第十一巻第四話『その日の三冬』。そもそも、これをテレビドラマで見たので、私は、『剣客商売』を読んでみようと思ったのだった。もっとも、実際に読んだのは、それから何年もたってからだけど。テレビでは、寺島しのぶの演じる三冬がすばらしかった。ラストで、彼女が涙を湛えて、二、三歩、前に進んでくる。彼女の顔が大写しになる。あの表情。テレビの時代劇としての『剣客商売』は、まず、私の母が気に入り、それを後から、私も見るようになったのだった。母が見ていた頃は、渡辺篤郎が大治郎を演じていた。その後、昔の作品の再放送で、中村又五郎の小兵衛と加藤剛の大治郎を見て、まさに、小兵衛の小兵衛!と思ったものだった。そして、か…
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