紙の本
控えの宇宙飛行士
2019/11/21 19:52
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
控えの宇宙飛行士についてなど、初めて知る興味深い話しの数々。頭が良い人は、本を書いても面白いんですね。
紙の本
書き手としてのライトスタッフ(正しい資質)
2010/09/01 14:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青木レフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の妻、向井千秋のスペースシャトルフライトを巡る実録。宇宙ものとして、かなりの名著ではないだろうか。
医者で宇宙オタク、おまけに文が立って固苦しい立場も背負ってないという彼の資質は宇宙本の書き手として、これ以上の逸材は現れない気さえする。スペースシャトル当時の話なので少し古いかもしれないが、基本として読んでおいて損は無いだろう。
小説のように描かれた聞き書きの向井千秋パート、そして頁の大部分を占めている向井万起男パートで構成されている。ただ帰りを待つ日々なのだが、細々とした事が面白い。NASAって、宇宙飛行士ってこういうものかという日常感覚的実像を掴むことができる。
・無重力は全身の血液を上半身に多く流させる。血圧を感知する部位は首のあたりにあり、無重力では「血圧が常より高い→血圧を下げねば」と血液の量が減って寒気を感じるようになる。
・TEMPUS(電磁浮遊無容器処理装置)。無重力で金属球を浮かせる箱。浮いたままにする為に電磁波で固定する。融解したり結晶化する場合、地上では容器と金属の接触面から変化が起こり、その金属本来の性質を観察するのが難しいが、無重力下ではTEMPUSを使って様々な実験が可能。温度を上げて液体にして、下げて再び固体にさせる実験をTEMPUSですると、地球上では固体になる温度でもまだ液体の状態を保つという過冷却現象が起こる。
・NIZEMI(重力可変式生物実験装置)。箱の中で重力を調節できる。OG下で遠心力を利用。
0Gでは植物の根の発育方向が定まらなくなる。一体何Gなら根がきちんと伸びてくれるのか、地上と同じ1Gが必要なのか、その中間で良いのかを実験できる。
・宇宙から地球に帰ると起立性低血圧になりやすい。宇宙にいる間は ただでさえ血液が少なくなっている上に、地上に戻って下半身に血液が集中し、上半身が一気に血液不足となるからである。対策として、宇宙飛行士は帰還直前に塩水を1リットル飲んでいる。
・天井の上に立っても最初の違和感を過ぎれば床の上に立つのと同じ感覚になるが、壁の上に立つと「壁を床」と認識できずに「自分が壁から突き出ている」という感覚が抜けないとのこと。
・向井千秋がこの本でのフライトを終えると女性宇宙飛行士の宇宙滞在最長記録の保持者となった。若田光一宇宙飛行士がISSに滞在するまでは向井千秋が日本での最長滞在記録を持っていたのは知っていたけど、女性全体のレコードも得ていたのか。ミールには女性乗らなかったんだな。
・昔のアメリカは随分騒がれたらしいけど今は全然だ、と向井千秋を羨ましがる米の宇宙飛行士。
・向井千秋は帰還後、地球の重力が面白くて仕方なく、手を放しては落ちる様を何度も繰り返し見ていた。スーパーで何度もハンドバッグを床に落として周囲から奇異に見られる。帰還4日後に感覚が消え「私の体は、もう、重力を全く感じなくなってしまった」と喪失を悲しんだ。
これが宇宙か。
(投射by 懐柔する怪獣)
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宇宙飛行士・向井千秋さんのご主人が書かれた奥様がスペースシャトルに乗った後の回想録? 宇宙飛行を終えて帰国された後、人生観が変わったかという問いに、奥様が複雑な思いを抱いていたというエピソードで、立派な仕事をしていても、たいしたことがない人生観しか持っていない人もいる、といったことを書かれていたのが印象的でした。
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向井千秋さんの旦那様が語る、向井千秋さんの宇宙体験談です。前作に続いてこちらも私の宝物。まるで自分が宇宙飛行士になったかのごとく感じることのできる一冊です。目を閉じれば私はいつでも宇宙飛行士になれます(笑)スペースシャトル内での生活、地球上での生活、その違いを想像できますか?トイレってどうなってるのかな?ハミガキは?宇宙で面白い遊びは?少しでも気になったら読んで見てください。きっと夢中になると思いますよ^^
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だいぶ前に友人から薦められてた本の続編。あの時とは状況もだいぶ変わってしまったけど、今また読むことができてよかったと思う。前作をもう一回読みたくなりました。売るんじゃなかったなぁ、また買うかぁ
離れていてもちゃんと夫婦やってるなぁ、と思いました。NASAセレクトにかじりつきながら女房のわずかな兆候でも見逃さないように見るマキオさん。自分の女房が劣っている=behind だなんて、そんなバカな!
