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紙の本
用意周到な企みが女性記者を狙う
2002/07/21 18:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャン・バークの「骨」はMWA最優秀長編賞受賞というふれこみの一作だ。新聞記者のアイリーン・ケリーを主人公にしたシリーズ物としては七作目ということだが、読んだのは今回が初めてである。いままでは扶桑社から何作か出版されているようだ。
被害者の遺体を発掘するために、連続殺人事件の犯人ニック・パリッシュを同行しシエラ・ネバダ山中に入った捜査隊。はたしてパリッシュの証言通りに遺体は発見される。さらに、パリッシュはほかの遺体があることをほのめかすのだが、それは巧妙に仕組まれた罠だった。捜査隊に同行した新聞記者のアイリーン・ケリーは孤立無援のなかでパリッシュの魔手から逃れ九死に一生をえる。しかし、それから半年後、行方のしれなかったパリッシュが再びアイリーンの前に姿をあらわす…。
前半はシエラ・ネバダ山中でのサバイバル・ゲームといった冒険小説の雰囲気を持っているし、後半はアイリーンをつけ狙うパリッシュとの対決を描いたサスペンス小説と、それぞれの楽しみ方ができ、一気に読ませるのはさすがMWA最優秀長編賞といって良いだろう。ただし、どちらかと言うと後半の部分が弱いように感じる。犯人パリッシュの狙いがはっきりしないこともあって、主人公との真っ向から対決といった構図になっていないのが物足りないからだろうか。
むしろ、アイリーンをはじめとしてシエラ・ネバダ山中で助かった人々が、自分が助かったことに罪悪感を持ち、トラウマとなっている点などを丹念に描いており、著者の関心のありようをうかがわせ興味深い。
なお、海外ミステリに関心のある方は、小生のホームページThe day of wine and mysteryを一度のぞいてみてください。
紙の本
緊張感がわいてこないサスペンス
2002/08/10 17:47
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2000年度MWA最優秀長編賞受賞とあり、吉野仁氏が「役者、舞台、話し運びの三拍子そろった傑作」と激賞していたものだから読む気になったのだが、どちらかといえばかなり昔の映画ヘップバーンの「暗くなるまで待って」までさかのぼって比較していいような「旧い」感覚のサスペンスであった。
「連続殺人犯とともに遺体捜索隊に同行した女性記者ケリー。そこで彼女を待っていたものは身の毛のよだつ罠! 捜査犬ピングルに助けられながら逃げ惑うケリー。だが、獲物を狙う殺人鬼の視線は彼女から離れない」と帯にあるキャッチフレーズにあらすじのすべてがある単純なお話であり、古くからあるサスペンスの定石を踏襲しただけのものです。私としてはそこで目新しい趣向があるものと期待して読むのでしたが、いっこうにそれが見えてこない。そのまま予想通りの結末を迎えてしまいますと、また評論家に騙されたとの思いだけになってしまいました。
なぜ面白くなかったと分析してみますと、
異常者対女性の対立という構図があまりにも古い。それ以上の工夫がない。「トラウマ」というテーマも単に正面から取り上げても二年前はともかくもはや新鮮さは欠けます。
最近のことだろうがこの手のお話にはスピード感、畳み込む連続の緊張シーン、強い刺激が必要不可欠の要素になってしまった。しかも下手な理屈は要らない。それがいまの流行なのですね。この作品はこんな意味でも流行おくれであります。「ボーンコレクター」の敵ではないということです。
読者は娯楽作品の場合、映画の印象と比較してしまいます。特に刺激的な要素の強いテーマであれば映像表現が進歩しているだけに映画に軍配が上がることが多くなっているような気がします。映像表現に対抗する内容が必要とされます。「プレデター」の敵ではないということです。ミステリー評論家って映画を見ないのだろうか。