紙の本
これって案外拾い物でした。あまりにお子様を意識したカバーデザインに騙されてはいけません。大人がホロっとしてしまう話も入っています
2005/07/20 21:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《幼稚園で働く妹尾睦月、彼女が想いを寄せる人は腹話術師。彼が操る人形が解き明かす謎の数々》
入社して何年間か、服装くらいきちんとしろと言われるたびに反発してきた私ですが、最近は「それもご尤も」と思うことが多くなりました。二児の母というよりは、オバサン予備軍というのに相応しい年齢になったせいかもしれません。
で、本にとって服にあたるのが、装丁と装画。この本でいえば、伊藤正道のイラストがあまりにコミカルなので、中身も児童向けの甘い推理かと思ったのですが、これが実にオーソドックスな推理小説。若い読者を狙ったのはいいのですが、私などはペンネームともどもバランスを考えたほうがいいのでは、と思ってしまいます。
二人とも好きでいながら、なかなか本心を打ち明けられない妹尾睦月と朝永嘉夫。そんな睦月のところに田舎から弟が転がり込んできました。せっかくのデートに、ついて回る弟が巻き込まれたトイレの密室殺人事件「人形はライブハウスで推理する」。幼稚園に突然子供を迎えに来るようになった父親。子供はママを待ち続けるが、母親は現れない。少年の家庭に何が起きたのか「ママは空に消える」。詮索好きの弟、人形の秘密を知る小田切警部などが消えたゲームや園児、コンビに強盗などを巡って推理を働かせるがなどなど。
最も好きなのが「夏の記憶」です。中学生の時、友達と小さなことで仲違いをした少女たち。やっと仲直りしたと思った相手は引越しをしてしまいました。せっかく教えてもらった住所に送った、いつまでも友達でいようと思いを込めた手紙は、あて先人不明で戻って来てしまいます。長い間彼女を苦しめた友情の真実を、人形鞠小路鞠夫が解き明かす、それはそれは素敵なお話です。
謎はどれも身近に起きそうな小さなことばかりですが、その解決は決して奇を衒ったものではありません。鞠夫が解き明かす筋道は、実に理路整然としています。しかも、決して冷たいものではありません。パズルのために全てが奉仕するといった最近の本格推理小説が陥りがちなところがないのが、いいですね。
探偵を嘉夫が操る?人形鞠小路鞠夫にしたのが効いているのかも知れません。60年代生まれの京大ミステリーグループの一人として遠ざけてきた作家ですが、こんなことならもっと読んでおくべきだったと反省。外見や肩書きに騙されてはいけない、と思いました。ま、騙されないような外見も必要なんですが・・・
紙の本
軽い短編で読みやすさ格別
2019/01/03 19:43
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズの、初めて読んだ作品です。(一巻から読んだ方が良かったのかもしれませんが、それでも楽しめました。)
子供向けっぽい表示と作品紹介に騙されてはいけません。大人として、かなり多くのことを考えさせられる1冊です。
人形の語り口も軽快かつ毒舌で、クスリとします。彼が、この物語に無くてはならないスパイスをちゃんと入れてきてくれています。
まぁ、私が主人公なら、あんな決断力低めな男性とは付き合えなさそうですが(笑)きっと、優しさに惹かれるのでしょう。
にしても、かなり軽く読める内容で、かつ短編集。ものすごく読みやすかったです。体力がいりません。
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腹話術師の朝永さんが操っている(?)人形の鞠夫が事件の謎を解いていく短編集。しかし、ミステリ部分よりも朝永さんと「おむつ」こと睦月との仲が気になるラブコメ仕立ての軽ミステリです。
相変わらず進まない2人の関係。今回も様々なことが2人の邪魔をしてくれます。もっとも、邪魔する人に悪意はないのですが。
ミステリとしては比較的軽いトリックのものが多いのですが、それはそれでミステリであることを強調するような雰囲気が感じられる気がしました。それでいて、普段はミステリを読んでも謎解きに挑戦しないような人まで「考えてみよう」と思わせるような絶妙な感覚です。
巻末の我孫子さんと腹話術師・いっこく堂さんとの対談も楽しめます。気楽に読めるミステリです。
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新規購入ではなく、積読状態だったもの。
購入詳細不明。
2013/9/6〜9/7
長い間の積ん読本、かつ久しぶりの我孫子作品&鞠夫シリーズ。書き下ろしの一作品以外はメフィストで読んでいるはずだが、長く置いておいたので、良い感じに忘れてた(笑)。このようなほのぼの系ミステリは貴重な存在なのだが、私の知る限り続編は出てないようだ。是非続編をお願いしたい。
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ユーモアミステリー短編集。全6話。
人形シリーズ第四弾!!
