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武士の家計簿  新潮新書
「加賀藩御算用者」の幕末維新

武士の家計簿(新潮社) 磯田 道史著
税込価格: ¥714 (本体 : ¥680)
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出版 : 新潮社
サイズ : 18cm / 222p
ISBN : 4-10-610005-3
発行年月 : 2003.4
利用対象 : 一般

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コメント・書評

ある武士の家族の「生きざま」を現代に再現する。
拾得
2011/06/07 23:33:56
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★★★★★

 昨年2010年の日本映画界は、「時代劇映画」豊作の年だったという。その中でも本書の映画化は異彩を放っていた。「家計簿の本が、どうやったら映画になるのか」という声もあったものの、ある家族のドキュメンタリーを見るようで興味深かった。本書は、サブタイトルにあるように「加賀藩御算用者」である猪山家三代の家族史を、その家計簿=入り払い帳をもとに再現している。家計簿だけに、文字通り「身辺」の再現になっているのである。 時代劇映画とはほぼサムライ映画のことであり、その基本はチャンバラとなる。ところが、本書の主人公である侍は刀を抜かない。御算用者=経理みたいなものだから、当然ではある。実は「最後の忠臣蔵」も…  全文読む 評価する

人生を振り返るツールとしての家計簿
部屋住冷飯郎
2008/04/02 00:08:32
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★★★★★

家計簿を丹念に調査して、そこからある武士一家の生活を読み解いていく・・・。簡単に言えばそういう内容だ。武士は食わねど高楊枝という言葉もあるし、算盤侍といえば蔑称だった江戸時代、役職柄数字に通じていた一族がいかに激動の時代をきりぬけたか。歴史に関する本(小説のぞく)を読んでこれほど感動したことは、私はなかったと断言できる。家計簿からこれほどの人生が読み解けるのだ、と。きわめてプライベートなツールであるはずの家計簿が、実は歴史を雄弁に物語るものなのだ、と。私は家計簿をつけるようになった。今のところ、見るのは私だけだ。日々の生活の振り返りに活用している。しかし、何十年後か―――私に家族ができて、子孫…  全文読む 評価する

意外に深い
くまくま
2006/11/09 22:31:57
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★★★★

 意味不明な数式の羅列から宇宙の始まりを熱く語る人もいれば、家計簿から当時に生きる人々の生活をありありと描き出す人もいる。やはりプロはすごいというのが感想。同時に自分の家計簿が流出したらどうなるのかと、空恐ろしくもなるが… 物語は、ある一組の家計簿が古書店の目録に載ったことからはじまる。時は幕末、加賀前田家に仕えた御用算者猪山直之が残した詳細な家計簿。日々の収入支出の記録は、当時の武士の生活を浮き彫りにするだけでなく、激動の明治維新の姿もありありと描き出してくれる。 正直なところ読み始めは歴史小説の時代考証で語られているような内容に過ぎないのでは、と侮っていたが、それは誤った認識だった。研究者…  全文読む 評価する

江戸幻想
ゴンス
2005/03/27 21:09:00
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★★★★

 江戸時代にはなぜ革命が起きなかったのか。年貢の減免を要求する農民一揆は度々起きていたが、もっと根本的な革命、すなわち「士農工商」に対する下剋上はなぜ起きなかったのか……。 磯田道史の『武士の家計簿「加賀藩御算用者」幕末維新』は数多ある江戸時代研究所の中でも出色である。見てはならない物を木陰からそっと眺めているような感覚すら味合う。なぜなら本書は、我々が江戸時代に対して抱くイメージを根底から覆しているからだ。 『江時代は『圧倒的な勝ち組』をつくらないような社会であった。武士は威張っているけれど、しばしば自分の召使いよりも金を持っていない。武士は、身分のために支払う代償(身分費用)が大きく、江戸…  全文読む 評価する

まっとうに生きた猪山家の人々、ドキュメントの傑作
北祭
2003/11/14 01:45:00
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★★★★★

 神田神保町の古書店秦川(しんせん)堂に、著者は現金をポケットにねじ込み駆けつけた。<見るからに慌てている私とは逆に、古書店の主人は落ち着いたものである。「それです」。ゆっくり、ゆびさした。そこにはふるい和紙を詰め込んだ段ボールが一つおかれていた。p.5> その段ボールのなかには著者が十年来捜し求めていた“武士の家計簿”が入っていた。金沢藩士猪山家による天保十三年から明治十二年の約三十七年間にわたる完璧な記録…。 この著者の“猪山家の家計簿”との出会いの場面から本書は幕を開ける。著者の純な驚きと嬉しさとが伝わる。これから始まる“武士の生活”の全容解明に否応もなく期待が高まる仕掛けである。 発見…  全文読む 評価する

瑣末が情報の宝庫であり得る。日々、オンライン日記をアップしている人に読んで貰いたい。
栗山光司
2003/09/16 15:33:00
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★★★★★

 算術音痴の僕は家計簿であっても、引いてしまうのに面白評判に抗し切れず手に取ってしまった。近世武士と合理性は相反する気がするが、家計簿という生々しい日常の場にあっては当然ながら、江戸封建制の意外なセキュリティ度の高さ平等性に驚かされる。 建前として、自由、平等を標榜しながら、実態は排他主義で構築された本音が見え隠れする社会と違って、封建身分社会と蔑視されながら、パイの分配がほどよく廻り、相互扶助も稼働して、現在の日米欧のシステムと比べても、限りある資源という視点から見れば、遜色ないのではないか、そんなことを思った。 <考えてみれば、江戸時代は「圧倒的な勝ち組」を作らないような社会であった。武士…  全文読む 評価する

過去と現在のキャチボールで見えてくる物は…
オオトリさま
2003/08/11 11:14:00
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★★★★★

題名と著者の経歴を見ると、「歴史学者が書いた難しい本」のイメージがあったが、読んでみたら大変読みやすく一気に読んでしまった。「加賀藩御算用者」とは加賀百万石のそろばん係の事。経理のプロである。代々「御算用者」の家だった猪山家の第6代(1842)から第9代(1879)までの37年間にも及ぶ詳細な武士の家計簿を分析し、専門外の人にも読みやすく書かれてある。詳細な家計簿から見えてくるのは、「金融破綻」「財政再建」「教育問題」「年収格差の拡大」など現代の問題と重なる部分が多くある。猪山家がなぜこれ程詳細な家計簿を残す事になったのかも興味深い。猪山家は借金が膨らみ家計がパンク寸前。不退転の決意をして売れ…  全文読む 評価する

たそがれ清兵衛は貧しかった
夏の雨
2003/05/04 21:47:00
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★★★★★

 昨年の映画賞を総なめにした、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」をビデオで観た。期待以上の作品であった。清兵衛役の真田広之も彼の幼馴染役の宮沢りえもいい演技だった。藤沢周平の原作の魅力もあるだろうが、山田洋次監督の丁寧な演出がやはり光っていた、一級の作品だろう。 時は幕末。主人公の井口清兵衛は庄内海坂藩の、御蔵役五十石の平侍である。妻を労咳で亡くしたばかりだ。その葬式の費用は親戚や知人から借金して賄った。しかも、家には呆け始めた老婆と二人の幼い娘が残された。そのため、彼は仕事が終わっても同僚と付き合うこともできず、夕方には家路につかざるをえない。そのため、人は彼のことを「たそがれ清兵衛」と呼んだ…  全文読む 評価する

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