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読割 50
紙の本
メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)
著者 井上 夢人 (著)
身の毛もよだつ!恐怖の連鎖が始まる 遺体の傍らにあったメモ〈メドゥサを見た〉とは何を意味するのか? 作家・藤井陽造は、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて...
メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)
メドゥサ、鏡をごらん
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商品説明
身の毛もよだつ!恐怖の連鎖が始まる
遺体の傍らにあったメモ〈メドゥサを見た〉とは何を意味するのか?
作家・藤井陽造は、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて絶命していた。傍らには自筆で〈メドゥサを見た〉と記したメモが遺されており、娘とその婚約者は、異様な死の謎を解くため、藤井が死ぬ直前に書いていた原稿を探し始める。だが、何かがおかしい。次第に高まる恐怖。そして連鎖する怪死!【商品解説】
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紙の本
目覚めても目覚めてもまだ悪夢の中に居るような
2004/06/09 08:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初のページを開いた時から、きっと誰でも漠然とした違和感を覚えるだろう。どこかが、何かが、フツウの本と違う。その感覚は正しい。すでにそこから、本書の仕掛けは動き始めているのである。
主人公は「私」。婚約者の父親である作家・藤井陽造が変死し、彼の残した謎の言葉「メドゥサを見た」について調べるうちに未発表の原稿の存在に行き当たる。遺品の創作ノートから石海という土地が深く関係していると知った「私」は、調査を続けるうち、次第に不可思議な出来事に巻き込まれていく…。
ストーリーについてこれ以上詳しく触れることはできない。物語そのものが、小説の作りそのものが、本書に張り巡らされた一種のトリックの鍵になっているからである。生前の藤井陽造が語った「人は平均して何人の死に関わるのか」という意味深な言葉、食い違う記憶、消えてしまった1日。眩暈に似た感覚の中で読み進め、すべての謎が解き明かされるかと固唾を呑んだ瞬間、どんでん返しのように読者は迷宮に突き落とされる。あとは夢と現の狭間をさ迷い歩くばかり。
全体の雰囲気としては、岡嶋二人名義の『クラインの壺』と通じるものがある。『クラインの壺』が好きな人なら、間違いなく本書も気に入るはずだ。本書はある意味さらにパワーアップしているので、うっかりすると乗り物酔いを起こすかもしれないが。
実はこの『メドゥサ、鏡をごらん』を読むのは今回が初めてではない。講談社刊行のノベルスで、間違いなく過去に読んだことがあるはずなのである。それがどういう訳かストーリーをさっぱり覚えていない。これほどキョーレツな物語もそうはないというのに。
何年か前ノベルスを購入して読み、大変に怖い思いを味わった。あんまり怖かったので本を手元に置いておくのが辛くなり、知人に譲り渡したのだ。その時の「怖かった」という感情だけが残り、ストーリーのディテールは記憶から消されたらしい。
そういう訳で今回再読した時は、ページをめくる端から「あ、ここは確かに読んだことがある」と追体験する奇妙な感覚と、それなのにラストがどうだったのかさっぱり覚えていない(ある朧気な予測は感じつつも)…という、実に内容に相応しい不安定な気分でいっぱいだった。うっかりナイトキャップとして読んだら、夜中に汗びっしょりで飛び起きるほど怖い夢を見た。
井上夢人氏の十八番であるところの「自分は本当に自分なのか」、「自分の体験は正真正銘の現実なのか」が無闇と効いている本書。筆者のように、自我の足元がグラついている人間にはタブーだったかもしれない。特に寝しなには。
一息入れて寝直す時、確かに記憶通りノベルスは誰かに譲ったことをどうしても確認せずには居られなくなり、つい本棚漁りをしてしまった。あげたはずのノベルスがもしも棚に収まっていたら絶叫モノだぞ、やめろ! とアタマの中でもうひとりの自分が窘めているのだが、どうにも衝動が抑えられなかった。
この件に関しての記憶は確かで、本棚の井上夢人コーナーに『メドゥサ、鏡をごらん』のノベルスはなかった。それでやっと人心地ついてベッドに戻ったのだが、到底安眠どころではない。おかげで翌日は寝不足である。
まったくもって自業自得なのだが、それにしてもこういう怖さを書かせたら井上夢人氏は天下一品である。そして死ぬほど怖い思いをしつつも、また読みたくなっちゃうのが始末に負えないのだ。足元が崩れるような感覚を味わいたかったらぜひ読むべし。ただしくれぐれもご注意を。寝る前だけは避けた方が身のためです(セツジツ)。
紙の本
もったいない作品
2017/12/16 19:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふざけたタイトルからは想像つかなかったのですかど、ホラーもの。しかもなんとも得体の知れない怖さのあるホラー。まぁホラーなので当然ですがね。途中8割過ぎまでは満点以上のでき。ハラハラドキドキした挙句、最後は、ん?これで終わり?って感じで非常に残念。主人公も読者も浮かばれませんでした。でも怖さは満点ですので、ホラー好きにはオススメです。