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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2004.8
- 出版社: メディアファクトリー
- サイズ:19cm/368p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8401-1130-8
紙の本
絶望 断念 福音 映画 「社会」から「世界」への架け橋 (ダ・ヴィンチブックス)
著者 宮台 真司 (著)
絶望し、断念し、それでも僕たちは福音を待つ。社会から世界へ架かった橋の上で…。気鋭の社会学者が、映画を切り口に、現代社会の構造を解き明かす! 開かれた世界へのパスポート。...
絶望 断念 福音 映画 「社会」から「世界」への架け橋 (ダ・ヴィンチブックス)
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商品説明
絶望し、断念し、それでも僕たちは福音を待つ。社会から世界へ架かった橋の上で…。気鋭の社会学者が、映画を切り口に、現代社会の構造を解き明かす! 開かれた世界へのパスポート。『ダ・ヴィンチ』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮台 真司
- 略歴
- 〈宮台真司〉1959年仙台生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学人文学部助教授。著書に「世紀末の作法」「終わりなき日常を生きろ」など。
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紙の本
若松孝二「ゆけゆけ二度目の処女」と「理由なき暴行」によって自殺から救われたという繊細で偏執的宮台の面目躍如のラインナップ。巻末に映画タイトル索引がついているのもよい
2004/10/13 23:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のもととなった雑誌連載のテーマは、社会と世界の違いとその関わりを描くことである。
「<社会>とはコミュニケーション可能なものの全体、<世界>とはあらゆるものの全体だ。古い社会では<社会>と<世界>は重なり、あらゆるものがコミュニケーション可能だとされる。アニミズムやトーテミズムの原初的社会がそれに当たる。」(p354)
そして現代では、社会と折り合いの悪い人間が増えていて(宮台自身がその一人)、彼らは「世界の調べを聞くこと」によってかろうじて社会のもとにとどまれるのだという。だから、著者にとって優れた映画とは、社会の中で深い絶望を刻印された人々が世界の調べに耳を傾けるようなもの、ということになる。そんな著者が傑作として評価するのが「ユリイカ」や「マブイの旅」、「チョコレート」「六月の蛇」「アカルイミライ」といった作品だ。
どれもこれも一癖も二癖もある映画だが、いずれも社会からはみ出し、コミュニケーション不全に陥った者達の絶望と希望を描いている点では共通している。
また、宮台は「表現」(イデオロギー)よりも「表出」(情念)を評価する。
【「表出」cathexisは、表出主体の catharsis(感情浄化)を引き起こしたかどうかで、成功したかどうかが判断される。他方、「表現」は、受け手が存在して、受け手が理解したかどうか、理解によって動機づけられたかどうかで、成功したかどうかが判断される。】(31p)
だから彼は、「表現」としてはあまりにも稚拙であるにもかかわらず「表出」を描くことに成功した「クジラ島の少女」というニュージーランド映画を、「今日あり得ない神話的な構成に感動させられる」と絶賛する。
映画批評を超えて社会システム論や政治問題への言及が飛び交う本書はまた、宮台真司という個性が自己主張する場でもある。露悪的とまでいえる自己言及には腰の引ける読者もいそうだ。さらに、「この映画の解釈はそうではない」と他の映画評を言下に否定する独断的物言いも反発を買うかもしれない。わたしは本書を読みながら違和感を抱きつつも、結局最後は著者の個性に引き込まれていった。
本書の大きな魅力は、目から鱗が落ちる納得批評がいくつもあったことだ。例えば、「マイノリティ・リポート」はなかなかよくできた娯楽作だったのだが、舞台が近未来にもかかわらず作品のテイストがどこか古臭さを感じさせた。それに結論がいかにもスピルバーグ的な甘さと妥協に満ちているのが不満だったが、それが何に起因するのか、作品全体の骨格のどこが問題なのか、わたしには言語化できなかった。
それを、宮台は「「未来社会のシステム>>主体」(システムが人間に優越する)の恐怖を描くと見えて、「主体>>システム」が不釣り合いに強調される。…「疎外論」時代の映画の意味論と、「物象化論」時代のそれとの違いに対する無知」だと一言で言い当てた。
もう一つ、「マトリックス リローデッド」を使ってネオコンの解説をするあたりもなかなかわかりやすくてよい。この映画の解説じたいはわたしも感じていたことと同じ内容だったので特に教えられることはなかったが、同じことを言うにしても著者の論は整理されていて概念化と抽象化の度合いが高いため、やはり読者を惹きつける。
宮台真司にせよ斎藤環『フレーム憑き』にせよ、とどのつまりは映画にリアリティを求めているという点では一致しており、リアリティのある映画こそが素晴らしいと評価する。それは「リアリズムに徹した本物らしい映画」という意味ではなく、どんなに荒唐無稽な物語でも、その中に「確かに世界はそうなっている」という感覚が満ちている、という意味だ。
それはおそらく同時代のわたしたちの多くが映画に求めるものと一致するだろう。だから、今日もわたしは彼らが薦める映画をせっせとチェックするのに余念がない。
紙の本
内容紹介
2004/07/21 16:51
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投稿者:メディアファクトリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
気鋭の社会学者・宮台真司が、サブカルチャーを通して社会と世界の関係を解析。
旧世紀から新世紀への橋を渡ってきた私たちが、新たに、社会から世界へ架かった橋を渡るためのパスポートともいえる一冊です。
サブカルチャー(主に映画)を切り口に、現代社会の構造を解き明かす。誰もが知っているあの映画、マイナーだけど優れている単館系映画などを紹介しつつ、その中で描かれたもののコンテクストを解説する。そこから、私たちが立たされている社会と、その外側に広がる世界との関係が見えてくる!