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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.3
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/468p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208626-2
紙の本
SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか
著者 スティーヴン・ストロガッツ (著),蔵本 由紀 (監修),長尾 力 (訳)
無数のホタルがシンクロして光るのも、ポケモンを観ていて子供たちが発作を起こしたのも、「SYNC(=同期)」のせい。このSYNCをめぐる驚くべき科学上の成果を、非線形科学の...
SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか
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商品説明
無数のホタルがシンクロして光るのも、ポケモンを観ていて子供たちが発作を起こしたのも、「SYNC(=同期)」のせい。このSYNCをめぐる驚くべき科学上の成果を、非線形科学の第一人者が絶妙な比喩を駆使して物語る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
スティーヴン・ストロガッツ
- 略歴
- 〈ストロガッツ〉ハーバード大学で博士号を得、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学勤務を経て、現在コーネル大学応用数学科教授。
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紙の本
千差万別の分野の現象を統一的に説明できる数学の力に驚く
2005/09/11 19:50
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本来は応用数学の分野(非線形微分方程式、トポロジー、ネットワーク理論)の本であるらしい。数式は一個も出てこないが。
最初の話題は、テレビでも放映された、蛍の大群が一斉に同期して点滅する現象である。心臓の筋肉が同期して心拍を発生すること、脳細胞が脳波を発生すること、睡眠や体温の日周性、など生物の同期現象がとりあげられる。これらの現象の振動周期と位相の同期を解明する研究方法として、振り子の振動の同期現象との相似から、振動子の集団をモデル化し、理論的に解析したり、コンピューターシミュレーションで数値解析したり、電子回路で実験したりする。結合振動子は、どんなふんに同期するのか?。その条件とは何だろう? 。同期現象が起こり得ないのは、どんな場合なのか?。逆に、それが必ず起きてしまうのは、どんな条件下なのだろう?。同期が破綻すると、どんな状況が生まれるのだろうか?。そして、これらを知ることにどんな実際的意義があるのだろうか?。多数の振動子からなる巨大系でなぜ秩序が自然発生するのか?。
そして、生理的現象だけでなく、太陽系や超伝導などの物理系や、建築物の共振問題や電子回路といった工学の分野、流行や交通渋滞といった社会学的な分野の現象まで、振動子の同期に関する数学で、全ての同期現象が説明できることを、多方面の事例でもって展開している。振動子の同期のモデル化については、影響を受ける他の振動子をどの範囲まで考えるか、影響の結合度合いをどう設定するか、振動子のばらつきや結合のばらつきを考慮したモデル化、などさらに研究を深める必要があることを示す。さらには、カオスやネットワークとの関連性まで述べている。インターネットや人々の固有関係のつながり具合の数学的検討もある。
ある数学的理論の研究で、これだけ多種多様な分野の現象を、統一的に解明し説明できることに驚く。数式を一切使わず、説明しきっていることにも驚く。個人的には、数式をつかってでも、もう少し数学的な部分の説明があってもよかったが。ともかく、非線形動力学という学問の応用の広さから、還元主義的な科学から総合的な科学へと、科学の方法論も発展してきていること、複雑なシステムを統一的に理解していくようになってきていること、が理解できる。
紙の本
同期現象(SYNC)が世界を支配する
2005/06/05 07:58
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
1665年、オランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスによって発見された、振り子の同期現象。ホイヘンスは、自らの発明した「世界随一の精度を誇る」二つの振り子時計が、全く同じリズムで「共感」して揺れる現象を実験によって証明した。この同期現象=SYNC(シンク)が現代において再発見されるのは、20世紀前半、東南アジアの無数の蛍が、いっせいに、一定のリズムで明滅を繰り返す現象についての報告と、その後の議論が発端となる。そして、いまや知の最先端、「複雑系研究のごく一部」として、さまざまな分野での意欲的な論文が発表されるまでに至った。
