紙の本
1粒(冊)で2.5度おいしい
2004/11/06 22:01
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うさしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
見るからに面白そうな本の形態で、前からと後ろからと読めるようになっている。そして真ん中に袋とじ。
前から始まるのは「首吊り島」
新潟県の孤島、魚釣島・通称「首吊り島」に探偵として送り込まれた推理小説家・山本安雄が新見家でおこる連続密室殺人事件に挑む…という話。
後ろから始まるのは「監禁者」
東十条のアパート「メゾン・サンライズ」203号室に住む推理小説家・山本安雄は102号室に監禁され、監禁者好みの推理小説を執筆するよう強要される。201号室の住人が気付くのだが…という話。
この二つの話が袋とじの部分で合体!!
この形態だけでも十分楽しい仕掛けなのに、読むともっと楽しい。
特に「監禁者」の中盤あたりからは今まで(倒錯シリーズ)が今までだったので、ウラを読もうとしてしまい、読んでいてもかなり混乱してしまい、主人公の混乱と自分の混乱と混同してしまいそうです。
この本はどこから読んでも問題ありませんが、初めて読むときは作者の勧めるように、「首吊り島」「監禁者」「袋とじ」の順番で読むのが良いです。
さらに言うなら、他の倒錯シリーズ「倒錯のロンド」「倒錯の死角(アングル)」を先に読むと楽しさ倍増です。「ロンド」と「死角」はちょっとリンクしているかなぁ位なのですが、この「帰結」にはそれぞれの世界が、がっつりリンクしているからです。
倒錯シリーズは読めば読むほど混乱し、疑ってしまいます。本当にこの結末で終わりなのでしょうか。さらにひっくり返って…なんてことはないですよね?
紙の本
狂気とも言えるトリックにかける熱意(?!)。その試みはエンドレスループ。
2012/01/24 15:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『倒錯のロンド』、『倒錯の死角』に続く倒錯三部作第三弾。
何度も書くが、折原一といえば叙述トリックだ。
読者の先入観をうまく利用して、
読者をあっといわれせるトリック。
うまく騙されたときの爽快感と言ったら…
口ではうまく表現できそうにない。
それくらい、気持ちいい。
しかし何作か叙述トリック作品を読んでいくと、
当然、読者の目は肥えてくる。
理屈はなくとも「勘」で、トリックポイントの見当もつくようになってくる。
そんな読者を驚かせようと思えば、
作者はそれこそ血のにじむような努力をせねばなるない。
でないと…飽きられてしまう。
読者は新しい刺激を常に追い求め、
その探究心は遠慮を知らない。
といったことを、
なんと著者は作中である人物に語らせている。
このユーモラスな感覚、素晴らしいではないか。
「ちゃんと」わかっているのだ、著者だって。
でもってその危機感を逆手に取って作品に閉じ込めてしまった。
加えて、三部作のラストを飾る本書には
もっと大きな仕掛けも用意されている。
本書には二篇の作品が収録されている。
ただし、前から一篇と後ろから一篇という閉じ方だ。
この遊び心もわたしの好み。
叙述トリックは確かに好きなのだけれど、
折原氏が描くそれには少々飽きてきていた。
そこにきてのこのお遊び。
また心を鷲掴みされてしまった。
叙述トリックなので内容については触れられない。
なにがネタばれにつながるかわからない。
ただ、感想をひとこと言うと、
狂気じみていて、好き。
そして、エンドレスループ。
もうひとつ驚いたことに、
著者はこのあと『倒錯のオブジェ――天井男の奇想』という作品を上梓し、
三部作を四部作にしてしまった…。
ここまできたら、それも読んでやろうじゃないか。
『倒錯の帰結』収録作品
・首吊り島(前から)
・監禁者(後ろから)
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前から読めば孤島密室ミステリー「首吊り島」、後ろから読めば監禁ミステリー「監禁者」。2つを読んだ後、中央の袋とじを開けると。。。
折原氏の集大成とも言える叙述ミステリーの大作。
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前から読むか、後ろから読み始めるか…
一冊で二度美味しい作品。
時間を空けずに一気に読まないと頭が混乱してしまいます^^;
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前からも後ろからも読めるっていうこの本のスタイルは面白いけど。。。
もうお腹いっぱいです。
登場人物が今までの倒錯シリーズに出てくる人たちっていうのは良いとしても、その他の細かい部分でデジャブがありすぎて。
後頭部殴られて記憶なくしたりとか、冴えない30男が若い女の子に迫られたりとか、毎度毎度なんでこうも同じことを書くんだろう?
