紙の本
MybrotherisplumplikeMr.Hitchcock.(私の兄はヒッチコックの様に小太りだ)。
2004/09/10 10:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:人鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒッチコックという名前を見るだけで、頭の中には『あやつり人形の葬送行進曲』(ヒッチコック劇場のテーマとしての方が有名だろうが)が流れ、だるまの様なヒッチコックのシルエットが写り、「みなさん、こんばんは」の声が聞こえる手合いは多いだろう。
私もその一人である。ああいう音楽は頭に残って仕方がない。
さて、本書は、「ヒッチコックのお気に入り」の副題の通り、TVシリーズヒッチコック劇場で使われたエピソードをまとめた短編集である。
これにハリウッドB級映画的な、いろいろ飛んだり、出ちゃったり、襲ってきたりする怖さや(情けないことに私はこれらを観ることは不可能)、はやりのJ−ホラーのように忍び寄る怨念、といった類は期待しないでほしい。
そうは言っても、「ヒッチコックの妙味は、その斬新で緻密な画面にあるんじゃないか? ネタ本だけでは面白くないよ。」と言われそうだが、意外にこれが面白かったのだ。TVで言えば1つの番組が終わって、次の番組が始まる間に何気なくみたCMが妙に気になる…。そんな読後感なのである。なにしろ、本書の直接の作者はCMディレクターが本業らしい。寸鉄人を刺すような「ニヤリ」の極上さは約束されているといって差し支えないと思う。
例えば中の一編である「金は天下の回りもの」では、トランプ賭博で今月の給料全部をすってしまった主人公。家に帰る道すがら、嫁さんに対する言い訳を考えている、という、新橋のお父さんたちと何ら変わらないであろうエピソードである。主人公は超小心者。嫁さんの手前警察に被害届を出したあげく、なぜか「犯人」が登場…、っと。
短編はこれ以上説明するとオチまですぐに行ってしまうから恐ろしい。でも、同じ小心者としては、一緒に追い詰められること請け合いです。その上、追い詰められすぎない「あーでもなく、こーでもなく、で、最後に、え?」となる小気味よい序破急の流れが丁度良い。なんと言えば良いのか。強い相撲ではなく上手い相撲を見た感じ、そう、そんな感じ。唸るよ、きっと。ああ、大喜利を聞いた後の様な気持ちになる。
で、はたと思う。映画『エイリアン』みたいな状況に追い込まれることはそうはないと思うが、この短編に書いてる状況って、実は容易に我が身に起こりうる…とすると、実はこっちの方が怖いのかも。
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宣伝してるほどおもしろくないんですよ、ぶっちゃけ。っていうのもどうしても同じ毛色の作品である「10ドルだって大金だ」と比べてしまうから。あれを知らなかったら、これだってものすごおく面白いと思うんだろうけど、比べちゃうとどうもね。「10ドルだって大金だ」の方がミステリ度は同じくらいだとしても、エンターテイメント性が高いというか、ユーモアがあるちゅーか。…ん、だから、こっちの方が好きな人も当然いるだろうなと思います。でも、私はこれを読んだら、また「10ドル〜」を読みたくなりました。
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敬愛してやまない某作家さんがオススメしていたので読んだ本。
短編集なのですが、どれもこれもが粋で素晴らしかった。
こんな風な本に、もう一度出会ってみたいのに、なかなかぴんとくるものが見つかりません。
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「ヒッチコックのお気に入り」という副題がついたミステリ短編集。ヒッチコックの時代のミステリということもありどこか古くさいという印象も受けたが、しゃれたオチの楽しめる短編集だった。
また、巻末の解説にもあるが物語の為に必要なことのみを書いて有るという感じで、テンポよく作品を読み進めることができた(もちろん、短編集だからということもあるが)。
予想外というよりは、巧いなぁと思わせるられるオチが多く、一つの作品を読み終わるたびに「なるほどね」という感想を抱いた。オチがわかってしまうとこれから読む楽しみを奪ってしまうので話の内容は書かないが、私はこの本の様々な短編の中で「信用第一」という作品のオチが大変気に入っている。
また今後、この短編集以外のヒッチコック作品が同じ文庫から発売される予定だということなので、また機会を見つけて読んでみようと思う。
