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商品説明
坂口安吾の生涯にとって魂の事件と呼べるような出来事に焦点を当て、伝説の虚実を解き明かしていく初めての本格的評伝。未公開資料、新証言など、あらゆる情報を検証し、安吾のナマの心の動きを追う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
七北 数人
- 略歴
- 〈七北数人〉1961年名古屋市生まれ。大阪大学文学部卒業。出版社勤務を経て、文芸評論活動を行う。決定版「坂口安吾全集」の編集に携わる。編著書に「阿部定伝説」など。
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紙の本
こんなに面白くスリリングな評伝読んだことがない!
2002/08/22 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
七北数人の書き下ろし『評伝』、昨今珍しくスリリングな本で、体調不良も忘れ、三時間で読了した。表の腰帯に曰く、〈新しい安吾がやってきた! 膨大な未公開資料、新証言をもとに伝説化した坂口安吾の「事実」に迫る画期的評伝!〉。
帯裏には、〈坂口安吾の生涯にとって魂の事件と呼べるような出来事に焦点を当て、安吾伝説の虚実を解き明かしていく初の本格的評伝。これまでの安吾像を一新〉とある。
ぼくは、二五、六歳の頃、「坂口安吾論」にトライし、挫折したことがある。そこで、評伝とはいえ新人のこの本、相当意地の悪い読み方をしたが穴がない。それどころか「読物」的要素もたっぷり盛り込まれたその筆力には感心した。どこが斬新なのか。本書巻末にある「年譜」をめくりながら、ほんの一部だけでも書き出しておこう。
一九三〇(昭和五)年(25歳)、処女作「木枯の酒倉から」の掲載諾否が同人(『言葉』のこと)会議で決まる前後の同月一四日、好きだった異母姉ヌイが、黒色肉腫のため四二歳で死去。鎮魂の思いを込めた次作の構想を練る。葛巻義敏宛に未定稿の「愛染録」を書いて送る。年末、サティの歌曲を日本で初演した牧子宅を『言葉』の同人らと訪ね、「私はお前が欲しい」を歌ってもらう。一九三三年、中篇「浅間雪子」を『文学界』に送るが、「組み置き」になったまま、不掲載に。
一九四八年、この年から翌年にかけての時期、作品社(後に中央公論社)の八木岡英治夫妻が坂口家の一階応接間を借りて同居。
八木岡英治といえば、この九月に出る新装版『全集・日本文学の発見』(学藝書林)の企画者でもある。
知らないのはぼくだけかもしれないが、本書にはいろいろ教えられた。
七北数人は一九六三年、名古屋生まれ。ということは、ぼくが二三歳の時に生まれた子(といっても今年40歳か!)が、こうした新しい『安吾伝』を書いたのだ。安吾ファンとしてはもうそれだけで嬉しくなってしまう。
そういえば、ぼくが『早稲田公論』編集者時代の一九六五年、小特集「坂口安吾没後10年」を組んだことをいま突然思い出した。