あと魚の腐ったような口臭ってのも毎回出てくるな。
短期間に何冊も読んだから余計そう感じちゃうんだろうな。
年に1冊読むぐらいのペースが丁度良いと思う。
じゃないと飽きる。
なんだか、今まで読んだ折原一作品全てが駄作に思えてきた…
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新規購入ではなく、積読状態のもの。
2009/6/28〜29
風邪で臥せりながら読了。
倒錯シリーズ3部作(倒錯のロンド、倒錯の死角、と本書)のラストを飾る、とあったが、前2作を読んだのはかなり前で内容はすっかり忘れてしまっていた。本書は前から始まる「首吊り島」と後ろから始まる「監禁者」の2作からなり、真ん中に袋とじで両作品共通のエピローグがある。折原氏はこれまでも製本等に凝った作品を発表しているが、これもそうとう手が込んでいる。しかしながら、熱でぼーっとした頭のせいもあってか倒叙モノでもある本作の内容がイマイチ良くつかめなかった。
まあ、意欲的な構成に挑んでいるのは買い。
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これは凝りすぎて意味不明になっている。
何度も途中で本を放り出しそうになった。
袋とじや前からも後ろからも読めるようになってるけど・・・なんだか空回りしてる感じ。海外のミステリーでも同様な試みがあってそれを真似たのかもしれないけどこれは失敗作のようでした。
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何がすごいいいって装丁とか中身のつくりとかがすごい好き。
逆さまから読み始めるってもう、ドキドキだよ。話自体はつまらないけど、本のつくりが大好きだ。
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日本海の孤島で起こる連続密室殺人事件(『首吊り島』)と都会の片隅で起こる監禁事件(『監禁者』)。二つの事件に巻き込まれた作家志望の男が遭遇する奇想天外の結末とは?「倒錯」シリーズ完結編は前代未聞、前からでも後ろからでも楽しめる本。
倒錯シリーズ最終作。順番どおりに読むとより一層たのしめること間違いありません。
首吊り島は横溝正史の獄門島そのものです。監禁者はハッキリ言って駄作。真ん中の解決編はウザイって感じでした。
もっと気持ちよくだまして欲しいです。しかし練り上げられた作品だとは思います。
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まず前後に分けた意味がよく分からない。
発想自体は悪くないと思いますが、生かし切れていなくて中途半端。
少し期待はずれでした。
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孤島で起こる連続密室殺人(首吊り島)と東京で起こる監禁事件(監禁者)。両事件に巻き込まれた男が辿り着いた結末とは?
