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未明の悪夢 (光文社文庫)
未明の悪夢
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電子書籍
忘れてはならない事をエンターテインメントで
2021/12/31 12:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪神淡路大震災の被災者でもあった著者が、震災当日の神戸を舞台に描く本格ミステリです。
大勢の被災者がいる災害をエンタメの題材とすることには賛否があるかもしれませんが、本作は面白半分で震災を取り上げたものではありません。当時の状況が具体的に記録され、改善すべきことなどを示唆してくれる、社会的な意義もある読み物になっています。そのうえで、ミステリとしても十分に人を引き付ける面白さがある。
選考委員(本作は第8回鮎川哲也賞受賞作)の綾辻行人が、ミステリの想像力が震災の現実に打ち勝ったと評しましたが、全くその通りだと思います。
著者はこの後、同じ主人公で仮設住宅での暮らしを題材にした『恋霊館事件』、神戸の小学生連続殺害事件(酒鬼薔薇聖斗事件)を題材にした『赫い月照』とシリーズを続けています。
電子書籍
震災小説としても出来の良い作品
2019/05/04 17:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
神戸出身の谺氏が阪神淡路大震災に連続殺人事件を絡ませた凝った作りの本格推理小説です。
正直推理小説の部分よりも震災の描写が非常に細やかでかつ迫真的であの時の記憶を呼び起こすだけの力があるものでした。
その意味では震災小説としてもフィクションではありますが内容のある作品だと思います。
ミステリーの部分は震災の部分と交互に描かれているせいか、
多少散漫な印象が強くなってしまい損をしているような気がしました。
震災を推理小説のネタにすることに反感を覚える方もいるかもしれませんが、
本作品では十分に被災された方々に対する作家の思いも反映されたおり、
エンターテイメントではありますが読む値打ちのある作品だったと思います。