いいねぇ×2♪今回は短編です。不器用な二人も、ついにゴールイン!?やっと朝永さんがプロポーズしてくれました。それを受けた睦月が悩む姿がなんともかわいい★
はぁ〜なんてハートウォーミングでユーモアたっぷりなお話なんでしょう。ほのぼの♪
このシリーズもとりあえず今は読みおさめです。早く新刊でないかな〜?
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人形探偵シリーズ第三弾。
ヒロイン・睦月ちゃんに言い寄る好青年。
二人の仲はどうなるの?!
連続放火事件の待ち起こる中、ヒロインの切ない乙女心がリンクする一夏のストーリー。
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『人形はライブハウスで推理する』
上京した睦月の弟・葉月。朝永とのデートを邪魔して追い出され訪れたライブハウスでの殺人事件に巻き込まれる。トイレで刺殺された麻薬の売人。事件後駅でのプロポーズ
『ママは空に消える』
幼稚園児の瑠奈ちゃんの母親が消えた。「お空にいるおばちゃん」の所に行ったという瑠奈ちゃんの言葉。家庭内暴力と失踪事件の関連。
『ゲーム好きの死体』
バレンタインの夜に喧嘩した2人。原因は朝永の部屋にやってきた2人の女子高生。仲直り後に発覚した女子高生の兄の殺人事件。RPGに隠された秘密。兄の女性関係。
『人形は楽屋で推理する』
園児のカイくんからプロポーズされた睦月。校外学習で訪れた劇場。朝永を引率者と間違えた受付の女性。20人いた園児の内消えたカイくんの謎。
『腹話術志願』
朝永の腹話術を見て弟子入り志願してきた大河原。彼の勤めていたコンビニで起きた強盗殺人事件の犯人として拘留される。防犯カメラに映った犯人と被害者。被害者の指紋のついた雑誌に隠された秘密。
『夏の記憶』
睦月が小学生の頃に「親の事情」で北海道に転校した麻里ちゃん。教えられた嘘の住所の秘密。
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腹話術師の人形探偵・鞠夫の連作短編第3弾
読了日:2007.4.18
分 類:連作短編
ページ:330P
値 段:514円
発行日:2001年8月講談社、2004年8月発行
出版社:講談社文庫
評 定:★★★
●作品データ●
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主人公:妹尾 睦月
語り口:1人称
ジャンル:ユーモアミステリ
対 象:一般向け
雰囲気:恋愛、ユーモア、新本格
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---【100字紹介】------------------------
幼稚園教諭の私、妹尾睦月の恋人であり腹話術師の朝永嘉夫さん。
彼の操る相棒の鞠小路鞠夫は、私の弟・葉月に嫌疑のかかった
殺人事件も鮮やかに解決する名探偵!
コミカルだけど新本格派ミステリ、連作短編の第3弾!
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●収録作品●
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■ 人形はライブハウスで推理する
■ ママは空に消える
■ ゲーム好きの死体
■ 人形は楽屋で推理する
■ 腹話術志願
■ 夏の記憶
■ 特別付録 対談 我孫子武丸×いっこく堂
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■人形はライブハウスで推理する
突然上京してきた弟の葉月。朝永さんからの電話をとってしまうし、
彼とのデートにもついてくるし。お邪魔虫!と思っていたら、
一人で街へ出掛けた葉月に、いきなり殺人容疑が!?
ライブハウスのトイレで起こった殺人事件。
<一言>
これぞミステリだよね、というようなハウダニット。
掌編らしい、掌編ともいえるかも。
大きすぎないトリックをコミカルなエピソードの中に
ぽんと放り込んだ作品です。そして…ついに二人の仲が急接近!?
評定:★★★
■ママは空に消える
幼稚園の園児、瑠奈ちゃんのお迎えが遅い。珍しくお父さんがやってきた。
待っている間にママはどうしたの?と訊いてみると、
「お空の上のおばちゃんのとこに行ったの」と…。
それってまさか…!?
<一言>
ああっ、惜しかった!妹尾さんの推理、なかなか当たりませんね。
ちょっと痛かったですが、何とか解決、でしょうか。
ところでこんな名前の人、あり?
評定:★★★
■ゲーム好きの死体
最悪のバレンタインデーが幕を開ける!?