前からでも後ろからでも読める、ミステリィでは珍しい袋とじ付き文庫。実験的かつ意欲的な作品です
首吊り島の設定は所謂横溝ワールド。探偵の推理はロジカルとは言い難く、ほとんど直感に支えられてる印象なのが残念ですが、全体がロジックを許さない雰囲気ではありました。作者が書きたいのは読者への挑戦ではなく奇々怪々の乱歩ワールドなのかも。なので密室の謎も「そう来たか」と唸るほど捻った内容ではありませんでした。ただ、それを補って余りある構成の面白さがあります
監禁者は首吊り島とセットだからミステリィとして成立する話。これだけ読むとただのホラーというか都市伝説です。現実と虚構の区別がつかなくなる話は少なくありませんが、袋とじの存在がその効果を増している感じもありますね
袋とじの中身は無難な内容です。真相をハッキリ明示しないで締めても面白かったかも。逆に後書きが袋とじより良かったような…
とにかく(いい意味で)ひねくれたミステリィスキーには楽しめる作品ではないでしょうか
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表と裏、どちらからも読んで良いという趣向の凝らした作品。
そして袋とじになってる最後の作品を読んでおしまい。氏、らしいなぁ。
普通に読むと表の「首つり島」、裏の「監禁者」となる。
どちらから読んでも良いけど、純に読んだ方がわかりやすいかも。
とにかく面白い。
ラストは、少し気が抜けた感じがするけど、それを差し引いても
思わず先を読んでしまうこの引き込まれ方は、氏の持ち味。
氏の作品、入門には向かないかも。
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「首吊り島」「監禁者」というふたつの中編ミステリがセットになっていて、しかも本を前からと後ろからとそれぞれ読むようになっている。さらにふたつの物語が互いに影響しあっている。しかもふたつの物語の間には袋とじになったページがあり、そこを読むと全体がさらに別の顔を見せる。何とも凝った本である。
あえて別々に書くとすれば、「首吊り島」の密室トリックはよかった。海の上に浮かぶ小さなお堂での殺人事件であり、不可能状況も立派なものだし、解決も鮮やかである。それに比べれば「監禁者」の叙述トリックは、確かにあっと驚いたけど、どうも後から考え込んでしまうというか、うまく引っかけられたって感覚の方が大きかった。好みの問題かもしれない。「袋とじ」部分、読み進めるほどに物語が違う顔を見せる。すごい。でも、すごいなってだけ。あんまり感動できない。ただ、読み終わった後もぐるぐると頭の中を回っていてずいぶん尾を引いた。
叙述トリックというのは、本当に反則すれすれな印象を受ける。この作者、叙述トリックにずいぶんこだわっている人らしい。興味がある。
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前から読んでも後ろから読んでもよいという
面白いつくりの本だが、前からよむ「首吊り島」だけで十分面白い。
逆に言えば「監禁者」や袋とじによってその価値を落としてしまったのではないかとも思える。
「監禁者」に関しては「倒錯の死角」を読んだ人にとっては
種のわかった手品を見ているようなもので
ややしらけた感じがする。
そして「首吊り島」と「監禁者」のつながりに関しては
「首吊り島」での清水ミサ子の役割をもう少し大きくしなくては、
その山本安雄を首吊り島へ連れて行く理由が薄すぎて
有機的なつながりにならない気がする。
15年以上前に書いた「倒錯のロンド」と「倒錯の死角」の
登場人物を使って話を書きました、
で終わっている気がしないでもない。
そして袋とじだが、
それによって何か新たな驚きがあるかといえばそれほどでもなく、
「首吊り島」と「監禁者」でのあいまいな点を補っているにすぎない。
最後の落ちの「新見月代、にいみつきよ、にいつ……」は
楽屋ねたで、知らない人にとってはわけがわからないだろうし、
知っている人にとっては、やはりしらけるものであろう。
自身の出世作である「倒錯」シリーズだからと
かなり力が入っていたのだろう、
「首吊り島」というそこそこのできの話を使ったために
「監禁者」において整合性つけるだけで精一杯、
袋とじにおいて「倒錯」シリーズとの整合性と落ちをつけるのに
やはり精一杯な感じがしてしまうのだ。
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日本海の孤島で起こる連続密室殺人事件(『首吊り島』)と都会の片隅で起こる監禁事件(『監禁者』)。二つの事件に巻き込まれた作家志望の男が遭遇する奇想天外の結末とは?「倒錯」シリーズ完結編は前代未聞、前からでも後ろからでも楽しめる本(amazonより抜粋)