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商品説明
存在を秘匿された組織、市ヶ谷・防衛庁情報局で過酷な任務に身を投じる工作員の男たち、女たち…。「いまできる最善のこと」「畳算」「サクラ」等、全6編を収録した初短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
いまできる最善のこと | 5-50 | |
---|---|---|
畳算 | 51-104 | |
サクラ | 105-140 |
著者紹介
福井 晴敏
- 略歴
- 〈福井晴敏〉1968年東京都生まれ。千葉商科大学中退。「Twelve Y.O.」で江戸川乱歩賞受賞。「亡国のイージス」で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞。
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紙の本
どこか、ハリウッドに匂い
2006/01/09 17:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「終戦のローレライ」や、「亡国のイージス」でお馴染みの福井さんの初短編集です。 福井作品なんかでは、もう既に登場している、殆どが、自衛隊OBで組織される、通称、市ヶ谷の、防衛庁情報局を扱った連作短編集となっています。連載は、講談社の雑誌だけでなく、各社色々、またがっていたみたいです。
書けば、書くほど、どんどん長くなっていく
傾向にある、福井さんは、宣伝などでは、「おれ的、最短小説」
などと、自身で書いていました。
所謂、防諜もので、日本国内で、スパイを捕まえる、
欧米なんかでは、スパイキャッチャー
(朝日新聞社から同名のノンフィクションあり)
なんかと、呼ばれています。
本書も相変わらずの福井節というか、
福井さん作品には、いつも、渋い中年男性が、浪花節で
愚痴りながら、活躍するのですが、
特に、今回は、国益のためとか、自国で完結した防衛力
を保持できない国の悲しさとか、正に、組織のしがらみとかに、
縛られた人物がいっぱい出てくるので、今まで、同様というか、
さらに際立っています。
ところが、福井さんは、「ローレライ」の監督の樋口さんなんか
との、対談でも、「映画のラストは爆発でしょう」とか、
映画「スピード」については、
犯人に身代金を支払ったほうが、どう見ても安くついたとか、
発言しているぐらいの大のハリウッド娯楽作品好きなので、
本書を読んでいても、どこか、ハリウッドの娯楽大作の匂いが、します。
なんか、ヘッケラー&コッホをもった、黒ずくめの特殊部隊が、
突入してくるイメージですね。
個人的によかったのは、ラストの作品「920を待ちながら」です。
息をつく間を与えず、二転三転する展開がたまりません。
又、今作は、一番、ハリウッドの匂いがすると言ってもいいでしょう。
「交渉人」あたりを、なんとなく、連想しました。
後、この「920を待ちながら」は、「亡国のイージス」に出てきた
あの人が、出てきますよ、、キャー、、。
それは、読んでのお楽しみ、、です。
紙の本
「染み」を踏み台にした日常とは?
2005/01/05 17:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KOMSA - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者初の短編集であるが、
内容は長編に負けじとハードだ。
全てのシュチュエーションに防衛庁情報局(通称・ダイス)が絡まる。
しかし主人公たちが何の為に戦うかは様々だ。
福井作品の主人公は無辜なる者への眼差しが優しい。
それは守るに値する市井の人々をおのれの任務に巻き込んだ時に発揮される。
果たして日本は守るに値する国家なのかを糾弾した
壮大な舞台を用意した「亡国のイージス」とは違い、
特殊な任務を一般人の仮面を被り日常を生きる情報局員を描く事で、
福井は名もなき人々の暗闘を読者の眼前に突きつける。
表題になっている「6ステイン」の“ステイン”とは【染み】である。
それも痕跡さえ残す事が許されない悲しく儚い染みの数々なのだ。
その染みを踏み台として国家として成り立っている我々の世界が、
どんなに虚弱で脆い物なのかを福井はこの短編集で語りたかったに違いない。
紙の本
このような人々?
2005/01/05 18:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テノール - この投稿者のレビュー一覧を見る
防衛情報局・諜報員・工作員・スナイパー・警察補助官・市ヶ谷・赤坂…
よく分からない言葉・いろんな言葉が飛び交う各編の中にはまり込んで読んでいくと、実際にこのような人々が存在するような気がした。昔、落合信彦の小説にはまってた頃のCIA・KGBのような組織と同じような感覚さえ浮かんできた。
「亡国のイージス」は丁度「北」の拉致の問題もあるので、臨場感もものすごく、「平和ボケ」と自分が言われているように感じ、どこから、考え、何をすればいいのか、手をこまねいたまま世界戦争のようになったら??と心配したが、「6ステイン」は、「こんな職業があるなら、拉致の問題なんて、もっと解決していくだろう」などと、思いながら読んだ。
福井氏がここまで、「このような人々」を細かく描きあげていくのはなぜなのだろう? 日本の政府の要人たちの発言の歯切れの悪さにイライラするからなのか、人々に「平和ボケ」を自覚せよと言いたいのか??
今、憲法を変える動きがある中で、この本を読んだ人々がどう考えていくかを、知りたいような気がする。福井氏の作品は、このように、フィクションと現実の狭間で現実の実態を考えさせる力があるようだ。おぞましいことが、本当にフィクションで終わってくれることを望む。
紙の本
防衛庁情報局の人々の国家への想いと戦いを描く
2004/12/22 00:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
福井晴敏初の短編集であるが,主題は変わらない.国家への想い,日本を背負う人々への熱い想いが語られていく.主人公は皆,防衛庁情報局の元局員,現役局員,さらに,非常勤の局員など.一編だけ,引退したスリが主人公のものがあるが,結局,防衛庁の仕事をすることに変わらないし,前編の女性の情報局員が登場し,続編となっている.
全6編の表題と主人公を列挙すると以下のとおり.最初の4編は50ページほど,後の2編は100ページほど.「媽媽」から「断ち切る」は連続していることもあり,それなりのボリュームで読ませる.母であり,かつ妻であり,そして人であろうとする女性の想いが伝わってくる.
いまできる最善のこと 40代建設会社中間管理職.防衛庁治安情報局元隊員
畳算 現役防衛庁情報局員
サクラ 19歳女性の防衛庁情報局AP(警察補助官)
媽媽 30代半ばの主婦.防衛庁情報局員
断ち切る 67歳,引退したスリ
920を待ちながら 50代防衛庁情報局AP