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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.5
- 出版社: 徳間書店
- サイズ:20cm/390p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-19-861519-5
紙の本
世界を不幸にしたグローバリズムの正体
著者 ジョセフ・E.スティグリッツ (著),鈴木 主税 (訳)
WTO、IMF、世界銀行…これら国際経済機関が介入した地域に何が起こったか? 利益を得たのは誰だったのか? 2001年ノーベル賞経済学者が、大国のダブル・スタンダードに左...
世界を不幸にしたグローバリズムの正体
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商品説明
WTO、IMF、世界銀行…これら国際経済機関が介入した地域に何が起こったか? 利益を得たのは誰だったのか? 2001年ノーベル賞経済学者が、大国のダブル・スタンダードに左右されたグローバリズムの怖さを訴える。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジョセフ・E.スティグリッツ
- 略歴
- 〈スティグリッツ〉1943年生まれ。マサチューセッツ工科大学大学院から英国ケンブリッジ大学へ留学、博士号を取得。コロンビア大学教授。2001年ノーベル経済学賞受賞。
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紙の本
グローバリズムの負の側面
2013/04/14 01:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sskkさかた - この投稿者のレビュー一覧を見る
新興国に人々に対する過酷な制裁は正義があるのか疑問
紙の本
気骨ある理論家の真骨頂
2002/06/06 15:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「情報の経済学」の第一人者で、昨年のノーベル賞受賞者。文字通り世界最高レベルの経済学者といっていいジョセフ・スティグリッツは、一方で世界銀行のチーフエコノミストとして途上国や旧社会主義国の経済問題に対する積極的な提言を行ってきた。しかし彼の理念や提言は、世銀やIMFによるそれらの国々への政策的介入に必ずしも十分に生かされたとはいえなかった。この本は、いわばそのことに対する彼の理論家としての義憤から書かれたものだ。
この本では様々なトピックが扱われてるが、それらに対するスティグリッツの視点は実に一貫している。市場経済を軌道に乗せるにはそれを支える「制度」の存在が不可欠なこと、途上国や旧社会主義諸国の経済改革にはその「順序」が重要であること、そして経済効率の追求と、分配の平等化、貧困・失業問題の克服といった社会的公正の追求は不可分のものであること、それらの目標を達成するために政府が何らかの役割を果たすべきこと——本書を貫いているこれらの主張はすべて、「市場メカニズムは不完全である」という、彼が「情報の経済学」を駆使して到達した「市場経済」についての基本的な考え方から導かれたものだ(その理論的道具立ては、94年に書かれたWither Socialism? という本の中で詳しく展開されている。邦訳が望まれるところだ)。
ところがIMFが実際に途上国に対して行った政策的介入は、そういう彼の見解とことごとく対立するものだった。自由な経済主体が、私的所有権に基づき価格メカニズムにより市場取引を行う——それが望ましい唯一の「市場経済」のあり方なんだから、改革の「順序」なんかにこだわらずに、途上国はいきなりそれを目指せばいい。またある国が通貨危機に陥ったのは、政府が下手な介入をして市場メカニズムをゆがめたからに決まってるんだから、ただちに財政を緊縮させて「構造改革」を行えばいい。スティグリッツは、こういう一見脱イデオロギー的で市場経済の普遍性を主張するIMFの見解が、実はアメリカ国内の政治経済的な利害関係を色濃く反映したものであり、理論的な正当性をまったく持っていないと厳しく批判している。
こういった歯に衣を着せない態度から浮かび上がってくるのは、アメリカの主流派経済学、そしてワシントンという「アメリカ流のグローバリズム」を推進している中心のような場所に身を置きながら、あくまでもそれらに対し冷静な批判を行い続ける、彼の理論家としての気骨と良心といったものだろう。
ただし、世の中に万能な理論なんてものはない。スティグリッツの理論ははたしかに「市場の完全性」の仮説に基づいたIMFのやり方を批判する際には切れ味を見せる。ただその反動として、市場万能主義とはかけ離れたやり方で成功した一時期までの日本や現在の中国のケースをやや大げさに賞賛する傾向があるのも事実だ。だから、例えば今の日本経済の惨状をどう説明するか、ということは必ずしも彼の理論的枠組みからはきれいに出てこない。