「宇宙へ行って人生観が変わりましたか」って質問する人へ。俺の女房をバカにすんじゃねぇ、俺の女房は宇宙へ行く前から人を分け隔てなく見るヤツだったんだ、自分の人生を精一杯生きようとするヤツだったんだ
ストレッチャーに乗せられて再会を果たした二人。だだだって分娩をイメージしちゃったんだもん、しょーがねーじゃねーか…。きっと子供を持つことだって考えたと思うんだ、いくら離れて暮らしていてもね
重力を感じることができなくなってさみしい…想像するに、我々が重力を一番感じるときっていうのは居眠りしてて頭ががくっとなるときだと思いますね、尋常じゃないGがかかってる気がする
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「 控えの宇宙飛行士というのは,つらい立場だ。正式な乗組員たちは溌剌と訓練を続けることができる。訓練の先に宇宙飛行が確実に待っているからだ。しかし,控えの宇宙飛行士は,そうはいかない。いっしょに訓練を続けていても,宇宙飛行が確実に待っているわけでもないのだし。そんな立場で気持ちの張りを維持するのは難しい。でも,控えの宇宙飛行士に選ばれた以上,訓練を続けていくしかない。万が一に備えて訓練をしておくことが勤めだからだ。そして,自分が宇宙に行くかも知れない可能性がゼロではない以上,いいかげんな気持ちで訓練を続けるわけにも行かない。可能性がゼロになるまで,気持ちの張りを失わないように努力しなければいけないのだ。」
「突然,画面が変わって実験室にいる女房が映った。あっ!私は胸がキュンと締め付けられる思いだった。女房は無重力を利用して実験台の前をスーッと移動していく!足は床についていない!」
「どんな分野でも,本物の一流の人というのは,一流でない人をばかになんかしないという心の余裕を持っている。そして,一所懸命に一流に近づこうとしている人を温かく見守るという姿勢をもっている。人をばかにしたりするのは,一流半か二流の輩だ。」
「 そして,今度こそ本当に,東京の光が見えてきた。大阪や神戸の比ではなかった。すざまじいまでの光の量だ。
都市だけではなく日本の地形全体が次第に金色に明るく輝き始めてきたのがわかる。日本がどんどん明るくなってくる。日本は今,まさに日出づる国だった。そして,東北地方の向うから,金色に輝く太陽がゆっくりと見えてきた。」
「千秋ちゃん,それでも,オレはどうしても言いたいんだ,ケネディ宇宙センターに絶対戻ってこいよって。だって,このオレはケネディ宇宙センターで待ってるんだぜ。いいかい,チアキちゃん,オレが待っているケネディ宇宙センターに絶対戻ってくるんだ!オレのいないところに戻ってどうするんだ!」
『ねぇマキオちゃん,私,とっても寂しいんだ・・・』『私の体は次第に次第に地球の重力を感じなくなってきてるのよ。宇宙飛行をしたおかげで地球の重力を体で実感できるようになって,とってもおもしろかったのになぁ。せっかく地球には重力があるっていうことのおもしろさが初めてわかってうれしかったのに,地球に戻って三日経ったら,もう,地球の重力をそれほど感じなくなってしまってるの。・・・もうすぐ,宇宙旅行をする前と同じ状態に戻るなんて,私,とっても寂しいんだ。』
「人生観は,その人が日々をどういう姿勢で送っているかによって決まる。その日々の積み重ねできまる。ところが,こういうことを言う人もいる。”あるときあることをきっかけにして突然私の人生観が大きく変わった”と。しかし,それだって,それまでの日々をどういう姿勢で積み重ねてきたかで代わり方が違っているのだ。決して,その出来ことだけで人生観が決まるわけではない。」
『私は宇宙に行くまでの九年間でいろいろなことを経験したから,ひょっとしたら,その間に変わったかもしれない。でも,換わったとしても,固体燃料ロケットブースター点火までに,すべて変��っていたのよ,私は。私の人生観を決めたのは,固体燃料ロケット・ブースター点火の前までで,その後の十五日間はオマケね。』
『地球に帰ってきて,地球の重力と再遭遇したときよ。地球には重力があるんだって体でしったこと。これに比べたら,宇宙から地球を見た感動なんて小さいわね。なんたって,地球の重力。マキオちゃんね,正直言うと,私,宇宙から見る地球は美しいということは宇宙に行く前から想像ついてたのよ。だって,宇宙飛行をした宇宙飛行士はみんな,そう言っていたから。それに,宇宙から撮影した地球の映像なんてたくさんあるでしょ,だから,あぁ,やっぱり美しいという感動はあったけど,意外な感じはしなかったんだ。でも,地球に帰ってきてから体が感じた重力は予想もしていなかったことなのよ。この地球の重力は自分の体で感じて初めて分かるものなの。私は地球に帰ってきて,予想もしていなかった地球の重力を体で感じて驚き,感動したの。これが私の宇宙飛行でいちばん感動したこと。』
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「30年以上にわたって一介の宇宙飛行士,宇宙飛行士であり続けることに生涯を賭けた男はジョン・ヤングだけだ。…ジョンヤングだけが,宇宙飛行士という物が立派な職業であると身をもって証明してくれている。他の無数の職業と同じように,一人の人間が生涯を賭けてもいいという立派な職業であることを証明してくれている」
