店ルーダー・フィン社を雇い、セルビアの非道性・ボスニアの正当性を世界に伝える「広報活動」を一任する。

 国際紛争におけるPR戦略の専門家として作戦の総指揮を執ったワシントン支社のジム・ハーフは、ルーダー・フィン社の人脈と情報網を活かして、膨大な情報を収集し、また発信した。そして傲岸不遜で好色なシライジッチをTV映えのする「ボスニア内戦という悲劇に直面し奔走するヒーロー」へと改造して人々の同情と共感を集め、更にはセルビアの蛮行を「民族浄化」と名付けて人権問題へと押し上げる。このようにルーダー・フィン社は巧みなメディア戦略と周到なロビイングを通じて、アメリカ世論、ひいては国際世論をセルビア非難へと誘導し、やがてボスニア紛争の帰趨を決定づけていく・・・・・・


 刻一刻と変わる国際情勢の中で、ジム・ハーフはどのようにPR作戦を展開したか。そしてセルビア側はどう逆襲に出たのか。銃弾飛び交う戦場から遠く離れた国際政治の舞台で行われた「もう1つの戦争」、すなわち「言葉」を武器とした苛烈な情報戦の実相を生々しく描く迫真のドキュメンタリー。張り巡らされる複雑な策謀を、時系列に沿って、平易な文体で、分かりやすく叙述している。

 ジム・ハーフらルーダー・フィン社のスタッフは、捏造や隠蔽といった露骨な謀略は使わない。彼等の情報操作の手口はもっと洗練されている。事実の一部を切り取り、微妙に誇張し歪曲し、受け取り手が喜ぶような単純明快でインパクトのある形に加工して与える。大手メディア社や政治家たちは、ジム・ハーフの提供する勧善懲悪のストーリーにいつの間にか絡め取られ、知らず知らずのうちにボスニアに肩入れしていく。世論誘導に邪魔な存在はネガティブ・キャンペーンによって政治的に抹殺する。
 ジムらの仕事はキャッチコピーやテーマ設定による「方向付け」であり、勘所を押さえた脚色と演出によって世論を制御していけば、わざわざ捏造や隠蔽を行わなくても、後は人々が勝手に、ジムたちにとって都合の良い「真実」を創出し増幅してくれ、結果的には捏造や隠蔽と同様、いや、それ以上の効果が得られる。嘘をついたり隠したりするよりも、特定の事実をピックアップしクローズアップし「情報」として大量に流してメディアや政治機関に「自発的に」協力者になってもらう方が、望ましい世論を作る上で有用なのである。


 本書はジム・ハーフらのプロパガンダの悪辣さを糾弾し、陰謀を企てて戦争を呼び込む「情報の死の商人」としてPR企業を断罪するものではない。それでは「セルビア=加害者、ボスニア=被害者」という従来の図式を反転させただけでしかない。実際ジムが、純粋なビジネスとしては必ずしも割が良いとは言い難い貧乏小国からの依頼を引き受けたのは、「ボスニアを救いたい」という彼なりの正義感も作用している。そして顧客の利益を最優先するのは、民間企業としては当然のことだ。事が戦争である以上、勝つためにはあらゆる手段が用いられるべきであり、宣伝戦の重要性を理解しようとしなかったミロシェビッチがその責めを負うのは、不公平ではあっても不合理ではない。


 我々が生きる世界は善玉と悪玉の二項対立で理解できるほど、簡単なものではない。倫理的な善悪はさておき、PR活動を怠れば、セルビアのように国際社会の孤児となり、不当なまでに懲罰されてしまうのが国際社会の冷厳な現実であり、生き残るためには好むと好まざるにかかわらず情報戦略に真剣に取り組むしかない。それが本書の極めて現実的な主張なのである。南京大虐殺や従軍慰安婦問題など宣伝戦で常に後手に回り続けている日本にとって、セルビアの悲劇は決して他人事ではない。



 最後に、本書からの引用。

 日本政府も、アメリカのPR企業を雇うことはある。だが、PR企業の社員を首脳会談に同席させるなど絶対にありえない。日本の場合は、国際政治の舞台でPR戦略を担当しているのは役人だ。それはどこの先進国もそうである。だが、問題なのは、そのPRの能力において、ハーフが日本外務省の官僚よりはるかに優れていることだ。その結果、皮肉なことに、自前のスタッフを持たないボスニア・ヘルツェゴビナという小国に世界の注目が集まり、国際政治において日本などより格段に大きい存在をもつに至る、という現象が起きた。

