「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
タック、タカチ、ボアン先輩、ウサコの4人が、行きつけの飲み屋でいつも姿を見かける「白の貴婦人」と絶品の限定料理・鯖寿司との不思議な関係とは…? おなじみの4人組が大活躍の本格ミステリ短編集。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西沢 保彦
- 略歴
- 〈西沢保彦〉1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒。高知大学助手などを経て、執筆活動に入る。95年「解体諸因」でデビュー。著書に「七回死んだ男」「幻惑密室」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
山中の別荘で突如水着姿を披露し、「肉、肉、肉」と騒ぐ美嘉が好きだなあ。森博嗣の小鳥遊練無みたいで、うーんやっぱり西澤保彦はレズがお好き?
2004/02/15 22:27
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
装丁は鈴木成一デザイン室、装画は久保田眞由美。さすがの鈴木成一デザイン室でも、当たり外れはあるのだろう。今回のブックデザインに関しては今ひとつ。久保田眞由美のカバー画も含めて、ごく当たり前の出来で、小説の中味がいいだけにもったいないなあと思ってしまう。
で、この話は西澤お得意のというか、ウチの亭主にとっては「タカチ・シリーズ」であり、私にとっては「タック・シリーズ」であり、中三長女にとっては「ウサコ・シリーズ」である。ま、この本を読んだ娘は「森博嗣のロリコン趣味と、西澤保彦のレズ好みには呆れるよね」といって、私に「オマエは何歳じゃい!」と嘆かせることにはなるのだが。
お金がある、それだけで人を自由に出来ると思っている能天気な御曹司が、突然開いたパーティ。駆り集められたのは、安槻大学評判の美女ばかり。なぜだか会場の部屋には1階下から非常階段で来させられて「招かれざる死者」。ポアン先輩が気にするのは、このところ彼が行くたびに決まって現れる白い服を来た貴婦人。彼女は何故か鯖寿司を注文して、それを食べては消えていくだけなのだが「黒の貴婦人」。
野呂ゆかり、国立安槻大学の女子大生4人とタック、伊井谷秀子が祖父から送られた別荘〈プチパケ〉、10日間の宿泊、鯨伏美嘉、鳩里観月、蓮実ケイ「スプリット・イメージ または避暑地の出来心」。笠原さんの愛人役を引き受けていた私に遺されたものは、彼が愛した品々と一枚のジャケット「ジャケットの地図」。タカチとタックが東京に行ってしまった。二人の気持ちを由紀子と祐輔が思いながら、ポアンが勤め始めた女子校での不思議を解く「夜空の向こう側」。
相変わらず、読みにくい登場人物たちの名前には閉口するけれど、野崎六助『アノニマス』を読んだ後では、なーんだ西澤さんの作品って、普通よりちょっとだけ読みにくいだけじゃん、と思ってしまう。しかも、今回は、長年読んでは混乱していた御馴染みの登場人物たちのあだ名と本名がすっきり腑に落ちてしまったのである。
勿論、今回の作品の中心にいるのは、タカチこと高瀬千穂とタックこと匠千暁、そして語り手であるあたしウサコこと羽迫由紀子である。幸いに、大嫌いなポアンこと辺見祐輔が殆ど出てこないのは、私の心の平安には大変あり難かった。それに、あらたにケーコたんこと長谷川渓湖や、ルルちゃんこと木下瑠留などが出てくるのも嬉しい。
でも、ナントいっても圧巻なのは、本のタイトルにも拘わらず、やはり頁数も大きい「スプリット・イメージ または避暑地の出来心」だろう。ここでは、突如水着姿を披露し始め、食事といえば「肉、肉、肉」と騒ぐ美嘉と、高校生の時に見たタカチに憧れ、男言葉を駆使する観月の二人がいい。特に美嘉の楽しさは、森博嗣の小鳥遊練無を彷彿とさせ、タカチの剃刀のような怜悧な美しさを和らげる働きがある。
それにしても、中三長女に「レズ好き」と言わしめた西澤だが、タカチをネタに「でも、タカチって良い女だよな、現代日本の推理小説史上最高の美女だぞ、レズ、おまえ嫌いなの? 俺は好きだよ」などと父娘が語らう我が家の不謹慎な姿を想像できるだろうか。クォノー、とばかり私の足が夫のお尻に向かっていくのを。