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商品説明
サルサなどのラテン音楽、カストロ、チェ・ゲバラの革命など様々なイメージがあるキューバだが、実は国連も折り紙をつける環境対策の超優等生だった。現地取材によるびっくりのリポート。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
吉田 太郎
- 略歴
- 〈吉田太郎〉1961年東京都生まれ。筑波大学大学院地球科学研究科中退。現在、東京都産業労働局農林水産部農業振興課勤務。日本有機農業研究会会員。共著に「21世紀のモデル・キューバの有機農業」等。
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著者/著名人のレビュー
急激に減りつつある...
ジュンク堂
急激に減りつつある日本の都市農業生産。一方、世界の大都市では「菜園都市化」が進行中だ。
1990年代に都市内食糧自給を達成してしまい、世界中から注目されているのが、キューバのハバナ市。
200万を越える人口を抱える大都市だが、1989年のソ連邦消滅と、それに連動したアメリカ合衆国による経済封鎖に伴う自国の経済崩壊に直面し、市民から餓死者を出さないために菜園都市化に真剣に取り組んだ結果だ。
「キューバしのぎの奇跡」などと冗談めかしていわれるこの菜園都市化の成功事例へは、都市化による食糧事情の悪化に苦しむ途上国はもとより、コミュニティの崩壊による都市の荒廃に悩む欧米の大都市からも、見学者が後を絶たない。
キューバブームの火付け役になった本書は、その実情を活き活きと描き出したベストセラー。
出版ダイジェスト:2004年5月
テーマ『いま『食』の現在を読む 『食育』読本セレクト16』より
紙の本
やればできる、エコロジストのユートピア
2002/11/26 16:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やまねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年は日本・キューバ友好100周年だというが、つきあいが長いわりにはその実情はあまり知られていない。
首都の真ん中で、地元でとれた新鮮な有機野菜が家庭や学校給食に供給され、オフィスの庭でも野菜をつくって昼食に。通勤通学は自転車で、遠距離の場合は自転車ごとバスに乗り込む。エネルギーはバイオマスや水力、風力、ソーラーでまかない、学校でも徹底した環境教育。医療においては薬草や鍼麻酔などの伝統技術が大活躍…。こんなエコロジストのユートピアを、本気で、国家規模で、ここ10年ばかりのあっという間にうちたててしまった国が、ほかならぬこのキューバであるという。
80年代までのキューバは日本と同じく食糧自給率わずか40%そこそこ(カロリーベース)で、エネルギーも輸入石油に依存した火力発電が主流、ソ連の援助で核開発も進められていた。それが、ソ連の崩壊とアメリカによる苛烈な経済封鎖によってキューバ経済は壊滅寸前となった。日本の不況などメじゃない、ほんものの食糧危機、エネルギー危機だ。そこからの起死回生の試みが、「環境と調和した社会への変身」だった。
輸入の食糧も石油も途絶し、国内農産物の輸送も麻痺するなかで、首都ハバナの住民は空地やゴミ捨て場を耕し、ベランダや屋上、空き缶まで使って、野菜を育てはじめた。農薬も化学肥料も手に入らないのだから、もちろん完全有機栽培である。農地や種苗・資材の提供や技術指導を国が全面的にサポートし、今や農民は大臣よりも高収入だそうだ。そうして自給への努力と公平な分配によって、壮絶な食糧難をなんと、ひとりの餓死者も出さずに乗り越えた。経済封鎖は医薬品にも及んだので、これも有機栽培のハーブで代替しているという。
無料の教育や医療などの手厚い福祉政策を死守しつつ、キューバ社会がここまで劇的な転換を遂げることができた背景には、公正な社会をめざす高邁な理想主義、さらに小国ながら人類全体に貢献しようという自負がある。そのトーンは決して悲壮なものではなく、ユーモアと陽気なサルサのリズムに彩られている。「キューバはソ連の援助を受けてそれに頼りきりでした。そういう経験をしたおかげで今がある。だからよかったと、むしろ経済危機に感謝しているくらいなんです」と言い放ち、かつてアメリカがハリケーンの被害に見舞われた折には援助を申し出たというキューバ人。Cooooooool!!