紙の本
信長本はたくさんありますが
2008/09/27 20:35
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
信長本はたくさんありますが、この本はの信長の人事政策の焦点を当てています。
この本の読み方としては、現代のベンチャー企業に置き換えてみると面白い。つまり、急成長する会社がその成長過程で組織をどんどん変えていき、大きくさせる様を想像することができます。
ポイントは現代でいえば「役員クラス」の人事。信長帝国では「武将」つまり司令官たちをどう配置するかということです。
信長の能力主義はすでに知られているところですが、この本ではその配置絶妙さがよくわかります。
たとえば「武将」の下に「与力」をおくやり方。その方面で一緒に戦う「武将」と「与力」は相性が良くなくてはなりません。しかし、あまりに良すぎてもだめ。その方面で独断専行される可能性があるからです。
さらに遊撃隊といわれる、専属でない武将もいるため、状況に応じて臨機応変に対応できる組織づくりがなされていたようです。
信長の司令官たちは、戦国武将の名だたる者たちと直接相対するわけですからその器量は、それら武将たちに劣らないものだったのでしょう。
ひとつだけ信長がした人事ミス。それが明智光秀。結果的にそのことが本能寺で彼が暗殺されることにつながったわけです。
現代の会社に置き換えてみると一つの人事ミスが命取りになるというところでしょうか?
http://blog.livedoor.jp/c12484000/
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戦国時代に尾張の一勢力から瞬く間に領土を広げていった織田信長。
この本はその彼の軍隊が初期の編成から彼の勢力の伸長と共にどのように変化していったかを具体的な例をあげながら克明に記してあります。
戦国時代の力の根源である軍隊の構成を読み解いていけば、そのとき何を考えていたのかが透けて見えてくることがよくわかります。
尾張統一から美濃を勢力下におき、近江・京都へと勢力を伸ばしてさらに全国を支配下に置こうとする間に、彼はその時に合わせて軍隊内の構成と武将の知行地を再構成することで戦略目標に対して効率的に武力を発動できる様にしていく様子は、それまでの土地と深く結びついていた大名と武将の関係では実現できず、まさに新時代の軍隊とも呼べる物なんだと改めて思いました。
土地に根ざさない軍隊は、降伏した勢力や新たに仕官してきた武将への知行地の給付を楽にする面もあり、それが活躍したらきちんと評価できる体制となり家中での活発な競争につながり、それがまた有能な人材を引きつけるポイントになって、戦国の覇者にふさわしい有能な家臣団が作り上げられたのかなと思いました。
戦国時代に興味のある方は一度読んでみるといいですよ。
文中に出てくる人名は見たことのある名前が多いので、その人物が織田軍内ではどのような役割があり、どのように扱われていたのかがよくわかると思います。
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[ 内容 ]
武田・上杉・本願寺・毛利などの強敵と領土を接した織田信長は、一万を超える大軍団を柴田勝家・明智光秀・羽柴秀吉・滝川一益らに預け、四方の平定に当たらせた。
この「方面軍」司令官こそ、信長麾下の部将たちにとって究極の地位であった。
尾張一国から畿内平定、天下統一へと驀進する信長軍にあって、彼らはどのように出世を遂げたのか。
時代を追い、並み居る名将たちの顔ぶれと与えられた権限、具体的な活躍をたどる。
[ 目次 ]
第1章 信長軍の組織と編成
第2章 尾張一国から美濃併合へ
第3章 信長の上洛と京畿の行政
第4章 近江の分封支配
第5章 将軍追放と畿内の直接支配
第6章 信忠軍団の形成
第7章 方面軍の設置
第8章 西部方面作戦
第9章 方面軍の再編成
第10章 信忠軍団と五方面軍の作戦
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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信長の領土拡大と、それぞれの時期に活躍した家臣団の有様がわかる。意外な人物が活躍していたり、それ程重要視されてなかったり。初期の森可成、坂井政尚、丹羽長秀、中川重政らの活躍。中期の明智光秀、羽柴秀吉、滝川一益、原田直政らの台頭。隠れ軍団長の織田信張。信忠軍団の森長可、川尻秀隆らの活躍。蜂屋頼隆と同程度の中堅クラスに留まっといた丹羽長秀。佐久間信盛の家臣団最大の七カ国に跨がる軍団など面白かった。
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梁田は加賀を与えられたるという大きなチャンスを得たが、実力に対して大きすぎる役目であったためものに出来なかった。準備していてどうにかなるものだったのか?任務を与えた信長のミスか?
