両親と離れ、祖母とともに土蔵で暮らす少年、梶鮎太。これは彼が少年から青年へ、そしてやがて新聞記者となって終戦を迎えるまでに至る成長を描いた物語。 鮎太の成長にあわせて6つの掌編で紡がれる連作集です。 私は最初の「深い深い雪の中で」がことに強く印象に残りました。 血のつながらない祖母りょうの縁の者である若い女・冴子が鮎太の生活に闖入してくるところから物語は始まります。やがて彼女が起こす悲劇を目の当たりにして、鮎太ばかりでなく読者も、冴子の抱えた心の闇をしかとはつかみきることができません。世の中の成り立ちのようなものをその心ではまだ消化しきれない幼い少年の目を通すことで、冴子の情死は痛ましさより…
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