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とあるまとめ系サイトを巡回してた時に見つけた掘出し物。クラシック短篇の名手、H・スレッサーによるショートショート18編。
短い中にも人物たちの悲喜劇や欲望がさらりと描かれており、小説としても面白く読める。フィニッシング・ストレートの効いたスタイルは飽きることがなく、ビターなお菓子を食べてるようで、ついつい読みふけってしまう。基本はブラックなのだが、中にはノワールやハードボイルド・タッチな作品もあるので、各話のカラーに注目してみるのもいいかも。
お気に入りは、「気に入った売り家」 「親切なウェイトレス」 。こういうSなスタンスって好きです。
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ヒッチコックが選ぶヘンリイ・スレッサー傑作集。アンソロジーなどではよくお目にかかる手だれの作家だが、こんなにまとめて読んだのは初めて。切れ味のいい洒落た短編(←決まり文句だが、的を射ている)を堪能した。
一昔前のアメリカの雰囲気を色濃くまとっているところも魅力。これはこの時代の作家が皆共有しているというものでもなくて、たとえばアイリッシュにはたっぷりあるが、フレドリック・ブラウンやジャック・リッチーにはそれほど感じられない。なんというか、おっとりとした品性みたいなものだ。たとえテーマが犯罪でも。本書に登場する男たちは、間違いなく中折れ帽をかぶっているだろう。
郷愁のアメリカ…体験したことはないけれど。
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17の短編が収録されています。1話1話が短く、さらっと読めそうです。絶妙なオチで読後の気分もさっぱりしそう。
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TVドラマ『ヒッチコック劇場』原作として取り上げられたスレッサーの短編の中から、ヒッチコック自身が厳選した18編。チンピラ稼業から足を洗い、大貿易商に取り入ったラリー。目的は金。順調に信頼を得ながら、ボスと取引先を騙して3万ドルを預かる機会を作り出す。高飛びのチャンス!だがラリーは―――(『信用第一』)/縄抜け芸に絶対の自信を持つフェルリニ。だが妻は、彼女を邪険に扱う彼を憎んでおり、ついに水中脱出ショーで必要な鍵をすり替えて彼を殺す。そして彼の葬式の日、そこには意外なトリックが―――(『最後の舞台』)
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ヒッチコックが厳選した傑作集だそう。
どの話も、オチが効いてて面白かった!
しかし、犯罪者というやつは、ほんと安定した職に就いてコツコツ毎月決まった給料をもらうっていう生活が嫌いなんだね……。
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ヒッチコックのお気に入りを集めたものだそうで。
ヒッチコック劇場で見たらまた違うのかもしれないけど、うーん。面白くないわけじゃないけど、ラスト寸前でなんとなく結末が読めちゃうものが多くて。「どこかで読んだことある」「古臭い」感が・・・
きっとこっちが元祖で、これらのパクリの方を日々目にしているんでしょうけど、21世紀の日本ではもっと過激に進化しているものに囲まれているせいで、感性が鈍っているのかもしれません。
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面白いですよ。なんと言ってもヒッチコックのお気に入りの短編集ですから。ぜひ読んでみて下さい。おすすめです。
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アメリカのミステリ作家「ヘンリー・スレッサー」の作品を「アルフレッド・ヒッチコック」が編纂した『うまい犯罪、しゃれた殺人─ヒッチコックのお気に入り(原題:A Bouquet of Clean Crimes and Neat Murders)』を読みました。
「アルフレッド・ヒッチコック」がプロデュースしたアメリカの人気傑作ドラマ『アルフレッド・ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)』に取り上げられた作品から、「アルフレッド・ヒッチコック」が厳選した作品を集めた一冊とのことなので期待して読みました。
-----story-------------
ポーカーで負けた「アーヴ」は、追いはぎに金を盗られたと新妻に嘘をついた。
