この第九巻第一話『待ち伏せ』で、大治郎は、人違いで殺されかける。前に、第六巻第四話『新妻』でも、人違いで殺されかけた。『新妻』で間違われた相手に潔い妻がいたように、『待ち伏せ』で間違われた相手にも潔い妻がいる。大治郎が、「いま、この期(とき)に」これだけの配慮ができるとは、と感心し、のちのち、「あれほどの女(ひと)を、見たことはない」と、述懐したほどに、夫婦とも、日頃から覚悟を決めていたのだ。この話は、私は、テレビでも見た。潔い妻おりくを、小説のイメージどおりの女優が演じていた。私はこのおりくさんが好きになり、彼女の夫に災難を押しつけた殿様に腹が立った。それにしても、いくら、恩義もあり、好感を…
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