第一話『毒婦』で、小兵衛が羽織を頭からかぶって、暴れる酔っ払いを取り鎮める。それだけならただの気の利いた爺さんだが、気を失った酔っ払いを鐘ヶ淵まで連れてきて、知らぬ顔で介抱してしゃあしゃあと親切ごかしに身の上話を聞き出すところが、さすがのいたずら小僧的狸爺いである。ところで、タイトルの毒婦とは、どんな女か。>「……あの女の、どこがよかったのかのう。何人もの男が現(うつつ)をぬかすほどの美形でもなし、陰気で無口で、酒の相手にもなるまいし、抱いて寝たところで、つまらぬような……」>「ですから、その陰気なところが、たまらねえのでございますよ、男には……」ふむふむ。いるいる。よく、後宮もの…
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