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紙の本
日常会話重視の英語教育を見直そう
2009/05/27 20:27
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読めば、多くの人は世の中で言われている日本の英語教育批判が的外れであることに気づかされるだろう。TOEFL・TOEICは音声中心の試験ではなく、現在の大学入試と同じような出題であると知っていますか。
かつてより、日本人は読み書きはできるが、聞く話すが苦手だという神話(?)が検証されることなく信じられている。そして、知的レベルによって大きく異なるであろう「実用英語」という定義の難しい、ある意味得体の知れないものに日本の英語教育は迷走させられてきた。ほとんどの日本人にとっては実際に英語を用いる場面などない。せいぜい海外旅行時くらいのものである。実際に英語を用いる機会がある人にとって必要なのは、日常会話レベルではない。
この本でまず気づかされるのが、日本人は読み書きができないことであり、近年の英語教育改変でますます読み書きができなくなってきており、それがリスニング力やスピーキング力の伸び悩みの原因になっていることである。それはTOEFLの成績を分析すれば分かるという。日本が中国や韓国に大きく差をあけられているのは、リスニングよりむしろ文法、構文、語彙なのである。
これは幼い時から進歩のないチィチィパッパッの日常会話を実用英語と称して行っているからではないだろうか。言語の学習曲線を考えても週1時間の授業では時間の無駄。国内にいて日常生活で英語が必要になる場面はほとんどないのだから、1週間の間に初期化され、またスタートから始める状態を繰り返すだけである。幼いうちしか発音が身につかないという人がいるが、発音がそれほど大切でないことは海外の要人の英語を聞けば分かる。それより、小学校では国語に時間を割くべきだろう。高校にしても英語の授業は週に5~7時間、それであれもこれも要求するのは、四頭を追って一頭も得ずになる。それぞれの高校の性格に合わせて、重点を定めるべきであろう。私個人は、高校までの外国語教育の要諦は、使う言語によって世界が全く違って見えることを知ることだと考えている。
英語教育を考えるにあたってのキーセンテンスを、本文から抜き出してみた。一人でも多くの人が思い違いを正してくださることを期待します。もちろん、できれば買って読んでもらいたい。
「生き生きとした英語を使う前提には、基本的な語法習得と文法・構文の知識が不可欠となる。」(p.88)
「直接話法と間接話法の書き換えなど、まったく無味乾燥でむだのように思えるが、会話ならともかく、文章を書く場合は、直接話法ではなく間接話法にしないと幼稚な印象になる」(p.88)
「英語を話すときもっとも重要なのは、「何を話すのか」ということである。英語を話す主体としての人間が、どのような内実をもっており、どのような内容を伝えようとしたいのかが問われるはずである。」(p.121)
「対面コミュニケーションなら、笑顔でごまかせる文法の誤りも、Eメールで送るとなると、まともな英語を書いて送らない限り、コミュニケーションにならないどころか、読んでもらえなかったり、誤解を受けたりするはめになる。」(p.131)
「世界のさまざまな地域に目を向ければ、英語だけが外国語でないことは明白である。」(p.152)
「現実に英語を使う、あるいは使わない、という選択は個々人が行うべきことであり、1億人がすべからくTOEFLで何点以上を取得すべき、などという言語政策はありえないし、あってはならない。」(p.157)
紙の本
TOEFLはアジア人向けだった
2007/09/29 21:01
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
序章 日本人の自虐的英語観と奇跡願望
第1章 英語試験の誤解と勘違い
第2章 三大検定試験の中身はこうなっている
第3章 検定試験は何を判定しているか
第4章 日本人のTOEFLスコアはなぜ低いのか?
第5章 「資格試験」は万能か?
第6章 本物の実力をめざして
終章 資格主義から実力主義へ
著者(町田玖美子)は東京都生まれ。現在は既婚者。上智大学外国語学部(イスパニア語学科)卒業(69年)という事実から引き算すると,1946年生まれ。2007年時点で61歳のはず。イスパニア語学科は上智では“鬼のイスパ”の異名をとるほど学生を鍛える。18歳(高三)時に英検1級の特別賞を受賞した時はお河童頭だったらしい。国広正雄とならんで,同時通訳者の草分けの一人(命名“同時通訳の女王”)。コロンビア大学大学院修士課程(ティーチャーズ・カレッジ,英語教授法専攻)修了(90年,44歳)。Ph.D(サウサンプトン大学,2006年,60歳)。『百万人の英語』講師(71-92年,25-46歳)。僕が聞いていた時は30歳台後半だったのね。東洋英和女学院大学(89-97年),現在は立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科(教授,97-年)。日本通訳学会会長。著書に『歴史をかえた誤訳』など。
本書副題「資格主義から実力主義へ」から推測できるように,資格は時として形骸化しているし,資格試験自体も問題なしなわけではないから,実力でその人の能力をみようね,的な論旨もあるが(第5章),長文読解に毒された大学入試に喝を入れるべく,TOEFLを英語試験に代用したらどうか?という立花隆のような有識者に,「TOEFLにも長文読解はあるんですけど・・・」と,おずおずと,でもしっかりとつっこんだエピソードのほうが面白かった(19頁)。英検,TOEIC,TOEFLの試験内容を紹介して,検定試験が判定している能力を明確にしたうえで,しっかりと英語力評価をしていきましょうという趣旨。
英語教育関係の本は「著作」と呼ぶにはあまりにも“感想文”に過ぎて食傷気味なんだが,鳥飼の著作は質実剛健で,読むに値する。データに基づいた議論と誠実な展開は,英語ペラペラのインターナショナルねーちゃんどもとは一線を画している。いいよ,これ。
日本人のTOEFLスコアが低いことは周知だが,世界受験者総数(41.1万人)に占める日本人の割合は24%(9.9万人)で,受験者の4人に一人は日本人だということが分かる(94頁)。世界最多。2位の中国は22.5%で,韓国は3位(20.7%)。インド,台湾,タイがこれに続いて,以上6カ国(37.1万人)で全体の90%を超える。なんだ,TOEFLはアジア人向け英語力評価試験だったのね。(1138字)
紙の本
資格試験の意義を考察
2002/07/31 12:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:某亜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
過剰に資格試験を重要視する昨今の風潮を批判した本だ。「TOEFLの点数が低いから日本人の英語力は低い」だとか「受験英語こそ諸悪の根元」といった従来の意見に真っ向から異を唱える。私自身もまったく筆者に同感である。TOEFLの成績において確かに日本人の成績は低いが、それは一概に日本人の英語力が低いわけではない。また、今の大人達が受けた英語教育と現在の英語教育はまったく違う。彼らの英語教育のままだと思いこんで今の受験英をを批判するのは間違っている。極めつけに、「文法など無くても話せる」という意見を疑問視(というより否定)しているのがよい。日本語で育った人が外国語を習得するには文法の勉強が欠かせないのである。
ただ、筆者の意見はもっともではあるが、「ではどうするべきなのか?」の部分が多少弱いように思えた。ライティング学習法においては教え子のホームページを丸写ししている。全体としてまとまりが薄いように感じられたのは残念だ。