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紙の本
ヨーロッパの現代伝説悪魔のほくろ (白水Uブックス)
著者 ロルフ・W.ブレードニヒ (編),池田 香代子 (訳),真田 健司 (訳)
トラックドライバーの復讐、モロッコで誘拐された少女…。ヨーロッパ社会の語りのネットワークに流布する怖いうわさ、不思議な話、信じられない出来事を採録・解説。現代伝説アンソロ...
ヨーロッパの現代伝説悪魔のほくろ (白水Uブックス)
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商品説明
トラックドライバーの復讐、モロッコで誘拐された少女…。ヨーロッパ社会の語りのネットワークに流布する怖いうわさ、不思議な話、信じられない出来事を採録・解説。現代伝説アンソロジー。92年刊「悪魔のほくろ」の改題。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ロルフ・W.ブレードニヒ
- 略歴
- 〈ブレードニヒ〉1935年生まれ。ドイツ、ゲッティンゲン大学民俗学教室の主任教授を務め、口承文芸研究の第一人者として活躍。編著に「運命の女神」「ジャンボジェットのネズミ」など。
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深くて暗いドイツの現代伝説
2004/04/08 09:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ガブリ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツの都市伝説は日本それとはかなり趣きが違う。
たとえば、キイチゴムシ。
「どんどん痩せてっちゃって原因がわからずに何ヶ月もたった頃、胃を開けてみたらキイチゴムシがみつかったの。甲虫が卵を産み付けたキイチゴをたべちゃったのよ!」
これって海辺で転んで怪我をしたらヒザの甲羅の裏にフジツボが…がという話に似てるけど、キイチゴっていうところがさすがに森の国。
救援小包に入ったおばあさん
「戦争のあと、アメリカの親戚から届いた小包のなかに粉ミルクやコーヒーと一緒に立派な缶に入った粉があったの。最新の食品添加物だと思って料理に使ってたら、手紙が届いて祖母の遺灰を送りましたので故郷に葬って下さいだって!」
移民の多いヨーロッパでは故国に埋葬という話が多いようで類似の話が広域にわたってあるらしい。最近では旅行中に亡くなって…というバージョンになっているそうだ。
アンティーク泥棒に関する話はいかにもヨーロッパ的なモチーフだし、国境をまたいでいる話が多いのも陸続きの欧州を感じる。
定番の電子レンジの猫(犬)もあるが、よりグロテスクを感じたのは麻薬をやってハイになったベビーシッターが赤ちゃんをレンジで料理してしまったという展開。乾かすよりも…
この本の話はドイツのゲッティンゲン大学のゼミで学生によって採取されたもので、デマや誹謗中傷、エスニック差別に関するものは抜かれているので少々おとなしめの印象を受ける。しかし、それが却って都市伝説と昔話の関連性を明確にしているようだ。現代的な小物を除けばグリム童話とよく似ている。
ゼミを指導したブレードニヒ教授は現代伝説と昔話の類似を強く意識しているらしく、この本も研究書のようではなく民話採録のような雰囲気に仕立てられている。
教授による巻末の解説ではアメリカの民俗学者ブルンヴァンによる都市伝説(アーヴァン・レジェント)という命名では広範囲に広がる現代民話の特徴は捉えきれないとされている。
都市伝説にもそれぞれのお国柄が出るようで、ドイツのものは中世的な雰囲気を感じさせるものが多い。日本のものは怪談に近づくような気がするし、アメリカのものはテンポがよくポップなものが多い気がする。
一読者としては、いろいろと小難しいことを考えずに現代版グリム童話として楽しみたい。