ａｖｅｎｉｒ 上野未来写真集

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投稿者：光森長閑　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　大塚製薬「ファイブミニ」CMでのブレイクを経て、2002年には「Futurism」、「MIKU」、「元気!」と立て続けに3冊の写真集を発表し、いささか「写真集女王」の感もあった上野未来ちゃん。このところはブルボン「プチシリーズ」CM等での露出はあったものの、写真集に関してはぴたりと音無しだっただけに、久しぶりの写真集での再会はファンにとっては本当に待ちに待ったものと言えるでしょう。
　2年前はまだ九州在住の高校生だった未来ちゃんもこの9月で19歳とすっかり大人の女性のたたずまいですし、まして水着グラビア全盛のご時世ですから、色っぽさを求めて「初ビキニ宣言」なる謳い文句になるのもやむを得ないのかもしれません。実際大部分が水着のカットで、2年前と路線はかなり変わっています。未来ちゃん本人も「“女優”のイメージで“元気に楽しく!!”の間に大人の表情もMIXされてるかなって」（学研「BOMB」9月号より）とコメントしており、自身の成長を多分に意識しているのが感じられます。
　されど、せっかくの2年ぶりの写真集が水着で売るのがメインというのは寂しさを禁じ得ません。「プチシリーズで大人気!!」とか「大阪プロレス飯店ヒロイン」といった触れ込みをわざわざ付けているのにしても、かつてあれだけの活躍を見せた人に対してそこまでご丁寧に解説してやらなければならないほど知名度が落ちているのかとファン心理を逆撫でされた気分になります。「avenir」というタイトルも過去同名の作品が深田恭子や吉野紗香にありますから、オリジナリティに欠け、久々の写真集発売にしては意気込みが今一つ伝わってこない感じがします。
　ファン層の新規開拓は不可欠にせよ、以前からのファンも多くいるはずで、これほど時勢におもねる必要はなかったのではないでしょうか。水着メインの写真集など腐るほど巷にあふれています。右に倣えで没個性なものを作るより、未来ちゃんにしか表現できないものがあるはずです。現に実力はとっくに折り紙付きなのですから、「水着にさえしておけば一定の顧客は付く」というような安易な発想ではなく、もう少し何とかならなかったのかというのが、デビュー当初から彼女を見続けてきた者としての率直な感想です。
　ともあれ、見る価値は絶対にあります。彼女の最大の魅力は、郷里・熊本の土地が育んだ瑞々しい存在感にあります。何より幸いなのは、その雰囲気は当時のままくすんでいなかったことです。
　彼女も東京に出てきてから1年が経ちますが、歳を重ね、都会の暮らしに順応するうちにその魅力がかすんでしまっているのではないかと、特にこの写真集の方向性からして私自身一抹の不安を覚えていました。
　しかし、それはまったくの杞憂でした。拝見してまず安堵感を得たのち、やがてすがすがしい幸福感が私の体を包みました。
　未来ちゃんの力に救われたというところでしょうか。これだけで星5つの評価とさせてもらいました。
　映画「大阪プロレス飯店」が公開となり、DVD・ビデオのリリースも間近に迫るなど、再び彼女に風が吹いてきたようです。所属事務所の移籍などもあってこのところややおとなしめの展開でしたが、この写真集をさらなる飛躍の一助にしてほしいものです。