久し振りのデートを楽しみにしていたのに、朝永さんの家には先客が…。
折角仲直りしかけたところに今度は殺人事件の証言者として呼び出され!?
<一言>
可哀想に…。ま、普段から色々と利用しているから利用されることもまた、
あるということで。謎解きに関しては…、これってどうなのでしょう?
わざわざ解かなくても、鑑識さんには丸分かりでは…?
評定:★+
■人形は楽屋で推理する
GW…なのに幼稚園児たちを連れて人形劇に行くことに。
朝永さんも出演するその人形��に、「私」にプロポーズしてくれた
幼稚園児のカイ君もやってきたのだけれど、いつの間にか行方不明に?
<一言>
妹尾さん、大人気(笑)。幼稚園児のはかない恋ですか…。
しかし、ハードボイルドの幼稚園児って嫌ですね。
トリックとかは実は全然なくて、
ふとしたことをうまく謎に仕立て上げています。
評定:★★
■腹話術志願
朝永さんの家に押しかけ弟子!?
勝手に住み着いた料理上手の謎の彼、
いきなり強盗殺人事件の容疑者にされているし…。
<一言>
朝永さんも有名になってしまいましたよ。
この作品もハウダニットかな。
でももしかしたらフーダニットかも。
なかなか面白いトリックですが、実際には絶対無理だろうなあ、とも。
その意味で、ミステリのためのミステリ、という気もします。
悪い意味ではなくて、こういう楽しみのためだけに作られた
フィクション、それはつまりエンターテイメントということ。
評定:★★★
■夏の記憶
朝永さんと共に故郷へ。その道中、小さい頃の話が飛び出して、
ふと思い出した、小学生から中学生の頃の記憶。
あんなに仲のよかった親友だったのに、些細なことで気まずくなり、
それっきりになってしまった悲しい思い出…。
その思い出も、鞠夫の手にかかると真相が見えてくる…?
<一言>
あー、なるほどね!という感じ。
鞠夫、凄いです。伊達に名探偵と呼ばれていない!?
言われてみればひどく綺麗にはまるパズルの一片。
これがパズル・ミステリ!?ちょっと違うか…。
何となく、希望の持てるラストで、連作短編閉幕。
評定:★★★★
本書の裏書では「青春ユーモア・ミステリ」となっています。
全体に見てみるとこの中では「青春」が特に強調されているかも?
というか、恋愛ミステリ、というべきでは。
何だかんだで実際の物語の主軸は、朝永さんと「私」の恋愛模様、
であるということで。ミステリが付け合せ!?なんて、
とっても危険な関係だったりして…。とか言ってみたりして…。
我孫子武丸氏らしい、ユーモアあふれる、
エンターテイメントのためのミステリです。
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★+
簡 潔 性 :★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…朝永 嘉夫
「そりゃしばらくは落ち込むと思うけど。―人生楽ありゃ苦もあるさ」(青木 海)
こんな幼稚園児。
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4月22日読了。腹話術師探偵(探偵人形つかい、というべきか?)が活躍するシリーズ第3弾。別人格を持つ人形が推理により事件を解決していく連作短編集であり、私は他の本は読んでいないがこの形式ならどこからでも入りやすいか。ほわっとしたイラスト、主人公と腹話術師とのすれ違いの恋愛などの要素や「日常の謎」的な事件も織り込まれてはいるが、彼らが解決すべき事件には陰惨な殺人事件が多く読んでいてすっきりしないものを感じる・・・。最終話のような「ちょっといい話」をもっと多く書いたほうがよいのではないかな?他のシリーズでは殺人は少なめなのかな?