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紙の本

事実は小説と同じくらい奇なり

2005/08/28 16:36

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:稲葉芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ』(Wag the Dog)というアメリカ映画があった。これは、大統領のセクハラ・スキャンダルを防ぐために側近が「スピン・ドクター=揉み消し屋」(ロバート・デニーロ)を雇うが、彼は何とヤラセ(でっち上げ)の戦争を仕掛けることで、大統領スキャンダルから国民の目をそらそうと、ハリウッドのプロデューサー(ダスティン・ホフマン)を雇って架空の戦争を捏造していく・・・いう物語だった。ところがこの映画が97年に封切られた時、クリントンの不倫疑惑とイラク危機が勃発したので、あたかも現実が映画を模倣したかのような様相を呈した。

 ぼくがこの本を読んで連想したのも、映画を見た人なら分かってもらえると思う。この書が扱っているのは、勿論架空でもなんでもない一大悲劇<ボスニア紛争>だが、ボスニア・ヘルツェゴビナが情報戦を有利に進めることで、如何にしてセルビアを悪役に仕立て、最終的には国際社会で<勝利>を収めたかを−−ちょっとニュー・ジャーナリズム的手法も思わせる−−綿密な取材で浮き彫りにした労作である。
 筆者の労力に感心するのは勿論だが、この書が面白いのは、何より巨虚実々の情報戦の過程。この情報戦が一歩道を誤ると、それこそ『ワグ・ザ・ドッグ』の世界に突入してしまうのだろうと思う。と同時に−−本書の中で日本の政府、特に外務省は痛烈に罵倒されているが−−こういう生き馬の目を抜く国際社会でサバイバルするには、これ位タフでなければダメなのだなあとも思う。
 ともあれ、この書を読んで面白く思った人は『ワグ・ザ・ドッグ』を見ましょう。『ワグ・ザ・ドッグ』を見て楽しんだ人は、この本を読みましょう。

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紙の本

近代的人間は終焉を迎えるのか?

2005/09/21 15:27

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小梅 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書で明らかにされたPR会社による国際世論操作は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争以降も止まることを知らない。ウクライナのいわゆる「オレンジ革命」や、イラク戦争でも深く関与していたと伝えられている。国内政治においてもアメリカ大統領選はもとより、日本の選挙でも各政党によるPR会社への依頼が始まっているという。
 本書の内容を、情報社会の裏舞台にあるもう一つの戦争を描いたと要約するのは容易い。だがその意味するところを深く考えると、深刻にならざるを得ない。なぜならば、ここに描かれた実態は、現代の民主主義を支える理念自体を揺るがすものだからだ。
 近代以降形成されてきた現在の民主主義は、一言で言えば「人間への信頼」に基づいている。根底にあるのは、人間は「正しい情報」を与えられれば、「正しい判断」ができるという理性的人間観である。この人間観自体がどこまで現実に沿ったものであるかどうかはさておいて、少なくとも、判断を任せるに値する程度の理性を持ち合わせているとの暗黙の了解があることは間違いない。
 本書に描かれるルーダーフィン社の戦術を見てみよう。たとえ正しくない情報であったとしても、同じ内容を繰り返しメディアに露出させることで世論に本当らしく強く印象づける。あるいはメディアに影響を及ぼす公正な観点を持つ人間を偏った人間であると非難のシャワーを浴びせることで、失脚に追い込む。ひとつのキーワードを連呼し、世論の関心をその一事に集中させる、など。こうした行為は、人間の「正しい判断」のための情報提供とはまったく異なる。むしろ判断以前のイメージや感情に働きかけ、判断する人間自体を操作するものである。形式としては、個々の人間が判断の主体性を保っているように見せかけながら、その実、人間は情報に踊らされる操作対象に過ぎなくなる。ここには、理性的人間観を支える「人間への信頼」はまったく見いだせない。むしろ人間への信頼は瓦解し、不信の種が世界にばらまかれることになる。
ルーダーフィン社が喧伝したセルビア人による強制収容所も国家的大量虐殺も今では存在しなかったことが明らかになっている。情報に踊らされた者、その情報のせいで空爆を受けたセルビア人、双方に拭いがたい不信を植え付けたことは間違いないにも関わらず、誰もこの情報の出所を裁くことはできないのだ。
そして、さらに驚いたのは、本書で情報社会の「死の商人」とまで指摘されたPR会社のルーダーフィン社が決して民主主義を軽んじているのではなく、むしろ自由と民主主義の信奉者であることだ。彼らは、社内の厳しい倫理審査委員会を経て、倫理的に問題がないと判断された依頼だけを受けているのだ。上記の強制収容所の情報もわざと誤報を流したのではない。彼らが「正しい」と信じたからこそ流したのだと言う。民主主義を土台から揺るがす動きが、自称「世界一の民主主義国家」で、自らを民主主義者であると信じ、倫理的でさえある者たちから出てくることは、皮肉としか言いようがない。
 絶望的でさえあるのは、こうした理性的人間観を内部から瓦解させるPR会社の活動を、民主主義をも内側から崩壊させるものであるとメディアも政治家も認識していないことだ。政治家に至っては、自らの政治的目的を達成するための便利なツールとしか思っていないようだ。
 フーコーが1966年に『言葉と物』で近代的人間の終焉を予言したとき、このような形で人間が解体されてゆくことを誰が予想し得ただろうか。近代的人間がどれほど欺瞞に満ち、それに基づく民主主義がどれほど愚かしくあったとしても、来たるべき新たな時代の人間像は、よりマシなものであると皆思っていたはずだ。このまま不信による亀裂を広げながら近代的人間は終焉を迎えるのだろうか。

