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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2005/01/18
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波現代文庫
  • サイズ:15cm/583p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-602087-2
文庫

紙の本

人間の條件 上 (岩波現代文庫 文芸)

著者 五味川 純平 (著)

人間の條件 上 (岩波現代文庫 文芸)

税込 1,650 15pt

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評価内訳

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紙の本

最低限、人間として生きるとはどういうことか?

2006/04/22 17:38

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人間とは何だろう。そして、人間の最低限の条件とは何だろう。ただ息をして生きていれば、それが人間なのだろうか。この小説は、人間としての最低限の条件とは何かを、戦中の極限の中で生きる人々を中心にしながら、鋭く問いかける小説である。
 自分が生きるために、他人が軽んじられても仕方ないのか。戦争なら捕虜を人間として扱わなくてもいいのか。生きること、人権、人間としての最低限の条件とは何かが読者に鋭く突きつけられる。
 戦中、人権が奪われ、戦争の駒として扱われる日本人。その日本人が生きていくためには牛馬のように思考することをやめることしかないのか。侵略国の人々の命や権利は、日本人よりも軽いのか。
 戦争の実態とフィクションを交えながら、現実と観念のハザマをさ迷う青年の苦悩を描きながら、人間を問う力作である。読んでいて苦しくなる。私が同じ立場になればどうするか。
 フィクションであり、観念的な部分を多く含んだ小説だと分かっているのに、鋭い刃が私の心臓を貫こうとする。主人公とともにもだえる自分を発見する。
 人間でありたい!人間には最低限の権利がある!そう考える人が、戦中に戦争に反対したり、捕虜を人間として扱うことがどんなに困難なことであるか。良心を持っていても、侵略者・犯罪者になるとはどんなことなのか。
 著者の突きつける鋭さに挫けそうになる。実際に体験すれば自分はどうするのか。挫ければ、他人が殺される。挫けなければ自分が殺されることを覚悟しなければならない。
 それでも人間として生きたい!人間として生きるためには、生きることさえ奪われる覚悟が必要なのだ。そんな選択を迫る戦争があった。私たちはその真実から眼をそらしてはいけない!

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2010/01/28 16:08

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