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中学か高校か…まあつまり10年以上前にとても好きだったシリーズの続刊。
出ているのは知っていたけど、読んでいなかったので。
一言で言えばこの本は、
やっぱり最初から読んでいないとあまり面白くないかなと。
よしおとおむつの関係性が縦糸で、謎解きは横糸だと思うので。
私は、人の造型がきちんとあって、登場人物の人間関係が変化していく推理小説が好きなので、
やっぱりこのシリーズもよいなぁと思う。
個人的な事情もまざり、よしおがバレンタインに起こしたある行動(ネタバレ防止のためぼかし)
のくだりで泣きましたが、
これもシリーズ初期から読んでいるものだけの特権だよなぁ。
腹話術師いっこく堂が出てきたとき「リアルよしおだ!」
と思ってからはや10年近く。
この本巻末にはいっこく堂との対談もあり、お得でした。
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鞠小路鞠夫―私、妹尾睦月の思い人、腹話術師の朝永嘉夫さんが操る人形の名前です。でも「彼」が、実は名探偵!今回も私の弟・葉月に嫌疑がかかった殺人事件を鮮やかに解決(表題作)してくれた世界唯一の人形名探偵なのです。本格テイストが横溢する短編6本を収録した青春ユーモア・ミステリーシリーズ。
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鞠小路鞠夫――私、妹尾睦月の思い人、腹話術師の朝永嘉夫さんが操る人形の名前です。でも「彼」が、実は名探偵!今回も私の弟・葉月に嫌疑がかかった殺人事件を鮮やかに解決してくれた世界唯一の人形名探偵なのです。本格テイストが横溢する短編6本を収録した青春ユーモア・ミステリーシリーズ。
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久しぶりにこのシリーズに手を出した。
巻末のいっこく堂との対談が面白い。
そういえばこのカバー絵が苦手なんだよね。
キャラクタのイメージが掴めない。
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人形探偵シリーズ最終巻。
今回は原点に戻って?連作短編集です。
ミステリそっちのけで、二人の関係の方に
スポットが当たりがちだが、軽めだけどミステリはある。
ピュアな二人の幸せは続くんだろうなぁ~と思わせてくれて
終わらせ方も実に爽やか♪いやぁ~楽しいシリーズでした。
今年は腹話術師「いっこく堂」さんのデビュー20周年記念だそうで、
巻末にいっこく堂さんとの対談が載ってます。
良い時期に読んだわぁ~♪
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「人形はこたつで推理する」「人形は遠足で推理する」「人形は眠れない」に続いての人形シリーズ4作目!てっきり3作で完結しちゃったのかと残念に思ってたんですよね。嬉しいv まだまだ書いてくださいv
腹話術師の朝永さんと「恋人未満」から「恋人」の仲になった妹尾睦月のアパートに、弟の葉月が転がり込んできた。デート前に朝永さんに紹介はしたのだが、ふたりと別れた後に入ったライブハウスで弟は麻薬密売人の殺害容疑者になってしまって…。――『人形はライブハウスで推理する』
幼稚園児のルナちゃんの迎えが突然ママからパパに替わり、その後から風邪を理由に休んでしまう。ママが「お空の上のおばちゃんのところ」に行ったという彼女の答えが妙に気になって…。――『ママは空に消える』
朝永さんのFANの女の子の兄が自宅で殺害されていた。ゲーム中に撲殺されており、新発売のソフトが盗られていることから鞠夫はプレイする必要性を小田切警部に強く主張した。――『ゲーム好きの死体』
GW返上で園児を連れて人形劇を観に行くことに。朝永さんのお迎えで入場したが、休憩中に園児のカイ君がいない事に気付いたが会場中どこにもいなく、外にも出られない状態で…。――『人形は楽屋で推理する』
朝永さんの家に来た押しかけ弟子に、以前のバイトの先輩の殺害容疑が掛けられた。彼はなぜか大金を持っており、コンビニ強盗に見せかけて殺害したのかも…と小田切警部は言うのだが…。――『腹話術志願』
どんな子供だったのかな?という朝永さんの質問に、鞠夫を交えて話す睦月は中学生時代の親友を、引越し先の嘘の住所を教えるほどに怒らせてしまったショックな記憶を思い出していた。――『夏の記憶』
計6作の短編集。巻末には作者と腹話術師・いっこく堂の対談も掲載ですv
あーもう!なんでこのふたりはこんなにほんわかラブかなぁ!!好き!
前作で恋人同士になったふたりのお付き合いは、今回も少し進んでくれますが、もうね。遅々として進まないのに睦月ちゃんの悩みとか焦りとか苛立ちとか、その揺れる女心がなんかすごくラブいです。ホントにどうして我孫子さんって、こんなに女心を分かるの…?
そして読んで思ったことは、朝永さんは第1作から見ると、本当に自信を持った…というか「自分」が出来てきたように思います。鞠夫の存在を知られないようにビクビクしていたのが嘘のよう…。睦月ちゃんのおかげかなv
鞠夫はあいかわらずの脳内探偵っぷり。自分じゃ動けないのにね。でもあの…「ゲーム…」は反則じゃないの鞠夫?(笑)
それにしても小田切警部は鞠夫にちょと頼りすぎですね(かなり苦労&融通もしてるけれど)。
でも警部にしてみれば、睦月ちゃん&朝永さんの方が事件に縁がありすぎる!って思っていそうだけれど。鶏と卵ってやつかしらん。