が、その直後、「アーヴ」を襲っという追いはぎが本当に警察に現われて...嘘が真実になる『金は天下の回りもの』ほか、毒を飲ませる親切なウエイトレス、ボロ家を高額で売り出した老婦人など被害者も犯罪者も魅力に溢れた、奇抜な着想と絶妙なオチがてんこもり。
TV『ヒッチコック劇場』で使われた作品の中から、「ヒッチコック」自身が厳選した傑作集。
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「ヘンリー・スレッサー」作品のうち、「アルフレッド・ヒッチコック」が厳選した短篇17作品が収録されています、、、
一つひとつの作品が20ページ程度なので読みやすかったし、ほど良くユーモアとホラーのバランスが取れていて、意外な結末が用意されている作品が多く、予想していた以上に愉しめる短篇集でした。
■序文 アルフレッド・ヒッチコック
■1 逃げるばかりが能じゃない (原題:Not the Running Type)
■2 金は天下の回りもの (原題:A First Full of Money)
■3 ペンフレンド (原題:Pen Pal)
■4 信用第一 (原題:"Trust Me, Mr. Paschetu")
■5 犬も歩けば (原題:One Grave Too Many)
■6 41人目の探偵 (原題:40 Detectives Later)
■7 不在証明 (原題:The Morning After)
■8 恐ろしい電話 (原題:The Deadly Telephone)
■9 競馬狂夫人 (原題:Something Short of Murder)
■10 気に入った売り家 (原題:The Right Kind of a House)
■11 老人のような少年 (原題:M Is for the Money)
■12 最後の舞台 (原題:The Last Escape)
■13 二つの顔を持つ男 (原題:The Man with Two Faces)
■14 親切なウェイトレス (原題:Case of the Kind Waitress)
■15 付け値 (原題:Make Me an Offer)
■16 眠りを殺した男 (原題:Sleep Is for the Innocent)
■17 処刑の日 (原題:The Day of the Execution)
■解説 《スレッサー劇場》へようこそ 濱中利信
『1 逃げるばかりが能じゃない』
投資信託から20万ドルを持ち逃げし服役していた「ミルト・ポッター」が15年の刑期を終えて出所… 彼は逮捕時に持ち逃げした金の隠し場所は絶対に話そうとしなかったが、出所後に金の隠し場所を問い詰めに行った「アーネスト・フィッシャー警視」には「どうぞ」と20万ドルを差し出した、、、
えっ、なんで!?と思っちゃいますが、20万ドルを元手にしっかり財テクをして、服役中の15年間に利益を出していたなんてね。
『2 金は天下の回りもの』
もらったばかりの週給を仲間とのポーカーで巻き上げられた「アーヴ・ランドール」は、妻「フランシイ」に対し強盗に遭って奪われたと言い訳する… 妻の指示によりイヤイヤながら警察に届けたところ、警察からは犯人を捕らえてお金を取り戻したと連絡があり蒼くなる、、、
別な人物が強奪されたお金を手にした「アーヴ」は罪悪感を感じるが… まさか、ポーカーで巻き上げられたお金が、まわりまわって自らの手に届いていたとはね。
『3 ペンフレンド』
姪の「マージ―」がペンフレンドにしている相手の無期懲役囚「ラウール・コリンズ」が脱獄したので気をつけるようにと言われた老嬢「マーガレット・ロウエン」… そして、その夜、「コリンズ」がやってくる、、、
「マーガレット」は「コリンズ」を撃退するが… その後、刑務所に戻った「コリンズ」に宛てて「マーガレット」は手紙を書かずにはいられなかった… 真実は明かされずに済みましたが、将来のことを考えると、悩ましい幕切れでしたね。
『4 信用第一』
うだつのあがらない「ラリー・ファブリツィオ」は週給150ドルの仕事をやめ、親爺の友人のところで週給75ドルで働くことにした… ようやく現金をあつかえるようになったとき、「ラリー」はある計画を進めた、、、
会社の資金3万ドルを手にした「ラリー」は… ちまちま横領するより、会社の信頼を得る方が長い目では儲かるってことですね。
『5 犬も歩けば』
失業中で借金に追われ、家賃滞納でアパートまで追い出されそうな「ジョー・ヘルマー」が、成果のなかった求職の帰り道、突然倒れた男の札入れを盗んでしまう… 男の息がないのを確認した上での行動だったが、札入れにに残されたカードに「私はてんかん性の持病があるので発作が起こると死んだように見えます」と記載があったことから、もしかしたら生きていたのではと気になって仕方がない、、、
