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紙の本
「強くて賢くて優しい」女の子が、自分の手で掴み取るシンデレラ・サクセス
2004/12/19 00:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:らせん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フジテレビが日曜日19:30から放映していた「世界名作劇場」という、子供向け物語のアニメを覚えてますか? 「アルプスの少女ハイジ」から「家なき子レミ」に至る全24タイトルが放送されたそうで、この世界名作劇場が、どういう訳か主題歌のミニCD付きで文庫化されることになり、本屋で見かけて思わず手に取ってしまったのが、「赤毛のアン」「南の島のフローネ」と並んで私が一番好きだった「ペリーヌ物語」です。だって表紙を飾るペリーヌの、可愛いんだけどのっぺりした平目顔がすごく懐かしかったんだもん。
文庫を読むまで知らなかったのですが、この「ペリーヌ物語」の原作は、「家なき子」を書いたエクトル・マロという人が作者で、邦題もそのものズバリ「家なき娘」だったんですね。「家なき子」のレミ少年と同様、ペリーヌも幼くして受難の多い人生を歩んでいます。
ペリーヌはインド生まれの13歳。祖父のいるフランスに向けて長い旅をしている途上で相次いで父母を亡くします。一人ぼっちになったペリーヌは、それでもまだ見ぬ祖父のもとを目指し、苦労のすえようやく祖父の住むマロクールの村にたどり着くのですが、孫と名乗り出せないまま、祖父の経営する工場で働き始めます。やがて英語力を買われて祖父の秘書に抜擢されたペリーヌは、その優しさで祖父が唯一心を許す存在になるのですが、祖父は息子を奪ったペリーヌの母を激しく憎んでいたため、ますます名乗り出ることが叶わず…といったあらすじで、最後は涙ナシでは読めない感動の物語です。
子供の頃に見たアニメを文字で綴られた物語として追体験するのは、ちょっと不思議なものです。しかし変わらぬ感想というのはやはりあって、ペリーヌの母ちゃんってホント役立たず(笑) もともと病弱な上に、夫を亡くした悲しみで病気になってあっという間に死んでしまうだけの人とは思ってましたが、文庫で読んでみると、もうしょっぱなからお母さん病んでるのね…。 改めてお母さんの使えなさを確認しましたよ。いやぁ、子供時代の批評眼って案外確かなんだな。
母が頼りないと娘がしっかりするのは当たり前のことかも。ペリーヌは母が我が娘ながらも誉めずにはいられない「強く賢い」娘になります。この「強くて賢い」は物語における少女のキャラクターとしては、あの当時ちょっと異色だったような気がします。だいたいヒロインは、何より可愛くて可愛くて可愛くないといけなかった時代のこと。大して可愛くなかった少女時代の私は、他の物語のヒロインにないペリーヌの「強さと賢さ」に憧れたんだと思います。だから前半の「苦難の旅編」より後半の「マロクール編」に入ってから、池のほとりの狩猟小屋を改装して、ロビンソー・クルーソーのような一人暮らしを始める部分や、持ち前の機知を発揮して祖父の目に止まり秘書として抜擢される部分など、ペリーヌが自らの手でサクセスを掴む部分にグッときましたね。これは子供時代と同じで、今読んでも変わらない気持ちでした。
まぁそれでも、たった13歳とは思えない卒のない振る舞いと、祖父の工場で働く従業員の福利厚生を祖父にお願いする所なんかは、ちょっと優等生ぶりが鼻につきましたけど(笑)
もうひとつペリーヌが優れているのは、頼りなかったお母さんの唯一の教えである「人から愛されるには、まず自分が人を愛さなければ」を実践していること。だからひどい目にあわされても決して人を恨まない嫉まない、ホント優しい子なんです、ペリーヌは。
「強くて賢くて優しい」三拍子揃ったこんな娘に私もなりたかったのに、一体どこを間違ってしまったのでしょうかしら?
もし将来自分に娘が生まれるようなことがあったら、ペリーヌのように育てたいな。それにはまず自分が病弱で頼りない母親にならないといけなかったりして。頼りないはともかく病弱はちょっと無理か(笑)