本書では、蛍から説き起こし、脳波をはじめとする人間の身体における同期現象を経て(女性の月経周期さえ、同期する!)、非生物たる物質の世界での同期現象まで、最先端の研究をエピソードを交えて紹介・解説する。量子レベルから天体間のふるまいに至るまで、同期現象は全宇宙に遍在する、というのである。「同期」という現象はまだ十分に解明されたわけではないが、宇宙を支配する法則のひとつとして、今後の研究成果が期待されるところである。
ただ、文科系の人間にとっては、学校で習わなかった最先端の科学の話なので、理解できない箇所が多々あるかもしれない。何しろ、ジョセフソン素子まで登場するのだ。ただ、現在、学問の世界でどのようなことが関心を呼んでいるのかということを認識するために、読んで損はない1冊だ。
紙の本
数学の持つ、普遍性を大づかみにする力を感じます
2005/08/15 11:06
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
振り子の同期、レーザー光の同期などの生命のない物の同期から、ホタルの集団発光の同期、心臓の細胞の同期といった生命現象にも起こる同期、一種の「秩序」に共通するものとはなにか。「秩序」がどのようにして生じてくるのかについての新しい科学の動向を、科学者自身が説明した本です。「同期するにはどの要素があればよいのか」など、数学者である著者が数式を使わないでも理解できるようにたくさんの例えも使って説明してくれます。しかし、「わかるひと」が考えた「わかりやすい」説明というのは、ときに「わからないひと」にはやっぱり「わからない」、と限界は感じます。それでもきっとこういうことなんだろう、というあたりまででも引っ張っていってくれました。きちんとわかるためにはやはりきちんと数学的な考え方から入らないと駄目な部分があるのでしょう。無理せず、わかるところだけ読み、「勉強しないとわからない。でもわかりたい」と思うところは注釈にあげられている資料、教科書などを読む、ということでよいのではないでしょうか。もっと力のある人はちゃんとした専門書を読めば良いのですし。
この分野がどのように進んで来たのか、どんな科学者の人脈がこれを動かしてきたのか、などの研究紹介も適切に織り込まれていて、そういう点ではきちんと書いてくださっています。「どうやって同期が生ずるのか」という疑問から、「全ての人は6人の友人を介して繋がっている」というsmall world(小さい世界)までが一つの考え方の流れで理解できるのは確かに驚きです。
カタストロフィーの法則というのが学生時代に話題でした。数学モデルで生物の発生も説明しよう、というもので、数学の持つ、一種荒っぽいけれども要所を押さえる力のすごさを感じたことを憶えています。この本でも、同様な感慨を感じました。生物のみを見ていると、何かの現象が複雑であってもあたりまえのように納得し、そこでとまってしまいます。生物のみに限らない、現象としての普遍性を大づかみにしてエッセンスを見つけ出すことは、やはり数学などの分野の力が必要なのでしょう。数学の提示したものをもとに、実際の生き物の現象にもう一度立ち返る。そうやって一歩一歩、わかることが広がっていって欲しいです。
注釈は丁寧でよいのですが、本文を読みながら疑問に思ったところを参照する、という形のものではないので、本文側のどこに対応するのかは少しわかりずらい気がします。最近の科学読み物ではこの類の注釈が増えてきたように思います。でも、読み進むうち、「確かこの話の説明がどっかに既にあった」と思うことが何度かあったので、普通の用語・単語索引もあったらよかったと思いました。わからない人に読んでもらう本なのですから、そういう配慮があるともっとわかりやすくなるのではないでしょうか。そういう「索引をつける」などは翻訳をする際に判断して追加したりはできないのでしょうか?→出版社様、ご一考ください。
紙の本
内容紹介
2005/03/24 16:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:早川書房 - この投稿者のレビュー一覧を見る
無数のホタルがシンクロして光る現象、人間の睡眠周期に隠された意外な真実、ポケモン映像を見て一斉に気分が悪くなった子供たち……ランダムと思われていた自然は、じつは自発的に秩序を形成する性質をもっていた! 解析の困難な現象に、シンプルで明瞭な回答を与える画期的な論文で脚光を浴びた著者が、量子の極微世界からわれわれの身近の自然現象にいたる、生物非生物をとわず、あらゆるレベルで見いだされる、「周期の同調(=sync)」をはじめとする自発的な秩序の形成について、数式を極力用いず、たくみでユーモラスな比喩を用いて解説する、先鋭的だが素人にも愉しめるポピュラーサイエンス。