「ジョー」は勇気を出して正義を実行するが… まさか、倒れた男がスリだったとはねぇ… 正義の行動が幸運には繋がらなかったのは辛いですね。
『6 41人目の探偵 』
私立探偵の「わたし」は、「マンロー・ディーン」から妻を殺した男「オットー」を見つけたので、二人で会えるように手配してくれという奇妙な依頼を受ける… しかも、直前になって、「マンロー」は「わたし」に「オットー」を銃殺してくれとまで言う、、、
「マンロー」の銃撃により復讐は成功したかに思えたが… 「オットー」の反撃により「マンロー」も深手を負ってしまう。
そこで「オットー」から衝撃的な事実が告げられる… 妻殺しは、「マンロー」が「オットー」に依頼したのだった、、、
自らの手を汚さない手口… しかし、傷口から流れ出る血を抑えた「マンロー」の手は汚れてしまっていた。
『7 不在証明』
不倫をしている娘「シャロン」を快く思わない初老の母親の「トロッター夫人」… 「シャロン」は、近々、彼が妻と別れて結婚できると言うのだが、「トロッター夫人」は反対する、、、
娘がシャワーを浴びているとき、相手の男性か���電話がかかり「トロッター夫人」が電話に応答したところ… 「妻が死んだから、おまえといっしょにいたと証言してくれ」と一方的にまくしたてて電話は切られた… 受話器を下した「トロッター夫人」は娘に反対の内容を伝言する。
怖いですね… ゾクっとさせられました。
『8 恐ろしい電話』
共同電話でお互いの通話をチェックし合っている「ミセズ・バーチ」等の中年女性達… そんなある日、彼女たちの長電話のため医者が呼べず妻を亡くしてしまった男「ヘイワード・ミラー」が精神病院を脱走したという連絡が入る、、、
「ミラー」は、妻の復讐のために、ここに向かっているかもしれない… 深夜、何者かが「ミセズ・バーチ」の自宅に侵入し、「ミセズ・バーチ」は助けを求めるために警察に電話をしようとしたが、長電話をしている近所の婦人たちは電話を切ってくれない… 因果応報の結末でしたね。
『9 競馬狂夫人』
夫に内緒で競馬にうつつを抜かす主婦「フラン」が、ある日、ブックメイカーから今日の夕方までに25ドルの借金を返済しなければ競馬のことを夫にばらす、と言われてしまう… しかし、手元にあるのはわずか1ドル半、、、
そこで「フラン」はおしゃれをしてバス停にたち、財布を忘れたと言って、人々から小銭をせびることにより少しずつお金を増やしていく… それを目撃した男に脅されたりしながらも、なんとか結果オーライで25ドルを集めますが、後味の悪さが残る作品でした。
その後も、すぐに競馬にお金を使っちゃうんですもんね… 全く懲りてない、ギャンブル依存症の怖さを感じましたね。
『10 気に入った売り家』
田舎の不動産屋「アーロン・ハッカー不動産事務所」によそ者の男「ウォーターベリイ」が現れ7万5千ドルで売りに出ている物件(開拓時代(1802年築)のおんぼろの家)が欲しい、という… その家は1万ドルの値打ちもないことから不動産屋は別な物件を紹介しようとするが、よそ者はその物件が欲しいと言い、不動産やは持ち主の老婆「グライムズ」を紹介する、、、
「ウォーターベリイ」はおんぼろ家に住む頑固な「グライムズ」を口説こうとするが… 実は「グライムズ」は、この男の出現を待っていたのだった。
二人の思惑が交錯するところが面白かったですね… 老婆の粘り勝ちでした。
『11 老人のような少年』
思わぬことから銀行強盗の手先になり服役していた「ジャッキー」は、出所後、刑務所の先輩の「アリー」の命令で、「アリー」の家に立ち寄る… 身寄りのない前科者の「ジャッキー」をおっかさんは自分の子供のように迎えた、、、
しかし、それには、ある目的があったんですよね… 前科者の辛さが感じられる作品だったし、心に重苦しいものが残る結末でしたね。
『12 最後の舞台』
時代遅れと言われながらも一世一代の水中脱出を試みる脱出師「フェルリニ」… 不幸にも脱出は失敗、彼の葬儀が執り行われたが、葬儀の最中に衝撃な出来事が、、、
「フェルリニ」の遺体が棺桶から消えてしまったのだ… これは「フェルリニ」が予め用意していた最後の舞台だったのだが、��「ワンダ」は、そのショックで精神を病んでしまう… 「フェルリニ」の脱出失敗が、本人のミスだったのか、「ワンダ」が意図したものだったのかは明るみにされませんが、最後の舞台を見た「ワンダ」の受けた精神的なショックからすると、自ずと事実はわかりますよね。
『13 二つの顔を持つ男』
現金9ドルの入ったハンドバックをひったくられた「ワグナー夫人」は警察に届けに行き、犯罪者の顔写真をみることになった… 写真の束を順番に見ていた彼女は娘婿「レオ」の顔があることに気付く、、、
娘の身を案じた婦人は警察にその旨を告げたが… 娘の手配写真を見ることになるよりは良かったのでしょうけどね。
『14 親切なウェイトレス』