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戦争はビジネスか

2024/03/06 19:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:TAROLEB - この投稿者のレビュー一覧を見る

ボスニア戦争でアメリカの広告代理店を雇い、ボツニアーヘルツエゴビナが如何にマウントを取っていくかを丁寧に描いています。まさにウクライナやロシア、パレスチナ、イスラエル各国も同様にこういった会社を起用してマウント合戦をしているであろうことが容易に相応出来る。ぞして本文最終章で作者が書いている通り、日本政府がこういう会社を起用して中国や韓国に対してマウントを取ることはあり得ないのだろう。

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電子書籍

世論を動かす仕事

2022/03/17 12:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:善き奈 - この投稿者のレビュー一覧を見る

私はユーゴスラビアの紛争というと粉塵舞う中、多民族がお互いを戦車などでパッカバッカと撃ちあっている、というイメージしかなかったのだが この本によると当時はセルビア人が悪でモスレム人は被害者という見方が強かったらしい。 当然実際にはそんな単純な話ではなかったのだが、書ではどのようにモスレム人に同情と支持を集めることに成功したかを追っている。

「セルビア人が悪という風潮が存在する」という前提のためか、文中ではセルビア寄りである。 あとがきでは「セルビア、モスレム、クロアチアすべてに責任がある」と評しているが、 本文を追っていくにつれ、悪魔のように頭が切れるアメリカ人工作員と大ぼら吹きのモスレム外相が どんなに悪評を流されても「真実はいずれ明らかになる」と悠長にかまえているセルビア側を陥れ あれよあれよと世界のみなし児にされてしまったような印象をあたえる。 さらにはところどころ挟まれた日本の外交能力のなさへの言及が いつ日本がセルビアになってもおかしくないぞ、と警鐘を鳴らしているかのようだ。

「真実はいずれ明らかになる」というのは確かにその通りで 現地で働いていた国連の将軍の証言やガーリ国連事務総長の三民族に対して停戦要求など 幾度もストリームは作られようとされた。 だがそれをPR工作員は見事な手腕と運で握りつぶし 本当に真実が明るみになった時には、多くのセルビア人の名は不当に傷つけられて死に、ミロシェビッチは意中で死を迎えたのである。

我々のような流れてくるTVニュースをただ見ているだけの立場の人間からすれば 国連がセルビアを非難すればそれが正しく、セルビアが攻撃をやめれば平和になると思っている だが、情報戦に関わったの誰ひとりとして市民の平和など考えていないのだ。 誰一人戦火に遭っている市民のことや、停戦や和解について考えもせず、か弱い顔をしてマイクを握り「敵を殺せ」と煽り立てる。 情報戦というのは攻撃を仕掛けている側が平和的かつ正義の使者に見える。 戦場を我々はTVの前で目の当たりにしているのに、誰もそれが戦争であることに気づかないのだ。

