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紙の本
い、息苦しい…
2003/02/23 14:29
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある国(作中国名は出てきませんが、解説によるとナチスドイツ)の要人(これまた名前は出てこないけど、おそらくはアドルフ・ヒトラー)を狙撃しようとした「わたし」。理由は、政治的なものでもなく正義からでもない。ただ、手強い獲物をしとめたいという、スポーツマンの、ハンターの本能からだけで。しかしこの狙撃は失敗、捕まり激しい拷問をうけながらも何とか祖国のイギリスに帰り着く。が、ここも安全ではなかった。執拗な捜索の手から逃れるため、「わたし」は地位も名誉も投げ捨てて、戦うことを決意する。
追う者と追われる者の、典型的な冒険サスペンス小説です。
前半の拷問の場面や、敵の手から逃れて祖国へ向けて必死に逃げていく姿は、物語の残りの分量からみても捕まって殺されるハズはないとは思っていながらも、まさに手に汗握る、迫真の逃避行です。
後半、敵を迎え撃つために都会を離れ、山の中で、穴を掘って住処をつくり、あちこちに罠を仕掛け、といったところは(近くの町に買い物に出たりはするものの)まるで無人島でのサバイバル生活のよう、抜群におもしろい。また、後半にも追いかけっこがあり、これはこれでハラハラドキドキなのですが、それよりも、自分でつくった住処(穴蔵)の中に潜み、追跡者が遠のくまで音も立てずに静かに待っている場面は、追跡劇とは対照的にアクションやスピード感は無いものの、それがかえって緊張感を生み出し、怯えながらジッと待つことの焦燥感が痛いほどに伝わってきて、読んでいて、自分が暗く狭い穴の中に入っているような息苦しささえ感じてしまいます。
本書は、何十年ぶりに新訳で復刊されたのだそう。また、続編もあるとのことなので、ぜひこちらも翻訳出版してほしいものです。