でも、それはたぶんスティグリッツの責任ではない。むしろ彼の優れた見解を踏まえながら、日本経済の問題点をより整合的かつ説得的に説明するのが日本のエコノミストに課せられた責任というものだろう。少なくとも彼らには「スティグリッツは俺と同じことを言っている!」なんて浮かれているヒマはないと思うのだが。
紙の本
「優れた経済学者は悪口雑言が上手い」
2002/06/02 22:04
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みゆの父 - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕が勝手に考えついた法則に〈優れた経済学者は悪口雑言が上手い〉っていうのがある。そのモデルとして僕の頭にあるのは、マルクス。マルクスっていえば、大抵は『資本論』を書いた経済学者として知られてるけど、僕にとっては、一九世紀フランスについて通称「フランス三部作」(『フランスにおける階級闘争』、『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』、『フランスにおける内乱』)って呼ばれるルポルタージュを残した、優れたルポライターなのだ。そして、この三冊のなかで、彼は、当時のフランス皇帝ナポレオン三世をはじめとする自分の敵(かたき)を、悪口雑言の限りを尽くして切りまくる。当時のフランスのことを少しでも知ってると、その毒舌ぶりに思わず笑い出してしまうはずだ。
ところが、最近、僕はこの法則に当てはまる学者をもう一人みつけた。二〇〇一年のノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツがその人。僕は不勉強だから、彼が書いた専門書も教科書も読んでないけど、きっとすごい経済学者なんだろう。そんな偉い経済学者が、アメリカ合衆国大統領経済諮問委員会や世界銀行で過ごした日々の体験記を出版した。それを翻訳したのがこの本だ。とすると、もしかして、この本は難しい専門用語のオンパレードなんじゃないだろうか。そんなふうに予想して、この本を敬遠したとしたら、本当にもったいない、と僕は思う。
じつは、この本は、国際通貨基金(IMF)と合衆国財務省、とくにIMFに対する悪口雑言のてんこ盛りなのだ。資金援助を必要とする発展途上国に対して、IMFがどれほど偉そうに振舞い、そのくせ間違った薬を処方して事態を悪化させ、そのくせそのくせ全然反省してない様子が、自分の具体的な経験と経済学の初歩的な知識とを織り交ぜながら、皮肉たっぷりに描かれる。IMFにとっては、経済学の理論と発展途上国の現実がずれていたら、間違ってるのは理論じゃなくて現実だ、ということなんだろうか。
もちろん、世界銀行だってIMFと〈同じ穴のむじな〉でしょ、とか、色々と突っ込めるところはあるけど、それもご愛敬。世界金融界の裏話も聞けるし、日本が不況が脱出するヒントも隠されてるし、〈優れた経済学者は悪口雑言が上手い〉って法則の証明にもなるし、今こそ「人間の顔をしたグローバリゼーション」が必要であり、そのために私たちは「声をあげなければならない。手を拱いて傍観していることはできないし、そうすべきではないのだ」(三五三頁)と熱く断言するノーベル経済学賞受賞者を知ることもできたし、読みおわって満足、満足。
紙の本
「正しい」グローバリズム批判本
2003/04/08 14:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:子母原心 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」とは、IMFやアメリカ財務省などが発展途上国に対していきなり先進国張りの市場メカニズムを導入(=押し付け)しようとして、それがかえって経済危機を招いていることが元凶なのだ、というのがこの本の趣旨。そもそも先進国の経済発展はいきなり市場開放をしたのでもなく、その反対の全面保護貿易をしたわけでもなく、国内経済を十分に発展させながら漸進的な市場開放を行った結果であるのに、「ワシントンコンセンサス」は頭からいきなり発展途上国に対して市場開放を迫り、十分な競争力が無いままに国内の産業が外国の製品と競争して、国内の産業や雇用を破壊してそれがコミュニティーの崩壊を招いたと厳しく批判している。
特に途上国では経済危機に直面した際には、財政などのマクロ経済政策を行うべきであったのにIMFはやみくもに清算主義よろしく金利の引き上げやら構造改革などの緊縮路線を強いりがちだった。
このような硬直した経済政策を押し付けている組織自体も硬直しているようだ。
IMFが発展途上国に対して経済援助をする際には途上国の意見には殆ど耳を傾けず、そこには開かれた議論もないという。
著者は経済のグローバリズムそれ自体に反対しているのではなく、グローバリズム化自体は世界経済に恩恵をもたらすとし、そのプロセスを重要視しているのだ。第九章では国際公共機関の創設など幾つかの提言をしている。
最後の「解説」(by リチャードクー)は失笑もの。大学院生の頃サミュエルソンの生産関数の説明がおかしいと思っていたが実はスティグリッツも自分とおんなじ考えだったとかいう類の「自慢話」が大半で、スティグリッツの経済学的な業績とか理論的バックグラウンドといった本来あるべき解説が皆無なのは頂けない。
紙の本
IMF/米財務省の硬直方針を批判する、率直な内部告発の書。
