「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上げる。はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
東野 圭吾
- 略歴
- 〈東野圭吾〉1958年大阪市生まれ。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞。著書に「トキオ」「ゲームの名は誘拐」「幻夜」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
もはや小説の世界ではない
2008/06/22 23:41
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココロの本棚 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の社会に照らし合わせたような、重く悲しいテーマ。
少年犯罪、自己中心的な犯行、動機の希薄さ。最近ニュースでこういう犯罪をよく目にします。
被害者やその家族の人の立場になってものを考えられない、想像力に欠けた犯罪者たち。
そして、加害者保護とも捉えられる現在の法律。
勧善懲悪ではないどこかスッキリしない社会の中、事件に巻き込まれてしまった被害者の遺族はどこへ怒りをぶつければいいのか。
被害者遺族の立場から犯罪を描いた作品です。
娘を殺された主人公長峰が犯人への復讐に向かう心情が、痛いほどビリビリと伝わってきます。感情に走らず淡々と描いた文章なのに、逆に怒りと悲しみを深く感じました。
事実を知れば知るほどやりきれなくなるこの手の犯罪。奪われたものの大きさに反比例して、加害者側の動機や失うものが何と少ないことでしょう。
復讐に走る長峰、それを支える人、大きな声では言えなくても心の中で復讐を遂げることを願う人々。
世の人の心の声を、リアルに反映した作品だと思います。
紙の本
以前ある女優が東野氏との対談でこう答えていた。「先生の作品は一気に読んでしまうのがもったいないような気がします」まさしく名言である。
2005/01/02 23:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どちらかと言えば、エンターテイメント系の大作が主流だった東野氏であるが『手紙』あたりから社会派作品を発表している。
本作はサスペンスフルな社会派作品に仕上がっているが、読者によってはかなり重く感じられる方も多いかもしれない。
覚悟して読むべきであろう。
もちろん登場人物ひとりひとりに感情移入が出来る点は東野氏のレベルの高さを表している。
ただ、氏の他の代表作と比べたら全体的なまとまりには欠けてるかなというのが正直な感想である。
あまりにもテンポが良すぎるのである。
ひとりひとりの葛藤が本当に理解できるだけに、東野氏の器用貧乏さが目立った作品だとも言えそうです。
というのは、どうしても社会派作品の為に問題提議が大きすぎるような印象は拭えない。
例えば、長峰(被害者の親)の立場だったら長峰の気持ちが良くわかるし、犯人の親の立場だったら彼らの気持ちもよくわかる。
注目すべき点は、刑事の気持ちかな。
これはやはり読者の代弁者的な気持ちを吐露していてるのが良かったような気がする。
私の結論としては…
少年法、抜本的に考え直すべきではある。
でもやっぱり長峰の行動って肯定は出来ない。
気持ちは本当によくわかるのだけど…
常軌を逸した行動だったと捉えるべきであろう。
ただ、そういう点では単行本の“帯”は不要なのかもしれない。
『裁く権利は誰にあるのか?』
だからやはり社会派作品というよりサスペンス作品として割り切って読んだ方が楽しめる作品なのかもしれません。
東野氏も読者に結論を求めてるわけじゃなく問題提議をしてくれていると思って読むのが賢明な読者なのかもしれないな。
そう私たちが普段考えている不条理なことを小説という手段を通して…
明日からは三面記事を今まで以上に丹念に読むことになりそうだ。
本書を手に取った大いなる収穫である。
マイレコ
紙の本
「反社会」は全てが悪か?