荒木村重は外様ながら摂津一国を任されるなど重用されていたが、大阪方面は佐久間信盛の、播磨方面は秀吉の手伝いになってしまって、モチベーションがさがった?それで謀反をおこした?
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今となっては無名に近いような武将達の活躍を紹介していて新鮮。
著者の信長モノを合わせて読むことで、
信長軍の構成がより幅広く立体的に見えてくる。
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信長が領土拡大するに伴って設置した方面軍や、そこまで至らないいわば遊撃軍について。例えば柴田と前田、佐々の関係がどう変化したかとか、織田家の体制の移り変わりがよくわかる。
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2005年刊行。タイトルどおりであるが、信長・秀吉関連の小説などを読んでいれば、内容に特異な点はなさそうだし、見知ったことも多そうだが、細かく時期が分けられて新書としてはうまく整理している感じ。本書で言う「司令官」は、家臣(羽柴秀吉や明智光秀など)に対して近江国を分封したあたりから具体化してくるが、とりわけ、明智光秀の丹波平定戦の開始が、地域担当の方面軍軍団設定の嚆矢らしい。また、方面軍として明確に位置づけられたのは柴田北陸方面軍が最初。個人的には、信忠軍団形成が新奇な点か。
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信長の研究では名高いという谷口氏の著作。個人的には長年信長に仕えながら、折檻状であえなく追放されてしまった佐久間信盛のことを知りたいなあと思って興味を持った次第。本書は信長の名高い武将たちについて詳しく書いているのかなと思ったが、信長軍の編成についてかなり詳しく書かれるなど、まあなんというか真面目なんですよ。もう少しナラティブな記載が多いと面白かったけどな。
私のように聴き読みしていると正直退屈でした。今度ちゃんと著者の作った表とか読んでみないとちゃんと評価できないな。
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題名の通り織田信長の軍隊編成と各司令官について記載した書。信長の基本的な戦歴を知っていることが前提だが、信長の軍隊の編成思想、司令官の任命思想が分かり面白い。戦国時代において、これだけ能力主義で人事を考えたというのは驚きであり、かつ現在の組織論にも通じるものを感じる。特に武力だけではなく統治能力も能力として重視しており、そのお眼鏡にかからないと各方面軍の司令官にはなれない。明智光秀はそのお眼鏡にかかるような非常に優れた武将であったのだが、その光秀がなぜ信長を裏切ったのかはやはり興味が湧く。信長は本能寺前に信忠に天下を任せる構想を持っており、急逝しなければどのような天下になったのだろうか?
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織田信長の軍編制を年を逐って著述。
最終的には信忠軍、連枝衆、部将=方面軍司令官・遊撃軍司令官、旗本、吏僚、外様衆を収める。
方面軍は東美濃・尾張の信忠軍、滝川一益の関東方面軍、佐久間信盛の大坂方面軍、柴田勝家の北陸方面軍、羽柴秀吉の中国方面軍、神戸信孝の四国方面軍、明智光秀の畿内方面軍。
信長最初期の筆頭家老林秀貞は武略に通じないためか権威さけある信忠家督相続後家宰とされ最後には追放されたこと、丹羽長秀は方面軍にはなれず遊撃軍のままで頭打ちしたこと、荒木村重が外様ながら摂津一国大名となったのは器量を見込まれてのこと、畿内方面軍は丹波丹後を領有しての成立後は各方面への援軍に終止していた、と従来より引っかかっていた事柄に明確に回答が書かれていた。
蜂屋頼隆や簗田広正は同じく出世頭となったときもあったがその後埋もれてしまった。
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信長の軍編成とその指揮官について。
信長の研究は近年急速な動きがなされて、従来の革命児の印象は薄れてきている。
しかしながら、信長の地方司令官構想は目を見張るものがある。
それが、信長敗死後の有力な大名になったのだが…
中央集権を進めると、それが崩壊した後が怖い。
今の日本も…と考えると怖い。