2002/05/23 02:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山形浩生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ財務省とIMFが、硬直した方針を途上国に無理に押しつけてまわったために、多くの場合には途上国の問題が解決するどころかさらに悪化し、このために各種グローバリズムの問題と称されるものが出てきたのだ、と指摘する良書。世界銀行の主任エコノミストという立場にあって、各種の「経済支援」や政策決定にたずさわり、同時に政治的なかけひきを廃した(ある意味で大人げない)率直さで、純粋な経済学者として、IMFなどのまちがいをわかりやすく解説してくれる。
読みやすく、わかりやすいし、また翻訳も鈴木主税の堅実な訳で文句なし。通俗的な反グローバリズム主義者たちも、是非本書を一読してほしい。本当のグローバリズムは、人々を豊かにして、世界中を向上させる。問題はそれをどうやるか、ということ。それが本書を読むとよくわかる。ただ、それを正しい方向に変えるのはなかなかむずかしい。でも、目指すべき方向は本書に示されている。もちろん、安易な市場万能グローバリズム翼賛主義者も熟読すべし。
なお、本書の内容の要約にあたる文が、以下で読めるので、要点を知りたい人はどうぞ。
唯一の欠点が、解説と称する駄文。「おれもスティグリッツと同じ主張を昔からしていた」と称する自慢がだらだらと垂れ流されるだけ。グローバリズムの問題点という本書の中心的な問題意識はまったく無視されて、スティグリッツの主張が散漫につまみ食いされるだけ。スティグリッツのなんたるかについても解説皆無だし、本書の持つ意義についての考察もまったくなし。「IMFは硬直しているが、日本の財務省も同じように硬直している」って、それがどうした。解説には、テレビで名を見るタレントひょーろんかなんかじゃなくて、きちんと解説できる人を起用してほしい。
紙の本
きれる学者がキレている
2005/01/10 05:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
趣旨は,“IMFは酷い組織だ”の一言で済む。この点,本訳書題名「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」は,出版社との駆け引きで訳者側が譲歩した結果だろう。原題「グローバリゼーションとその敵」をそのまま訳書の題名にしてもよかったが,それでも,本書の内容との食違い——と言って悪ければ力点の置き方の違い——は残る。なぜなら,第一に,「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」では,その正体の解明——暴露?——が主題になるが,本書の内容はIMF批判がメイン。謎解きのミステリーではない。第二に,IMFとグローバリゼーションとの関係が不明だ。グローバリゼーションが即ちIMFと言うわけではない。IMFはグローバリゼーションのたいへん重要だが一要素に過ぎない。途上国や低所得諸国が抱える開発過程における諸問題に関して,いかにIMFがいい加減な対処しか施してこなかったかが告発されているのだ。
本書構成からもわかる通り,「国際機関[=IMF]が『約束』したグローバリズムの恩恵」なんてもたらされるわけがない,なぜなら,「民営化・自由化」には「罠」があるからだ。「東アジア」と「ロシア」はその例だ。IMFの説くグローバリズムの罠をうまく回避した「中国」だけが成功している。IMFは「大国の利益のため」に機能する「収奪者」なのだ,という趣旨。
技術的なことを確認しとくと,たとえばIMF(や世銀)についての知識は,本書読者にはほぼ前提されているようだけど(IMFの基礎解説がない),訳注が必要だと思ったのは僕だけ? また,「交易状況」(24頁)は明らかに「交易条件」と訳されるべき。「コンストレインド・パレート」(巻末注ii頁)なんて音訳してるみたいだけど,読者にわかるのかな? もう一つ言っとくと,巻末注の参考文献には,訳書があるのに注記がないものもあって不揃い(たとえば,クルーグマンの“The Myth of Asia’s Miracle”, Foreign Affairs, 1994.とかR.H.Coase, “The Problem of the Social Cost”, _Journal of Law and Economics_, 1960.とかは邦訳が存在します)。
本書は,きれる(=頭脳明晰な)学者がIMFにキレているという著作。対岸の火事的に見てると面白いけど,タイとか韓国とか当事国(当事者)には笑えない話だろうなぁ。IMFってエリート集団と思って偏見はなかったけれど,これで偏見ができあがってしまったよ…。やっぱ,アジアの経済的自主独立をもたらすには,アジア版IMF(AMF)は必要かもしれない。それにしても,中国はしたたかだ。スティグリッツが成功例としている「中国」が,本当に成功例かどうかは予断を許さない。成功例だとしても,それがスティグリッツの言う通りかどうかは,まだ判断できない。少なくとも判断する材料が私にはない。それにしても,理論(スティグリッツ)と実践(IMF職員)が一致できないというのは,じつに不幸なことだ。