「普通の職業についている人がプロ野球選手と同じような人生観に到達することだってあるはずだ。どんな職業に就いている人の人生にだって修羅場というものは必ずあるから。その修羅場にどう立ち向かったかで人生観は決まるのだ。…だから,宇宙飛行を経験した宇宙飛行士は必ず人生観が大きく変わるなんて期待をするのは間違っている,と私は思う」
「宇宙飛行で私がいちばん影響を受けたのは,宇宙から見た地球でもない,無重力の経験でもない,地球に帰ってきてからの重力との再遭遇なのよ。地球には重力がこんなにあったんだって初めて体で知ったこと。」
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「続」は向井千秋さんが宇宙を飛んで帰ってくるまでの期間が描かれている。
マキオちゃんの心配をよそに、着実に任務をこなして宇宙を楽しんたチアキちゃん。
それより地球に帰ってきてからのほうが楽しかったというチアキちゃんはやっぱり変な人で、宇宙に行くべくして行った人なんだなあ。
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ヤバイぐらい面白い。
宇宙の面白さにハマってしまった(笑)
宇宙飛行士、向井千秋さんの夫であるマキオさんが
千秋さんの宇宙飛行の様子+
宇宙or宇宙飛行士の雑学アレコレについて綴った本。
マキオさんの雑学のマニアックさに驚かされる。
例えば、
・スペースシャトルは地球に向かって落ち続けてる!?
・宇宙って無重力空間じゃなかったの!?
のような少し物理チックなことから、
・宇宙飛行士の食事は?トイレは?
・向井さんが帰還後、地球の美しさよりも感動したことって?
…ナドナド、魅力あるコンテンツ満載です。
とは言え、素人の僕でもすんなり理解できる内容。
何か宇宙についてちょっと詳しくなって、
知的になった気がしてきます。。。(笑)
肩肘張らない感じで書かれた文章もgood!!
マキオさんの個性的なキャラがいい感じで文章に出ていて、
浪人時代の物理のN先生を思い出してしまった(笑)
わかりにくい例えでゴメンなさい。
もちろん、褒め言葉です。
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ああ、おもしろかった!この前の、向井千秋さんが宇宙に飛び立つまで、よりこの続編のほうがおもしろかった気が。こちらはいよいよ千秋さんが宇宙に飛び立ってから具体的な宇宙飛行や宇宙での暮らしや実験の話が、まるでご本人が行ったかのような臨場感で書かれていて。説明もわかりやすくて。もちろん、宇宙飛行士の配偶者がどんなふうに宇宙飛行を見守るかもこまごまとよくわかる。千秋さんが宇宙から戻ってきて、地球の重力に驚いているところがすごくおもしろかった。そして、マキオさんがあとから、あのときもっと重力を感じさせてあげればよかった、と思うところになんだかじーんとした。
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宇宙飛行士向井千秋さんの旦那さんである向井万起夫さんのエッセー第2弾。
今回は向井千秋さんがいよいよ宇宙に飛び立ってから、帰還、一連の宇宙飛行士としての公式日程を終了するまでの1年3ヶ月の記録。
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宇宙空間でスペースシャトルは、一体どんな体制で飛んでいるんだろう?だとか。無重力になる仕組みなど分かりやすく解説
また私が一番知りたかった、宇宙に行って世界観は変わるのか?といった地球帰還後のお話まで、書かれています
向井千秋さんは、宇宙から戻ってきて一番感動したのは
なんと○○だった!という面白いお話まで
宇宙に興味のある人は読んでみると、興味深い一冊
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自分も宇宙に行った気に。
宇宙飛行を終えて自宅へ帰った夜、弱音を一切吐かないチアキちゃんがマキオちゃんにほんの少しだけ甘えるシーンが、シーズンを通して一番好きです。
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宇宙飛行士の向井千秋さんの旦那さんが書いた本。(おかっぱ頭に口ひげが印象的な方)。
ご本人は慶應病院のお医者さんで、且つものすごい宇宙飛行おたく。タイトルの「君について行こう」のとおり、奥さんの宇宙飛行を純粋に心配し、サポートするのだけれど、しっかり主張をしている感じ。ある意味只者ではない。
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向井千秋さんが宇宙に行っている間のことを、夫の向井万起男さんが綴ったエッセイ。わたしだったら、夫が細かいことにこだわりすぎだわ!とうんざりすると思うが、千秋ちゃんは大らかにハハッと笑って楽しんでいる。外見には全く気を遣わないが、千秋ちゃんは本当に魅力的。