セルビア側のPRを断った弁護士が言うように、PRに使う費用があるのなら平和に使うべきだった。 だが、これは紛争にかかわるすべての民族に言わないと意味が無いだろう。

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電子書籍

戦力としての広告

2022/01/02 11:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

ボスニア紛争が起こったとき、私は単純に日本におけるTVや新聞の論調から「悪者:ロシアとその手先のセルビア、犠牲者:ボスニアやヘルツェゴビナのイスラム教徒」と単純に信じてしまった。しかし本書によると、日本を含む西側世界へそのような報道ができたのはアメリカが雇った広告代理店の広告の仕方がうまかったから という驚愕の結果である。戦力としての広告の威力を見せつけられた思いがする。と同時に、報道に対し「本当だろうか?どのようなバイアスがかかっているのだろうか?」と常に疑ってかかることの大切さを再認識させられた。

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紙の本

あなたが見ているニュース、それは『作られたもの』かも知れませんよ?

2018/05/05 11:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:瀬戸内在住の猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

手元に持っている訳ではありませんが、以前図書館で文庫化される前の本書を読み、凄い衝撃を受けた1冊ですので、特に紹介します。

舞台は90年代の欧州を揺るがせた、旧ユーゴスラビア内戦。
その中の一つだったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を巡り、独立を目指すボスニア政府が戦力的に優勢なセルビア側に勝つ為に取った手段…それは、米国の大手広告代理店と契約して、セルビア側を「悪」、自分達を「善」と世界に印象付ける為の『広告戦略』だった。

当時、NHKのディレクターとして、この実話の経緯を番組にした著者が、番組に盛り込めなかったエピソードも加える形で、その取材成果を元に書籍化した1冊。
原書が出た直後に、図書館で読んだ時の衝撃は今でも覚えています。
生まれたばかりの国家が生き残る為とは言え、国際社会を味方にするべく相手を徹底的に「悪役」へと仕立て上げる様子には「ここまでやるか!!」と思いました。

特に、本書のラストは下手なミステリー小説よりも衝撃的な結末ですので、冷戦終結後の現代史に興味のある方には超お勧めです。

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紙の本

情報の恐ろしさ

2016/05/28 10:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

情報の持つ力のすごさがわかる。報道されることがすべてではないことを思い知る。

戦争プロパガンダ10の法則と合わせて読みたい。

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紙の本

ひどい本です

2010/01/06 08:44

20人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

これじゃあ、まるで被害者がセルビアで、加害者がアメリカと読めてしまう、極めて悪質で低級な本です。まるでアメリカのPR会社が無から有を生み出すように「民族浄化」なる絶妙のレッテルを編み出して、「諸悪の根源はセルビアにあり」と世論操作を行い、カラジッチ、ミロシェビッチを「天下の極悪人に仕立て上げた」みたいに記述されているが、じゃあ、セルビアはボスニアで「何もしなかった」のか。それとも「セルビアもボスニアで殺戮を繰り返したかもしれないが、アメリカを主体とするNATOもたくさんのセルビア人を殺している。人命に軽重は無く、セルビア側だけを非難するのは不公平。世界最悪の殺人者アメリカの罪はどうなった」とでもいいたいの?と思ってしまう、社民党的視線が随所に感じられて「痛い」。

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紙の本

PR

2016/06/19 18:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あとむん - この投稿者のレビュー一覧を見る

情報、広告という言葉の現実を知れるとともに、今までユーゴスラビアの中のことを良く把握してなかったので、歴史的背景などざっくり知れた。

人はいかに操作されたり、世界は知らないところでいろんなバイアス等がかかっているのだなぁと。

知ろうとしないと知れないことはあるし、共通認識・共通理解がないと解決しないことはなんだってそうだし
それぞれの正義や信念があるというものの、ハーフ氏が選ばれここまでやったってのはまぁ運命というのかな
民族浄化とホロコースト
ブッシュのPR戦略

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2005/06/26 19:06

投稿元:ブクログ

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2005/09/19 09:13

投稿元:ブクログ

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2006/01/16 20:42

投稿元:ブクログ

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