ウェイトレスとして生計を立てる中年女性「セルマ」は、毎晩レストランに食事にやってくる老婆「マナーハイム夫人」に対し、親切に対応していたこところ、ある日「マナーハイム夫人」から「遺産はあんたに残してあげる」と言われる、、、
しかし、90歳を超えていると思われる「マナーハイム夫人」は健康そうで、当分は死にそうにない… 焦り始めた「セルマ」は弟「アーサー」の口添えで食事に毒を混ぜることにするが、「マナーハイム夫人」は弱るどころか、徐々に元気になっていく。
なんとも皮肉で、恐ろしい結末でしたね… 遺産相続のことを知ってから、「セルマ」の微妙に心が変化する様子にリアリティがありましたね。
『15 付け値』
夫婦仲の悪い男「モート・ボナー」が深夜に自宅で物音をきく… 階下に泥棒が侵入しており、「ボナー」にみつかった泥棒から「物を盗むより被害者と組んで保険金詐欺をした方がいい」と提案するが、「ボナー」は泥棒に「妻を殺し、強盗が襲ってきたように見せかけてくれれば、金をやろう」と逆提案をする、、、
取引は成立したかに思えたが… 寝室に行った泥棒は、なかなか戻ってこない、、、
気になって寝室に入ったところ… そうじゃないかとは思いましたが、恐ろしい結末でしたね。悪魔の取引だなぁ。
『16 眠りを殺した男』
「キャベンダー」の妻が火災事故で死んだあと、その弟「フレッチャー」が同じ町に引っ越してきて脅迫してきた… それ以来、「キャベンダー」は眠れなくなり、それを解決するために「フレッチャー」を訪問した、、、
その後、二人は言い争いとなり、足が不自由で車椅子で生活している「フレッチャー」は拳銃を取り出し、争っている中で「キャベンダー」は「フレッチャー」を撃ってしまう… しかし、それにより「キャベンダー」は久しぶりに安眠でき、深い眠りにつくことができる。
だが、「キャベンダー」の寝タバコがもとでホテルが出火… ぐっすり眠っていた「キャベンダー」は… 眠りに殺されちゃいましたね。
『17 処刑の日』
妻殺しの男の死刑を勝ち取った駆け出しの検察官「ウォーレン・セルヴィ」… だが、初めての大きな仕事を達成して満足する彼の元に「あっしが彼女を殺したんでさ」という老人「アーリントン」が現れ、「セルヴィ」は困惑する、、、
しかし、処刑の当日、「アーリントン」が連絡し��きて、真実を告白するために警察に行く決心をしたという… 慌てた「セルヴィ」は「アーリントン」を抑えようとするが。
まさか、虚言癖のある老人だったとは… エリート検事の傲慢と弱さが自らの足元を掬ってしまいました。
ホント、飽きずに愉しめる17篇でしたね… ちなみに、『アルフレッド・ヒッチコック劇場』における「アルフレッド・ヒッチコック」の哲学は、以下の5点だそうです、、、
1 殺人はきれになものじゃない。
2 暴力は、正当な理由がなければ退屈である。
3 本当の気難し屋はひとりもいない。
4 犯罪は引き合わないが、楽しいものであることは確かだ。
5 遊びが大切だ。
本作品に収録されている作品は、この哲学が体現できている作品ばかりなんでしょうね。
特に印象に残ったのは、、、
『2 金は天下の回りもの』、『7 不在証明』、『8 恐ろしい電話』、『10 気に入った売り家』、『14 親切なウェイトレス』の5篇ですね… 面白かったなぁ。
『アルフレッド・ヒッチコック劇場』を観てみたくなりましたね。
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往年のTVドラマ『ヒッチコック劇場』で放映された作品の中から選ばれた、ヒッチコックお気に入りの17の短編集。どの作品も奇抜なアイデアと小気味よい顛末で、読者を飽きさせずに愉しませてくれます。ヒッチコックの番組制作の5つの哲学...1.殺人は綺麗なものじゃない 2.暴力は正当な理由がなければ退屈である 3.本当の殺し屋は一人もいない 4.犯罪は引き合わないが、楽しいものであることは確かだ 5.遊びが大切だ...このウイット&ユーモアの精神みなぎるクライム作品が揃えられています。
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おおっ、タイトルにもヒッチコックのお気に入りってあるけど、これはまさにヒッチコックっぽい。。。ってヒッチコック劇場のネタなのか。懐かしい。
あれだね、星新一が推理小説とかの方面の人ならこんな感じだよね、きっと。いやもちろん適当に雰囲気で言ったけどね。
実際に人が死んだりすると現実では酷い話ですよ、もう、ってなるけど、推理小説がここまで世にはびこっているのは、やっぱちょっとスカッとするというか、なるほど~となったり、エンタメ要素もあるよね。それを強化するとこんな感じなんかな。
ともかくどれもオチとか考えられてて良いですわよ。