2007/01/27 13:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:祐樹一依 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年犯罪と、その犯罪被害者である者との対立の構図。殺人犯人への被害者家族の復讐は許されるものなのか、仇討ち行為は正当なものなのか、その者の苦渋と愚劣な犯人の生態と社会復帰、更正の不可能性を鑑みて過剰保護であることを認め、逆襲の殺人もまた赦さざるを得ないものなのか、どんな事情があっても、絶対的に、どうあっても、殺人は反社会行為としてあってはならないことなのか。では人道的なスタンスを取ろうとするのならば、甘っちょろい倫理観に縛られることなく、関係者の心の苦しみを解放し、救うことは、果たして出来るのだろうか。
テーマは物凄く重く、本書に限らず、どんな媒体で「殺人への復讐」を扱ったところでも、それが赦されるか否か、という問いに関しては、「他人事」でしか捉えられないのが人情なのです。本書においても、被害者の父親である長峰の心情に同情すればするほど、読者は彼の行為を安易に批判出来なくなる。けれども賛成すれば「法律の異議がなくなる」となり、否定すれば「綺麗事」となるのが社会論なのです。マスメディアの報道のように、どうしても中間寄りにならざるを得ない意見が幅を占めてくる。理想論だけでは事実に対処しきれないし、感情論だけでは多くの人を割り切ることが出来ない。必ず、ジレンマは発生するものであるだけに、殺人と少年法が同時に絡んでいる本書は気軽な思いで読み切れるものではない。
本書の趣旨は、誰かの行為が許されるか、というのではなく、その状況がそのまま自分に当てはまったときに、自分はどのようなことを思い、どのような行動を取るだろうか、ということを訴えることにあるのだと思います。報復行為を行おうとするときに、人は、殺されてしまった人のためではなくて、残された自分のために、何らかの理由をつけて(それが自己満足だと分かっていてもなお)、極北の行為に自らを駆り立てていこうとする。小説としての完成度を高めるために、やはりこうなるしかなかったのだろうか、と思わせる結末は、読者としては物足りないところもあるのですが、大筋のところで鬼気に迫る(胸の悪くなるような)リアリティがあって、東野氏が現代の「犯罪とそれを取り巻く状況の在り方」を、犯罪小説の在り方を模索することによって追求しているようにも思えたのでした。
(初出:CANARYCAGE)
紙の本
伝染する怒り
2005/02/02 13:15
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人娘をレイプされた上に殺された父親が、犯人の少年を衝動的に殺害し、逃亡したもう一人の少年にも復讐を遂げようと姿を隠す。
本書には、現行の少年法に対する憤りが徹頭徹尾描かれている。
「少年法は子供を裁くためのものじゃないんだ。間違った道に進んでしまった子供たちを助けて、正しい道に導くために存在している」という少年法擁護派の言葉が白々しく感じるほど、犯人の少年たちは極悪非道だ。
それはもう、同情の余地が入り込む隙がないほどに。
殺人鬼と化した父親を追跡しつつも、心中は彼に復讐を遂げさせたいと刑事たちも思っているし、世論も父親に同情的である。
大抵、こういった社会的なテーマを扱うと、擁護派と改正派の意見を平等に書き連ねて、判断は読者の皆さんにお任せします、といった内容になってしまいがちだが、本書は、徹底して反少年法の立場に視点を据えている。そこが気持ちがいい。
正直言って、ここまで偏った書き方をして大丈夫なのかと心配もしたが、そんなことは全て見越した上での、ふつふつと沸きあがる怒りが伝わってくる。
東野作品であるから、最後にちょっとしたサプライズも用意されている。
こういうのを、ケレン味が過ぎると非難するお偉方もおられるのだろうが、そんなことよりも、何か伝えたくてたまらない、作者のその思いを汲み取るべき作品だろう。
何より、読ませる。
ここまで読ませる作家はそうそういない。
やはり東野圭吾は手練だ。
紙の本
映画は観ました。
2016/08/02 22:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆきは - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説を読む際、背表紙や帯のコピーを見るのですが、これはあまりにも辛いと思い、読めませんでした。が、映画は描写が抑えられているということで、DVDで観ました。
何年も前に起きた、女子高生コンクリート詰め殺人事件、名古屋のカップルが女性が散々乱暴された挙げ句に2人共絞殺された事件を嫌でも連想します。
女性からすれば、レイプは殺人より酷いかもしれません。
女子高生の事件でも、あれだけの凄惨な行為を行った犯人達は死刑にもならず、中には結婚して子供がいる犯人もいるそうで、関係者でない私でさえ、憎しみを感じました。
子供に罪はなくても、同じ思いをさせてやりたいくらい憎いです。
父親にとって娘は特別可愛い宝物。
犯人を殺しても、憎しみは消えませんが、それでもせめて死刑が適用される世の中になって欲しいです。
女子高生殺人事件、名古屋のカップル殺人事件、被害者の苦しみ、絶望を思うと、ご冥福を祈るしかない自分が情けないです。
紙の本
無難にまとめてはいるけれど、もうひとひねり欲しい
2004/12/28 08:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サンクス - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年犯罪などタイムリーな話題を盛り込み、復讐の行方を追う
ストーリーでありそれなりに読み応えはあるが、東野さんの作品
ということで読者は相当ハイレベルな作品を期待してしまう。
読み進むごとの緊迫感、ワクワク感があまり感じられず、全体と
しては無難にまとめられている印象は否めなかった。ひねくれた
一読者としてはもうひとひねり欲しい作品だった。
紙の本
内容紹介
2004/11/16 15:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
裁く権利は誰にあるのか?
読者は彼の行動に同意できるのか、それとも……
【内容紹介】
不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミにもセンセーショナルに取り上げられる。世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上がった。はたして罪人を裁く権利は遺族にあるのか?社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は……。
【著者からのメッセージ】
他人事ではない
明日にでも、この物語の『誰か』に
なるかもしれない
その時あなたの『刃』は
どこに向けられるだろう?
東野圭吾(ひがしの・けいご)
1958年大阪生まれ。85年に『放課後』で第31回江戸川乱歩賞受賞。99年に『秘密』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。主な作品に『白夜行』『片思い』『トキオ』『レイクサイド』『ゲームの名は誘拐』『手紙』『殺人の門』『幻夜』などがある。